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身長207cmの麻野堅斗(東山高)が高校生で唯一日本代表入り 目指すは動けるミドルブロッカー

麻野堅斗(東山高)

試合前練習でバックアタックを放つ麻野

 

4月4日、今年度の男子日本代表登録選手が発表され、東山高(京都)3年の麻野堅斗が高校生で唯一メンバー入りを果たした。今年1月の春高にも出場した身長207㎝のミドルブロッカー。この春に東山高の指揮官に就任した松永理生監督(2019年度から21年度まではコーチ)とともに、高みを目指してプレーの幅を広げてきた

 

 今、最も将来を期待される高校生だろう。

 身長207㎝の麻野堅斗。今年度登録メンバーの中では身長210㎝の牧大晃(筑波大1年)に次ぐ高さで、ミドルブロッカーではトップの数値を誇る。

 以前から「日本代表で結果を残せるようになりたいです」と語っていたが、本人と同じく高みをイメージしていたのが、この春から同校で指揮を執る松永理生監督だ。中央大監督時代に石川祐希(ミラノ[イタリア])、東山高のコーチ時代には髙橋藍(日本体大3年)を指導。類まれなるポテンシャルを開花させるべく、明確な育成プランがあった。

「本人は将来的にライトで打ちたい気持ちもあると思いますが、動けない限りはできないと、ここ(東山高)に来た当初に話しました。そうなるには俊敏性を鍛えないといけません」

 

 機動力を上げるべく、松永監督(当時はコーチ)が麻野に提案したのがブロード攻撃だった。2m超えの大きな体が、コート幅いっぱいに動く。それだけでなく、左利きの麻野は、右利きとは違ってレフト側に開くように助走するため、相手ブロッカーは的を絞りづらい。昨年の春高予選前に習得し、今年1月の本戦でも武器になった。だが、進化はそれだけに止まらない。

 

 V1男子のサントリーサンバーズが3月に開催した昇陽高(大阪)とのエキシビションマッチ。第1セットの9-7とリードした場面だった。ラリーで相手ブロックが東山高のレフト攻撃をマークする中、セッター當麻理人のバックトスはサーブを打ってコートに残っていた麻野のもとへ。バックライトから素早く助走に入り、力強く打ち抜いた。

 惜しくもアタックラインを踏んでミスとなり「ちょっと(助走に)入るのが早かったです」と振り返ったものの、さらなる引き出しを見せたシーンだった。「パナソニックの山内(晶大)選手がバックアタックを打っているのを見ました(1月8日のFC東京戦)。ミドルブロッカーでもサーブのときはバックアタックを打つことが主流になると思うので、自分も打てるようにならないといけません」と“動けるミドル”としてアップデートを続ける。

 

 松永監督は青写真を描く。

「麻野のブロード攻撃と西田(有志/ビーボ・ヴァレンティア[イタリア])選手のライトからのスパイクで相手ブロッカーを引っ張れるし、麻野が前を通過したときにパイプ(中央からのバックアタック)が入れば、そこも生きてくると思います。そういった点では、207㎝のサウスポーが前衛で機動力を生かせると、ブロックの視線をずらすことができます。そうすると、髙橋(藍)、石川(祐希)、西田選手や大塚(達宣/早稲田大4年)選手たちも打ちやすくなると思います」

 

 麻野は4月14日にスタートした日本代表第1回国内合宿に参加し、西田、宮浦健人(ジェイテクト)の両サウスポー、そして同じポジションでお手本とする髙橋健太郎(東レ)らと汗を流す。その日々が、目標へのステップアップとなる。

「チーム(東山高)としてはまず府予選を勝ち抜いて、日本一を狙うことが目標です。個人としてはもっとスキルを磨いて、成長できる1年にしたい。サイドの選手と同等の決定率が上げられるミドルブロッカーになりたいです」

 インターハイ京都府予選の決勝は6月12日。これから2ヵ月後、一体どんな進化を遂げているのか。

 

試合前の円陣で、笑顔を見せる麻野(後列中央)

 

麻野堅斗

あさの・けんと/身長207㎝/最高到達点342㎝/ミドルブロッカー/昇陽中(大阪)出身

 

写真/山岡邦彦 取材/田中風太

 

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