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富士通 山本道彦監督「チームづくりは“人と人とのつながり”を深めることから」

■富士通カワサキレッドスピリッツ 山本道彦監督「チームづくりは“人と人とのつながり”を深めることから」【インタビュー】

 2020-21 V.LEAGUE DIVISION2 MEN(V2男子)で未到の4連覇を達成した富士通カワサキレッドスピリッツ。山本道彦監督にシーズンを振り返ってもらった(取材/坂口功将〔編集部〕)

 

<キャプテン、ポイントゲッターとして活躍した栁田(写真右端)>

 

リベンジの思いを強くし、今季最終戦へ

 

-優勝おめでとうございます

山本監督 ありがとうございます。今季はほんとうに選手、スタッフ全員がよく頑張ってくれた、というのが率直な感想です。「全勝優勝」を目標に掲げてはいましたが、昨シーズンが終わってからのコロナ禍による活動自粛期間などもあり、チームのコンディションに不安を抱いたまま臨んだ2020-21シーズンでしたから。私自身、長らくチームの監督を務めていますが、目標を達成できたことが心の底からうれしいシーズンになりました。

 

-2020-21シーズンは4連覇、それも全勝を目標とされる中で、そこにプレッシャーはありましたか?

山本監督 当然、負けていい試合があるとは思っていません。その中でも、やはり昨季ヴォレアス北海道に敗れたこと(2019年12月21日/0-3)へのリベンジを果たすんだ、という思いは並々ならぬものでした。チームにとってもリーグ戦でのストレート負け自体が久しぶりでしたし、それもホームゲームでの黒星でしたから。

 

 今季は最終戦(3月7日)がヴォレアスのホームゲームだったので、そこで結果を出すことへのプレッシャーを選手たちから感じました。その試合後のインタビューでも口にしましたが、全勝優勝の要因は正直分かりません。ですが、こうした悔しさがバネになっていることは確かです。

 

<今年2月7日のホームゲームでヴォレアスにリベンジ。ここから全勝優勝へ加速していく>

 

-最高殊勲選手賞にはキャプテンの栁田百織選手が2年連続で選出されました

山本監督 彼は入団して3シーズンほどはほとんど試合の出場経験もなく、どちらかといえば遅咲きの選手になります。オポジットの中川剛(現・普及担当/2018-19シーズンかぎりで引退)の後継として徐々に起用していく中で、彼自身もスピードや守備力を磨いてきました。それに入団当初はバックアタックなんて打てたものではなかったのに、かぎりある練習時間で身につけた点は素晴らしいことです。

 

 ご覧になられている方々からすれば、おちゃらけているように映るかもしれませんが、あれはマジメにバカなことをしているので(笑) 彼なりのキャラクターであり、キャプテンシーだと私は思っています。実際、率先してふざけることで周りを安心させて雰囲気を和らげたり、一方で締めるべき時にはキチンと締める。そういう点では、中川に似ている部分もありますし、栁田は素晴らしいキャプテンともいえます。

 

-栁田選手に代表されるように、富士通はスローガンである「明るく、楽しく、そして強く」を選手たちが体現する姿が印象的です

山本監督 私が2003年に監督に就任した際に、スローガンを掲げたいということで考えたのが、この「明るく、楽しく、そして強く」です。この言葉には、バレーボールをする社員たちの生き生きとした姿をコート上で披露したい、その上でVリーグという舞台で戦う以上は強くありたい、という思いが込められています。

 

 そうしたチームの姿を見て、富士通という会社と良好な関係を築いていただくためのビジネス的な狙いが一つ。一方で、バレーボールは“人と人とのつながり”を感じられる、とても魅力的なスポーツです。この競技の楽しさを、私たちのプレーや活動を通して、たくさんの方々に知ってもらうことで、バレーボール界の活性化に寄与したいと考えています。

 

<栁田(写真中央)は明るいキャラクターでファンに馴染みがある>

 

<次ページ>「仕事と競技を両立しながらトップを目指す」

<長らくチームの指揮を執る山本監督(写真ベンチ右端)>

 

仕事と競技を両立しながらトップを目指す

 

-チームの皆さんは会社務めをしながら、練習や活動に励まれているとか

山本監督 私が入部した30年前から変わらず、練習は週3回。それも、火曜日と金曜日の夜7時から9時までの2時間と、土日どちらかの半日です。

 

 もちろん平日は仕事を終えてからの練習になります。大会でさらなる結果を、それこそV1のチームに勝利するなど成果を出すことで、練習時間の拡大など変化はあるかもしれませんが…、なかなか難しいのが現状です。

 

 ですが、キチンと仕事をしながらバレーボールの活動に取り組む、という点が富士通の特徴でもあります。選手たちへは仕事でもトップを目指すように伝えています。

 

 それに、たとえ引退してからも不安がないままセカンドキャリアに進むことができるのも私たちならでは。現役選手でなくなると、プライベートの時間が増えるだけです(笑)

 

<スパイク賞に輝いたルーキーのエバデダン ジェフリー 宇意>

 

-その限られた練習時間で、4連覇を成し遂げるようなチームをどのように作っているのですか?

山本監督 例を挙げますと、6対6のメニューでは基本的にメンバーを固定しません。仮にセッターとアタッカーの組み合わせを固めてしまうと、それがうまくいかなかったときの理由になってしまいます。誰と組むことになってもうまくいくように、それこそ“人と人とのつながり”を深めることが練習では必要なわけです。

 

 そうすることで、誰が出ても活躍できるチームになりますし、異なる個性と個性が絡み合うことで、選手のタレント性が際立ってきます。結果的に、見ている人たちが「おもしろい」と感じるチームになるのではないかと。単純に誰もがレギュラーを狙えるという点ではチームの底上げになりましたし、強化のポイントに挙げることができます。

 

-今後に向けて抱負を聞かせてください

山本監督 やはり富士通らしい「明るく、楽しく、そして強く」をもっと広く知ってもらいたいですし、まだまだ恐れ多いですがV1のチームと対等に戦えるようなレベルを目指していきたいです。足りないところはたくさんあるので、そこをいかに補っていくかを考えながら、底上げを図っていきたいと思います。

 

<明るく、楽しく、そして強く。富士通は戦い続ける>

 

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