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Vリーグ男子 富士通が今季最大規模の1500人集客へ。栁田百織キャプテンがシーズン前にのぞかせた決意

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 バレーボールの大同生命SVリーグと並行して実施されている2025-26 Vリーグもレギュラーシーズンは終盤へ。東地区を戦う富士通カワサキレッドスピリッツは314日(土)〜15日(日)に「東急ドレッセとどろきアリーナ」(神奈川)で開催するホームゲームを「ONE BIG REDSPIRITS GAMES 1500PROJECT」と銘打ち、シーズン最大規模となる一日の来場者数1,500人を目指す。

 

 

栁田百織(右/やなぎだ・もおり/身長184㎝/市立船橋高〔千葉〕→順天堂大→富士通カワサキレッドスピリッツ/オポジット)

 

 

 今でこそ大同生命SVリーグ男子は来場者数が10,000人に到達する試合も出てきているだけに、それらの数字と比べれば一見、スケールは小さいと感じるかもしれない。とはいえ、こちらはVリーグ。実際、富士通はここまでホームゲームを10試合戦い、そのうちで最多入場者数は今年124日に「大和スポーツセンター」(神奈川)で行われた埼玉アザレア戦の508人。そのほかの試合はおおよそ100300人であり、いかに今回のプロジェクトが壮大であるかがわかるだろう。なお、会場は東急ドレッセとどろきアリーナのメインアリーナである。参考までに、同サブアリーナで実施した214日、15日のつくばユナイテッドSun GAIA戦の来場者数はそれぞれ187人、325人だった。

 

 地域密着型の運営を推し進めてきたVリーグにおいて、近年は各チームが興行にも注力しており、それは富士通も例に漏れず。富士通のバレーボール部といういわば企業チームであるわけだが、過去のV・チャレンジリーグⅠやV.LEAGUE DIVISION2(いずれも国内2部相当)ではリーグ優勝を飾るなどの実績を残しており、いよいよ本腰を入れて興行と向き合う、そんな姿勢がうかがえる。

 その一方で今季に臨むにあたって、こうした大規模集客プロジェクトに踏み出すかどうかは別として、ファンへの視線を意識してきた選手の一人がキャプテンの栁田百織だ。V2時代の2019-2020-21シーズンにチームを優勝に導き、その2年は最高殊勲選手賞を受賞。一度は現役を退いたものの2024-25シーズンに復帰し、今季はキャプテンを務める。

 

 

ビーチバレーボールのエキシビションマッチに参戦した栁田

 

 

 その栁田は昨年627日に「TACHIHI BEACH」(東京)で行われた「アクティオエキシビションマッチ ビーチバレーボール立川立飛」にチームメートの髙橋太と参戦。大学生やSVリーグのペアら総勢13組の中で4位の成績を残した。

 「ビーチバレーボールということで開放感もあり、さらにエキシビションマッチでしたのでお祭りのようなムードもあったわけじゃないですか。実際に対戦相手には現役大学生もいて、僕は10歳年上だったり(笑) そのなかで最初は緊張しました。本格的にビーチバレーボールに取り組んでいる大学生ペアや、SVリーグというトップカテゴリーの選手たちがいるなかで、大丈夫かな…、と。ですが、思ったよりも自分自身を出せたと感じています」

 栁田が発揮した自分らしさとは。ときにコミカルなアクションを繰り出し、ときに試合中にもかかわらず観客と言葉をかわすなどエンターテイナーとして場を盛り上げる様子だった。

 

 「来ていただいたお客さんたちに、見て、楽しんでもらわなければ、と考えています。僕としては非日常を体験してもらえるような、スポーツはそれこそ娯楽であってほしいんです」

 そう話す栁田はインドアでも同様の姿を披露しており、それはファンにとっておなじみだ。ただし、このときはビーチバレーボールが舞台であり、さらにはSVリーグという“格上”のカテゴリーの選手を目当てに足を運んだファンも少なくなかった。アウェーにもなりえた状況で、栁田に一抹の不安がよぎったのは事実。と同時に、これが富士通カワサキレッドスピリッツという名前を売るチャンスともにらんでいた。

 「そうなんです! それはやはり意識していました。(エキシビションで優勝した)東京グレートベアーズは今とても勢いがありますし、SVリーグの全チームがそうですよね。ですが僕たちVリーグのチームはなかなかそこに追いつけていません。そんななかでどうすれば、お客さんたちの目をこちらに向けられるか。いずれ始まる2025-26シーズンでお客さんたちに僕らの試合へ足を運んでいただき、こちらにも楽しいものがあるのだと少しでも興味を持ってもらうためにとにかく頭を使いました。その点で、今回のエキシビションはベストな場でした」

 

 

試合中にもかかわらず、観客の声援にキメ顔で? 応える様子も

 

 

 栁田しかり富士通のメンバーたちはプレーのみならず、こうしたファンを意識した立ち居振る舞いをある種、得意としてきた。それはチームのスローガン「明るく、楽しく、そして強く」が根本にある。そのうえで栁田は言う。

 「ただ強いだけではいけないし、富士通という企業価値を考えたうえでは、いいチームだと感じてもらう必要があります。バレーボール界全体でプロ化が進んでいくなかで、僕たちは会社員として働きながら、バレーボールにおいてもどれだけ付加価値をもたらすことができるか。今の時代はそこがもっと求められてきていると思うんです。ただ勝つだけ、ただ仕事と競技を両立する、だけでは難しくなってきている。強くて、いいチームを目指す…、実現させたいです」

 

 真剣勝負とエンターテインメントの境界線上で、見るものを沸かせるような“曲芸”を披露する栁田が今季に向けて語っていた胸の内。

「バレーボールって、とにかく楽しいんです。それにバレーボールを通して、選手はこんなに自分を表現できるんだよ、ということを伝えたいですね」

 1,500人という大勢の観客が見守る“ステージ”が今、開演する。

 

 

初めて富士通というチームに触れた観客も少なからずいたはず。ファン目線を最後までかかすことはなかった

 

(文・写真/坂口功将)

 

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【ギャラリー】1,500人動員を目指す富士通カワサキレッドスピリッツが参加したビーチバレーボール エキシビションマッチの模様

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