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大同特殊鋼レッドスター“選手兼監督”平野晃多 2年目の心得

 10月30日(土)に開幕した2021-22 V.LEAGUE DIVISION2 MEN(V2男子)。15チームで争われる今季はV・レギュラーシーズンの下位5チームが自動降格になるなど、例年以上に熾烈なサバイバルが予想される。

 

 そのため、どのチームも1勝の重みを身に染みながら戦うことになる。中でも開幕週の2試合を無敗で終えた大同特殊鋼レッドスターを指揮する平野晃多は、喜びと安堵の表情を浮かべた。

 

 「開幕自体は楽しみな部分もありましたが、やはり3分の1が降格となるわけですから、怖さもすごく持ちながらスタートしました。選手たちがしっかりと役目を果たしてくれたおかげで、この2試合をストレートで勝てたことには一安心という感じです」

 

 平野自身、選手兼監督として臨む2度目のシーズンが、ここに始まった。

 

<チームを指揮する平野晃多選手兼監督(写真左から2番目)>

 

ブロックに定評ある平野は昨季から監督を兼任

 

 2011/12シーズンから大同特殊鋼でプレーする平野。長身を生かしたプレーを持ち味とし、デビューイヤーにはV・チャレンジリーグ(現V2)でブロック賞と最優秀新人賞に輝いた実績を持つ。他チームからも評価は高く、平野が監督兼任となった昨季は“大同特殊鋼のブロックに磨きがかかるだろう”という声はよく聞かれたものだった。

 

 平野にとって兼任は新しい挑戦であり、「去年はリーグが始まってから年末くらいまでは、ばたばたしていて、記憶も定かでないくらい(笑)」とその役回りにあくせく。その思い出があったからこそ、「今年はしっかり準備もできたので、ドンと構えていければな、と思うんです」と胸を張る。

 

 その変化を選手たちも感じているようで、今季で在籍6季目の二五田大輔は「正直、去年は物足りなさもありました」と明かす一方、「今年は違いますね!!」と話す。

 

<11月7日のきんでん戦では効果的なサーブが光った二五田>

 

 二五田は平野が選手一本だった当時から一緒にプレーした間柄。だからこそ、「平野さんには思ったことを素直に言いやすいし、何かあったときも相談しやすいです。逆に、言いづらいこともあるのかもしれませんが…(笑)」と二五田。その点は選手兼任監督ならではのよさと言えるだろう。ただ、当の本人は少しばかり頭を悩ませている。

 

「選手だけのときは、チームメイトと親身になって過ごせていたのですが、監督となると一定の距離感を保ちながら接するのが大事なのかな、とは少しずつ思っていて。距離感に関しては難しいというか、これから僕自身が勉強していかないといけない部分です」

 

 とはいえ、自身の性格上、選手たちに寄り添うスタイルは変わらない。開幕週でも、いつもの柔らかい雰囲気をまといながら、ときに選手の背中を押すように言葉をかけている姿が印象的だった。

 

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<伊澤啓生(写真左から2番目)が今季からキャプテンを務める大同特殊鋼>

 

実際にコートに立っていたなら…?

 

 監督業への比重が大きくなってきているというが、もちろん選手として登録されており、場合によってはコートに立つ準備もできている。シーズン2戦目の11月7日(日)、きんでんトリニティーブリッツ戦ではベンチの椅子に腰かけながら、心が揺れ動く場面もあったそうだ。

 

 「特に第2セットは相手のBクイックがなかなか止まらない場面がありましたから。僕自身、ブロックを得意としていたので、あの場面では“自分が出て戦ってもいいかな…”という気持ちにはなりましたね」と平野“監督”は照れ笑いを隠さない。

 

 結果として選手たちに託したわけだが、では実際にミドルブロッカーとして出場していたならば、どのようにプレーしていたのだろうか?

 

 「サーブレシーブが少し乱れても、しっかりと使ってくるBクイックに対して、こちらも作戦を立ててはいたのですが、相手のほうが上手でした。なので、まずはクイック1本で切らせないところから、ですね。ブロックでボールを少しでも触ることを。そして、実際に僕がプレーしてもどこまでやれていたかはわからないですが、コート上のみんなと意識を共有しつつ、『ここを抜かれたら、レシーブで捕ってね』という具合に会話しながら、対応していたと思います」

 

<コートに立つ選手たちとコミュニケーションを取る平野(写真左)>

 

 監督であれ、選手であれ、やはりコミュニケーションは欠かせないということ。それは彼が目指すチーム像にも大きくかかわってくる。

 

「ここには幅広い年代の選手がたくさんいます。高卒も大卒もいて、それぞれ教わってきたバレーボールのスタイルも異なるで、そうした個性や考え方の違いは強みになると考えています。それらを最大限に生かせるようなチームづくりや起用をしていきたいですし、そのなかで選手たちが自分の強みを自覚してもらって、どんどん長所を伸ばせるようにしていきたいと思います」

 

 それらの個性に触れながら、「選手と話をするだけでも、おもしろいと感じる部分がありますし、僕自身も監督として成長できます」と平野はほほえむ。立場も変わって臨む2季目。選手たちとともに、これからも成長を続けていくのだ。

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

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