世界の壁にはね返されても
2025女子U19バレーボール世界選手権大会(クロアチア、セルビア)を7位で終えたU19女子日本代表は、7月15日にそろって帰国。チームは解散のときを迎えた。
チームを率いたのは、高卒1年目のアウトサイドヒッター結束美南(けっそく・みなみ/東レ滋賀/172cm)。今回は「人生で初めて」キャプテンを務めるなかで世界選手権を戦い、「周りに助けてもらうことが多かったです」と振り返った。
結束自身、海外での試合経験は2度目だが、習志野高(千葉)を卒業してからは今回が初めての大舞台だった。「高校時代はブロックの上から打つ、というのが決まるときのかたちでした」という彼女にとって、今大会で前にしたブロックは別世界の高さ。ジャンプ力を生かしての強打は何度もはね返されて、厳しい現実を目の当たりにした。
「今、SVリーグに入って、上から打つことはできないので、技を駆使したいやらしいプレーヤーにならないといけない、ということはわかっていました。それを今回初めて世界で経験でき、そこで『できたこと』はとても自信になりました。できなかったこともありますが、教わって、実際に試合でやってみたらできたこともあったので、今後に生かしていきたいです」
攻撃が通らないときは、その分レシーブで頑張ることを心がけた。ベンチから見守る場面もあった。「試合に出ていなくても、声のかけ方などキャプテンとしてできることや、コートに入ったときには人一倍声を出すなど、そういうことは自分なりにできたかなと思います」。その姿勢は、彼女を成長へと導いたに違いない。岡本祐子監督は「今回、彼女は一回落とされて、ひと山越えています。最後のブラジル戦(〇3-0)は、ほんとうに頑張ったので」と目を細める。そうしてポジティブに最後まで戦い抜けたのは、周囲に恵まれたこともやはり大きな要因だった。
「すごくやりやすかったんですよ」と結束。彼女以外のメンバーは全員が高校生だったのだが、「ミスが続いたときに『顔(表情)!』と、笑顔で声をかけてもらうなど、みんなとても頼もしかったです」とのこと。ミーティングなどでは率先してしゃべってくれたり、「こういうことで悩んでいるんですけど」と本音を相談しにきたりする選手もいたという。
馬場柚希(金蘭会高〔大阪〕3年)は彼女について「美南さんは、いい声かけしかしないんです。メンタルトレーナーとして、横にほしい。常にいてほしいです」と絶賛。忠願寺莉桜(東九州龍谷高〔大分〕2年)も「頼りになります。キャプテンでよかった」と話していた。
「もっと、みんなとバレーしたかった」
メンバーは誰もが全力で役割に取り組み、スタッフは明るく、きめ細かく彼女たちを支える。試合を重ねるごとに選手たちはレベルアップし、最終日の7-8位決定戦を勝利で締めくくった。岡本監督も「相手はとても強いのですが、いいかたちで終わって。選手たちがよく頑張ってくれました。スタッフも一致団結してやってくれて、チーム一丸ってこういうことを言うんだな…、と。私だって泣きましたから、勝ったときに。みんな泣いていたんじゃないかな」と、チームが輝いたシーンを振り返った。
「こんな短期間でも、こんなにいいチームができるんだ」。もっとみんなとバレーしたかったなぁ。そんな言葉が全員の口から出てきたことで、ようやく結束も「キャプテンをやってよかったな」、そう思うことができたという。「結果は出ませんでしたが、最高のチームにはできたのかな、と思います。その最高のチームをつくりながら、次はやはりもっと結果にこだわれるように頑張りたいです」。充実感に満ちた表情で、結束は新たなステージを見据えていた。
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