令和8年度全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会(女子)が、8月3日(月)~7日(金)に滋賀県で行われる。3連覇が懸かる金蘭会高(大阪)は、8月6日(木)~16日(日)にチリで開催される「2026女子U17世界選手権大会」にミドルブロッカーの水野加菜(2年)、アウトサイドヒッターの杉本蓮、リベロの小野花結(ともに1年)を派遣。それぞれの場所で、成長を遂げる夏にする
近畿大会を終えて
すぐに次の舞台へ
余韻に浸ることなく、むしろ足早に金蘭会高の選手たちは会場を去った。決勝では大阪国際高(大阪)に逆転勝ちを収め、自身の持つ連覇記録を「12」に伸ばした近畿大会。一部の選手たちにとっては、その後も予定が控えていた。U17日本代表に選ばれた水野、杉本、小野は、大会を終えて同代表の事前合宿に合流。翌日には、8月6日~16日に行われる「2026女子U17世界選手権大会」に向けて出国した。それはつまり、8月4日から戦いの幕が上がる、インターハイには出場できないことも意味していた。
近年では2023年に開催された「世界U19女子選手権大会」に大森咲愛(筑波大2年)と西川凜(アリーザ愛知)が出場し、インターハイを欠場したように、金蘭会高ではこれまで積極的にアンダーエイジカテゴリー日本代表に選手を送り出してきた。今年も2つの大会が重なり、池条義則監督は「(インターハイ府予選で)勝ったらこう、負けたらこう、と考えたこともありました」と振り返ったが、決断の理由を明かした。
「俺は何を小さいことを言ってんねん、と。これまでずっと、(アンダーエイジカテゴリー日本代表に)協力する姿勢でやってきたので。インターハイ予選と重なっていたらやめていましたが、予選をしっかり戦って、インターハイの権利が取れたら行っていいよ、ということで」
6月の同府予選のベスト4リーグでは、事実上の決勝となった大阪国際高戦をフルセットの末に勝利し、1位で出場権を獲得。昨年行われた「2025女子U16アジア選手権大会」で、主力として4位に貢献した3選手の派遣が決まった。
全中優勝を知る
1年生コンビ
昨年度のインターハイ、春高の二冠に輝いたメンバーが多く去り、その試合の調子によってコートに立つ選手が入れ替わる今シーズン。指揮官が「これからチームをどうつくるのかはまだ考えていません」と、近畿大会からインターハイまでのおよそ2週間で布陣を模索するなか、「ここが代わるのはすごく大きい」と語ったのがリベロだ。
これまでトップリーグに進んだ先輩たちは下級生時にリリーフサーバーを経験し、そこから守護神を務めるケースが多かったが、小野は入学前の全国私立高等学校男女選手権大会(さくらVOLLEY)でデビュー。得意のディグはもちろん、ムードメーカーとしても1年生ながら存在感を放っている。後方から仲間の背中を押す姿勢は、昨年のU16アジア選手権大会でも養われた。
「ブロッカーにどんな声かけをして、ヘルプをすればいいのかを学びました。インターハイ予選ではミドルブロッカーに声をかけたり、サーブレシーブでも絶対に毎回確認するようにして。金蘭会中のときよりも、より声のかけ方が明確になったと思います」
インターハイ府予選までに参加したU17日本代表合宿中には、銀メダルを獲得した前回大会(2024年)の映像を見て「自分も世界でやりたい」という気持ちが芽生えた。その一方で、自チームに戻れば金蘭会高の仲間たちとプレーしたい思いも。だが、大舞台で戦うからには、「やっぱり自分がいないとダメだと思ってもらえるように世界でも活躍したい。帰ってきたときに、成長したと思われるように頑張りたいです」と覚悟を口にした。
その守護神とともに、チームにフレッシュな風を吹き込むのが同学年の杉本。インターハイ府予選、近畿大会と途中出場でパワフルなスパイクを打ち込み、「コートに入ったらビビらずにプレーする」という思い切りのよさでも、仲間を勢いづけた。
中学3年生時の全中では6連覇に輝いたが、「決勝はあまりスパイクを決められなくて。それまではノリと気合いでいけるやろ、という思いもありましたが、このままではダメだと思い知らされました」と満足せず。高校入学までに成長のきっかけをつかんだのが、その3ヵ月後に行われたU16アジア選手権大会だった。
「もともとはテイクバックのときにあまり胸郭が開かなくて、ヒジが下がり、打点を生かせないような打ち方になっていました。でも、ユースで胸郭を開いて打つフォームを教わって。最初はやりにくかったですが、球の速さが変わっていきました」
その後は最高到達点もおよそ10㎝上がって現在は297㎝に。キャプテンを務めるU17世界選手権大会では、「絶対に成長して帰ってきて、インターハイ以上の価値を生み出せるように」と強い上昇志向をのぞかせる。
全国大会経験0から
一気に国際大会を経験
小野や杉本のように、金蘭会高には中学時代に全国大会で実績を残した選手たちが多いが、2年生の水野はエリート街道を歩んできたわけではない。小、中学時代にチームでの全国大会の経験はなかったものの、中学3年生時に出場したJOC杯(全国都道府県対抗中学バレーボール大会)で優秀選手に選ばれると、そこから一気に全中選抜入り。イタリアで行われた海外遠征を「有名な中学の選手ばかりで、最初は行きたくなかった」と笑顔で振り返るが、そこでは想像以上の世界が待っていた。
「海外のチームと試合をするのは初めてで、プレースタイルも日本と違いました。自分のチームでは試合に出るのが当たり前になっていましたが、初めてベンチにいる時間が長くて。より試合に出たい思いも強くなったし、もっとバレーを頑張りたいと思いました。海外の建物やごはんも全部がよくて、めっちゃ楽しかったです」
入学前にはついていけるか不安もあった金蘭会高でも、着実に階段を上ってきた。U16アジア選手権大会に出場した昨年度は先輩たちを応援することが多かったが、今季はブロックやBクイックを武器にミドルブロッカーのレギュラーを務める。「フェイントなどの工夫もしながら、スパイクだけではない点数の取り方を持ち帰りたいです」と目指す場所はまだ先にある。
インターハイ本戦では頼りになる下級生が抜けることは、チームに残る選手たちにとっては成長するチャンスに。1年生時には「2024女子U17世界選手権大会」に出場し、銀メダルとベストアウトサイヒッターに輝いた中山沙也キャプテンの言葉は前向きだ。
「これまで3人に頼りすぎていたところがあったので、いなくなったときに周りがどう頑張るか。もっと自分の実力を上げて、コートに入った子たちが思いきりできるようにしたいです。(3人は)インターハイに出られなくて、チームのことを心配してくれていると思うので、向こうで思いきりできるようなチームをつくりたいです」
真剣な面持ちで夏を見据えたのち、その表情は笑顔に包まれた。
「でも、ちょっと楽しみです。いつもこのメンバーでやってきたので、3人がいなくなってどれだけ頑張れるか。チーム内で競争ができるから、いろんな意味でプラスになればいいなと思います。もっと強くなれると思うので」
インターハイの3連覇が懸かる夏。それぞれの場所で、進化のきっかけをつかんでみせる。
小野花結
おの・はあゆ/1年/身長160㎝/最高到達点273㎝/金蘭会中(大阪)出身/リベロ
杉本 蓮
すぎもと・れん/1年/身長171㎝/最高到達点297㎝/金蘭会中(大阪)出身/アウトサイドヒッター
水野加菜
みずの・かな/2年/身長179㎝/最高到達点292㎝/笠原中(岐阜)出身/ミドルブロッカー
文・写真/田中風太(編集部)
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