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「また成長を感じたい」忠願寺莉桜が明かす、どんよくゆえの苦悩 従兄弟は現役Vリーガー

 バレーボールの中学世代におけるナンバーワンプレーヤーとして、昨年末のJOCジュニアオリンピックカップ第37回全国都道府県対抗中学大会(以下、JOC杯)で最優秀選手賞に当たる「JOCJVAカップ」を受賞した忠願寺莉桜(稙田南中〔大分〕3年)。令和5年度全国中学生選抜(以下、全中選抜)女子のキャプテンを務め、2月の海外遠征では出場した「Nations Winter Cup」で優勝と大会MVPに輝いた。そんな彼女のストイックさからかいま見える苦悩と、その先のビジョン。

 

 

忠願寺莉桜(ちゅうがんじ・りおん/稙田南中〔大分〕3年/身長182㎝/アウトサイドヒッター)

 

 

 

中学生世代ナンバーワンの呼び声高い忠願寺

 

 ダイナミックに、はつらつとプレーする姿とは裏腹に、忠願寺は決して自信家ではない。見るからにポテンシャルに満ちあふれ、自信を持ってもいいのに、だ。

 中学2年生時の2022年度からJOC杯の大分県選抜と全中選抜入りを果たし、昨年は女子U16日本代表として杭州(中国)で行われた第1回アジア女子U16選手権大会に出場を果たす。サウスポーから繰り出す強打を武器にオポジットとして優勝に貢献すると、中学生活最後のJOC杯では大分県選抜を準優勝に導き、「JOCJVAカップ」「次世代有望選手」「大阪府知事賞」と個人タイトルを総なめにした。

 

 そうして今年2月下旬に全中選抜の海外遠征に臨んだわけだが、年明けの第二次合宿ではこんな思いを口にしていた。

「楽しみですけど、世界の選手たちと戦うのは怖い、という感覚はあります。自分が通用しなかったときにどうなるんだろう、とかネガティブに考えてしまう」

 

 勝手な印象として、ぐいぐい突き進んできたタイプと思っていたが…。

「いやぁ、もう全然です。ポジティブに考えられるようになったのは、それこそ最近。JOC杯でようやくです。それまではほんとうに自信がありませんでした」

 

 

最高到達点は293㎝。サウスポーから繰り出す豪快なアタックが武器

 

 

 

バレーボール家系に育ち、憧れは長岡望

 

 彼女の軌跡をひもとくと、生まれてからバレーボールは身近なものだった。姉の風來(かえら)は地元・大分の名門である東九州龍谷高で現在2年生。さらに、従兄弟はVリーグ男子の日本製鉄堺ブレイザーズでプレーする髙野直哉。幼少期から髙野のことを「なおくん」と慕い、スパイクの打ち方やレシーブについて質問をぶつけ、教えてもらったこともある。昨年、JOC杯で結果を出した際には、電話で祝福の言葉をもらった。

 

 憧れの選手は同じサウスポーの長岡望悠(久光スプリングス)で、夢は日本代表。中学生になり、そのポテンシャルを見初められ、実績を積んでいる真っただ中だ。

 その道のりは本人からすれば、自信を手にして初めて、一歩進んだと実感できるというもの。各世代の選抜しかりアンダーエイジカテゴリー日本代表も、「最初は自信がまるでなかった」ところからスタートしている。それでも「だんだんと経験を重ねていくなかで、どうすれば自分が成長できるかもわかってきたし、スタッフや先生方が支えてくださるので。バレーボールだけではなく、それ以外の部分でも成長できる。今では、これから日本代表を背負っていくうえで必要な通過点だなと、いつも合宿を過ごすときに感じています」。

 

 

全中選抜ではキャプテンを担い、スタッフからの信頼も厚かった

 

合宿では「自分のいいプレーは出しいくい」と苦笑い。その理由は…?

海外にも通用するアタック力を備え、ステップアップを続ける

 

 

 

合宿では「自分のいいプレーは出しいくい」と苦笑い。その理由は…?

 

 彼女の場合、その自信のなさはきっと謙虚さからきている。例えば、昨年のU16アジア女子選手権大会に臨むにあたっても、事前に映像を見たことで、「相手は高いな」と思い“すぎて”いた。だが実際に体験してみると、「それほど高くないな、と思えました」と想像と現実のギャップを味わった。

 

 また、“通過点”とはいえ合宿ではいつも頭を悩ませる。全中選抜の第二次合宿では、相手の高いブロックを想定してリバウンドの取り方やブロックフォローにトライしたが、目に見えて四苦八苦していた。

「難しかったです。新しいことにチャレンジする、それ自体はこれまでできていなかったことでもあるので。そこで頭がこんがらがってしまったり。なので、合宿で自分のいいプレーはあんまり出しにくいんですよ」と本人も苦笑い。

 そこで過ごすときは、えてして不調。とはいえ、それもすべては自分の成長と受け止めているのが、忠願寺莉桜というアスリートである。

 

 

リバウンドの取り方を習得しようと励んだ第二次合宿。チームメートとブロックへのボールの当て方を確認する

 

 

「謙虚に取り組むことが、いちばんの近道」(忠願寺)

 

 そうしたストイックさはときに、周りが思う以上に、本人を苦しめてもいる様子だ。自身にとってバレーボール人生で初めてキャプテンを務めた、JOC杯大分県選抜での4ヵ月はまさにそう。

「準優勝の悔しさはまだ残っていますけどね。時計の針を戻せるなら、決勝かな(笑) 活動自体はきついことも多かったので、戻りたくないかも。ですが、大会を通してチームはどんどん進化していきましたし、本番の中でも『これだけ成長できるんだ』と知れたので。その成長をまた感じたい、という感覚はあります」

 

 続いてキャプテンに就き、同世代のフロントランナーとして駆け抜けた全中選抜の海外遠征も同様だ。Nations Winter Cupを終えて、こんな思いを告白している。

「意外と、先輩や後輩がいることよりも同年代と一緒にやるほうがきついことが多いんですよね。なので、やっと終わった、が正直な感想です。でも、試合はやっぱり楽しいので。また別のカテゴリーで試合をしたい、と思うんです」

 

つらいと感じる期間を乗り越えながら、目標へと突き進む。ときに、仲間と手を取りながら

 

  

 

 悩みに明け暮れ、ときに苦しみが伴ったとしても。もっともっと成長したい、という願いが上回る。それは、彼女にとって最大の目標である日本代表を目指すなかで揺らぐことはない。

「まだまだ実感はありませんが、今の自分がこのまま成長していけば、日本代表に到達することもできるとは。けれども、そこは謙虚に取り組んでいくことが、いちばんの近道だと思うので。

 まずはU17/U18のカテゴリーでライト(セッター対角)として大会に出たい、とはずっと描いていることです。もちろん周りには強豪校から選ばれる選手もいますし、そこでは技術だけで勝負するのではなく、自分の強みでもある人間性を持って臨みたい。次の世代で、活躍できるようになりたいです」

 

(文・写真/坂口功将)

 

 

どんよくさと謙虚さを抱きながら、この先も同年代の先頭を走っていく

 

忠願寺がイタリアで直面し、乗り越えたものとは…!?

もう一つのエピソードは

「月刊バレーボール」4月号に掲載

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