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石川祐希がイタリアで観客をあおった!? “見たことがない”一面は「やろうと思っていた」。その胸中と次なる決意

 プロバレーボール選手として活躍し、男子日本代表でもキャプテンを務める石川祐希。イタリア・セリエAでの2022/23シーズン全日程を終えて、5月13日(土)に帰国した。その到着後の会見で、筆者は聞きたいと思っていた“あの場面”について、本人にぶつけてみた。

 

イタリアでの全日程を終えてから現地で1週間ほどの休暇をはさみ、日本に帰国した石川

 

プレーオフ第2戦、最終第5セット

 

 それは、現地で試合を観戦した人の証言だった。

 

「あの試合、石川選手が観客をあおったんですよ」

 

 思わず、耳を疑った。石川といえば、力強くにぎりこぶしをつくる姿もあれば、ときに激しい表情で仲間を鼓舞する姿が見られることがある。それらはチームのムードを高めるものでもあり、トッププレーヤーが備えるアクションの一つ。とはいえ、会場にいる観客を“あおる”石川の姿は、取材してまもない身とはいえ、記憶にないといってもおかしくない。それはむしろ日本代表でいえば、西田有志(ジェイテクトSTINGS)の専売特許だ。

 

【ギャラリー】真剣さの中に笑顔も。ミラノで過ごす石川の練習風景

 

 さて、その試合とは現地3月22日に行われたセリエAプレーオフ準々決勝ラウンド第2戦。石川が所属するミラノがペルージャをホーム「アリアンツ・クラウド」に迎えての一戦だった。

 

ペルージャとの第2戦、石川はチーム2番目となる18得点をあげて勝利に貢献した(Photo:Legavolley.it)

 

 いざ、セリエAを配信している国際バレーボール連盟の公式プラットフォーム「VOLLEYBALL WORLD.TV」で試合を見返してみる。最終第5セット、ミラノが5-4からオスニエル・メルガレホ(キューバ)のアタックでブレイクに成功した直後のワンシーンだった。

 

 カメラは得点したメルガレホを大きく映しているが、その奥にいる石川はエンドラインに体を向け、両手を下から上にこれでもかと振り上げている。

 

 あおった…!!

 

 これは無意識なのか、突発的だったのか、それとも、もくろんでいたのか? 帰国した本人に聞いてみた。その答えは――

 

空港到着後の帰国会見で、デサントジャパン株式会社から慰労の花束を授かった

 

 

全力で、闘志をむき出しにしてプレーする石川の姿がイタリアでは見られる

 

イタリアだからこそ、楽しいと感じる部分

 

「やろうとは思いましたね」

 

 あの場面の記憶をたどる石川のほほから笑みがこぼれる。少しばかりの照れ、も? 本人が明かした真意はこうだ。

 

「あの時点(第2戦)でペルージャにはまだ一回も勝てていませんでしたから。チームとしてもそうですし、サポーターやファンを巻き込んで、流れを自分たちに持ってくることが必要だと思ったので。それに、いつもメルガレホたちがやっているので、それに乗って、やりました」

 

 相手はレギュラーシーズンを無敗で突破したペルージャだ。ミラノはレギュラーシーズンで2戦全敗、プレーオフの第1戦もストレートで敗れていた。だが、この試合では開始から2セットを連取し、そこからフルセットに持ち込まれたものの、その最終第5セットは勝利に手がかかろうとしている局面だった。

 

 そこで自分たちに流れを呼び込みたい。石川が起こした行動が、観客をあおることだった。

 

ミラノのメルガレホ(写真左端)は、ご覧のとおり(Photo:ダニエラ・タランティーニ)

 

 もちろん、選手たちのそうした闘志むきだしのアクションに応えるのも、現地のファンたちならでは。ましてや、それがミラノで3シーズンをプレーし、チームを着実に押し上げてきたISHIKAWA YUKIからのものであれば、ボルテージは最高潮に達するのも無理はない。

 

「イタリアだと、お客さんたちは叫ぶし、のってくれるし、座席から立ち上がってくれるし…。そういった観客の姿に日本との違いがあったりすると感じるので、そこは(自分も)イタリアっぽく振舞うことも必要かなと思ったりします。

でも、それが楽しいです。むこうでやっていて」

 

 バレーボールにあふれんばかりの情熱を注ぐファンたちに包まれて、石川がイタリアで戦いたいと思う理由の一片が、そこに垣間見えた気がした。

 

コロナ禍も落ち着き、有観客で開催された22/23シーズンのセリエA。ファンとの交流も深まった

 

「どんどん取り入れていく必要がある」と石川

 

 とはいえ、あのアクションをしたこと自体は、気持ちいいものかと言われれば、そうではないらしい。

 

「いや、気持ちよくは…、ないです(笑) ただ、やったことがないので、恥ずかしいといいますか。もともと自分はそういうタイプではないので。

 

 ですが、そういった一面をどんどん取り入れて、その状況にあった流れのつかみかたをさらにやっていく必要があると考えています。何でも今は取り入れる必要があるとあらためて思いました」

 

 試合の流れを手繰り寄せること。それは石川が今季の日本代表活動にあたって強調する要素の一つでもある。今後、上位国に勝つためには、個としてもチームとしても、常に意識しておかなければならない。そして、そのことを石川自身はプレーオフ準々決勝ラウンドでのペルージャ撃破という戦果をもって体感した。その言葉には何物にも代えがたい説得力がみなぎる。

 

 ときに観客をあおり、その熱気をコート側から高めることで、会場のムードを自分たちのものにする。そんなチームの姿が、今季は見られるかもしれない。ただし、石川本人は――

 

「日本でやるつもりはないですが(笑)」とやんわり断っている。

 

 そうだ。アクション自体は、どんなかたちでもいい。彼がコート上で披露する一挙手一投足すべてが、自身を、そしてチームを次のステージに導くものに違いないのだから。

 

プレーもメンタルも、そしてアクションも。進化を続ける石川の姿を私たちは目撃する(Photo:ダニエラ・タランティーニ)

 

(文・空港&試合写真/坂口功将〔編集部〕)

 

歴史の当事者に!!

石川祐希の22/23シーズン終盤戦のハイライトは「月刊バレーボール」2023年6月号に掲載

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