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アイシンの女子U14チーム「Tealmare Jr. OCEAN WINS」に代々受け継がれる全力笑顔と2022年の戦い

 

 

 2022-23 Vリーグは10月下旬に開幕したDIVISION1(V1)に続き、DIVISION2(V2)も11月5日にスタートした。リーグ参戦3季目ながら躍進を続けるアイシンティルマーレは今季からV2を戦う。その一方で、チームの活動の一つである女子ジュニア(U14)チームは今年度、10期目を迎えた。節目の年に全国制覇を目指した彼女たちの表情は、いつも笑顔であふれていた

 

 

愛知県碧南市を中心に活動するTealmare Jr. OCEAN WINS

 

<ギャラリー>Tealmare Jr. OCEAN WINSの2022年度プレー集

 

地域密着を打ち出すアイシン

ジュニアチームも貢献活動の一つ

 

 2020-21シーズンからVリーグに参戦したアイシン。初年度からコロナ禍に見舞われたが、昨季はDIVISON3(V3)初優勝を遂げると入れ替え戦も制し、わずか3季目にしてV2昇格を果たした。そうして臨んだ今季の初戦は逆転負けに終わったものの、第1セットを先取したほか、その粘り強さに相手のサフィルヴァ北海道から称賛の声が聞かれるなど、確かな地力を感じさせるものだった。

 

 アイシングループを活動母体とし、愛知県碧南市を中心に地域密着の姿勢を打ち出す。昨季はコロナ禍のため有観客で実施することができなかったホームゲームも、今季は「観戦にいきたい」という声が多く聞かれるのは、そうした活動の成果だ。

 

 

2022-23シーズンはV2男子のステージで戦うアイシンティルマーレ

 

 長嶋彰監督は「注目されているのをひしひしと感じます。それが選手たちのモチベーションになっています」と言ってやまない。と同時に、Vリーグという国内最高峰のステージを戦うチームのミッションの一つをこう語った。

 「トップチームの選手たちが頑張っている姿を見ると、中学生の彼女たちも『あの選手たちみたいに輝きたい』と感じてもらえると思うので。だからこそ、トップチームは戦う姿勢を見せたいです」

 

 監督の言葉に出た、彼女たち。それが、アイシンが地域貢献活動として設けているU14世代のクラブチーム「Tealmare Jr. OCEAN WINS」(以下、ティルマーレジュニア)のことである。

 

 

トップ、ジュニア両方の指揮を執る長嶋監督

 

2021年度はすべての大会で優勝

先輩たちに続け、と10期生

 

 トップチームと同様に碧南市を中心として活動するティルマーレジュニアだが、部員たちは様々な地区から集まり、その数は50人に到達するのほどの大所帯だ。

 

 クラブチームは中学校に比べて公式戦の数が少ないが、それでもティルマーレジュニアは参加する大会で着々と成績を残してきた。中でも2021年度は「輝きCUP 全国ヤングクラブ男女選手権大会」や「Vリーグジュニア選手権 Bブロック大会」などすべての大会で優勝を飾った。

 となると、2022年度の10期生が思いを強くするのは当然ともいえた。今年7月の「輝きCUP」で連覇を果たした際、キャプテンの竹内絢音(富田中〔愛知〕3年)は「自分たちも続きたいという気持ちでした。それに9月の全国大会に向けて、チームが一丸となれるように練習してきました」と語ったものだ。

 

 ティルマーレジュニアでも指揮を執る長嶋監督も「先輩たちが優勝してきただけに、自分たちが途切れさせるわけにはいかない、というプレッシャーはあったはず。ですが、そこに対して負けずに立ち向かったことで、彼女たちが成長できたと思います」とほめたたえた。

 一方で、先輩たちから受け継いできたものは、トロフィーやメダルという勲章だけではない。ティルマーレジュニアがいつも会場で見せるもの。最大の魅力であり、武器ともいえるのが、きらりと輝く笑顔だ。

 

 

滋賀県長浜市で開催された今年の「輝きCUP」で賞状を受け取る竹内キャプテン(当時)

 

 

 

隙あらば、カメラに向かって満面の笑み

 

集大成の全国大会で結果を残せず

それでも「やりきった」

 

 試合が始まれば、一点一点を全力で喜ぶ。底抜けの明るさをチーム全員が放ち、笑顔でプレーする。コートを出て、取材するカメラマンの存在に気づくと、すかさずピースサインを繰り出し、撮影を“おねだり”。そうして一度シャッターを切れば、わらわらとチームメートが集まる。そんな無邪気さが、いつも印象に残る。

 長嶋監督が話すに、それもまた代々変わらないもので、「伝統でもありますね。終始明るく、元気よく。それは、どの大会でも意識しています」。先輩たちが笑顔でバレーボールをするからこそ、それを見てきた後輩がその姿勢を受け継ぐのだ。

 

 

長身エース牛田が、仲間がつないだボールを決めきる

 

 そうして迎えた9月の全国ヤングクラブ男女優勝大会(全国ヤンクラ)。シーズンを通して集大成となる、全国の大舞台だ。もちろん目指すは優勝、日本一だった。

 

 だが、結果は準々決勝でシーガルズジュニア(岡山)に敗れ、夢半ばに終わった。身長178㎝のエース牛田音羽(丹陽中〔愛知〕3年)は試合を振り返る。

 「第1セットは相手のエースやプレーにのまれてしまい、自分たちのリズムに乗れないままあっという間に落としてしまいました。2セット目も全然、自分たちのプレーができなくて、気持ちも下がってしまいました」

 

 厳しい状況に立たされた。けれども、悔いなく戦いきろうと心していた。それは、先輩たちや支えてくれる周囲の思いを、選手たち本人が受け止めていたからだ。

 「大会に向かうバスの中で、一つ上の9期生の先輩たちからの応援動画を見たり、お母さんたちからの手紙を読んだりしていたんです。その人たちの分まで頑張るんだ、って。ほんとうは優勝するまで戦いたかったですが、相手の方が上でした。でも最後まで“盛り上がってコートを走るんだ”と決めたのは自分たち。それはやりきって、終えることができました」

 

 シーズン最後の大会は、ちょっぴり苦い思い出として刻まれている。だが、牛田は胸を張って笑顔で振り返ってくれた。

 

 

シーズンの集大成となる全国ヤンクラ。ムードを高めながら日本一を目指した

 

世代を越えて受け継ぎ

受け継がれていく思い

 

 全国ヤンクラを境にチームは代替わりを迎え、11期生が活動の中心となる。ただ、竹内や牛田ら10期生の面々は中学を卒業する来年3月までティルマーレジュニアで練習することができる。長嶋監督は言う。

 「中学生活の2年半をティルマーレジュニアでバレーボールに打ち込んでくれて、これから次のステージに向かおうとしています。目標に掲げた全国制覇は成し遂げられなかった分、今一度、何が足りなかったか、もしくは、やってきたことがどこまで通用したか、を受け止めて高校生活までのいい準備をしてもらいたい。そうすれば、また次のステージでも活躍できるでしょう」

 

 指導に携わった者たちの思いを、選手たちも心に留めている。全国ヤンクラで、竹内は最後の公式戦を惜しむように、それでもにこりとほほえんだ。

 「最後だと思うと寂しいけれど、これが私にとっても、チームにとっても、いい経験になればいいのかなと思うんです」

 

 

キャプテンそしてリベロとしてチームの軸となった竹内

 

 長身エースとしてチームを牽引した牛田は、年末のJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会に出場予定で、愛知県選抜のキャプテンを担う。ティルマーレジュニアの練習にも引き続き加わる中、「代替わりしたからこそ、これまで支えてくれた2年生やずっと応援してくれた1年生たちに恩返ししたい」と語り、エールを送る。

 「11期生が立てた全国優勝(という目標)を達成してほしいです。それまでにはたくさんの厳しさや、高い壁があると思いますが、各学年の色を出して、頑張ってほしいです」

 

 10期生の一員として、牛田に聞いてみた。このチームのよさは?

 「コーチや監督、仲間どうしの信頼関係がたくさんありますし、ふだんからチーム内でコミュニケーションをとって、声を掛け合う。試合になると、めちゃくちゃ走りまわって…。それに部員数が多いのも武器ですね。多いからこそ、一つの目標に向かって全員で取り組めるところが、このチームの魅力だと思います」

 

 トップチームはさらなる高みを、ジュニアチームは精いっぱいの成長を目指し、歩みを続ける。碧南市から放たれる笑顔は、これからもますます輝きを増していくに違いない。

 

 

これからも彼女たちは笑顔のバトンをつないでいく

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

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