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男子準優勝の鎮西高 宮迫監督が描く今どきの高校バレーの戦い方【近畿インターハイ2026】

宮迫竜司監督

令和8年度全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会(近畿インターハイ2026)男子は、準決勝と決勝が88日(土)に島津アリーナ京都(京都)で行われ、清風高(大阪)の初優勝で幕を閉じた。日本代表の一ノ瀬漣キャプテンを擁し、連覇が懸かった鎮西高(熊本)は、決勝で2-325-1717-2525-1818-2513-15)で惜敗。それでも、ベスト4に終わった6月の全九州高等学校体育大会から大きな変化を遂げた背景には、宮迫竜司監督の狙いがあった

 

 

宮迫竜司監督

 

 

大会のたびに

試合動画が上がる立場で

 

 インターハイをおよそ1ヵ月後に控えた6月の全九州高等学校体育大会。5月の全九州総合選手権大会で優勝し、迎えた夏前の最後の公式戦で、鎮西高は準決勝(対東福岡高〔福岡〕)でストレート負けを喫した。ざわつく周囲の心配をよそに、宮迫竜司監督は不敵な笑みを浮かべていた。

「ここからバレーを変えますよ」

 

 ベスト8に終わり、全国三冠を逃した昨年度の春高を経て、常々口にしてきた今季の目標は7年ぶりの春高優勝。昨年11月に亡くなった畑野久雄前監督の後を引き継ぎ、コーチとしては12年間高校バレー界を見つめてきたからこそ、年々険しくなる日本一までの道のりを感じていた。

「データバレーが主流になってきているので、その裏をかくことも考えないと厳しいのではないかと思っています。去年はチームとしてのピークを迎えるのが早くて、ずっと同じメンバーでやっているとどうしても伸びしろが小さくなってしまいますね」

 

 高まる全体のレベルとも相まって、高校バレーの熱も増しており、強豪校の公式戦の動画はSNSや動画サイトにあふれている昨今。なかでも高校トップの関心が寄せられる鎮西高ではそれが顕著で、県予選や九州大会でも下位回戦から映像が出回っている。東福岡高に敗れた際のある動画には、100件以上のコメントが集まった。宮迫監督は言う。

「鎮西の試合映像って、賛否両論、反響がすごいじゃないですか。今は(昨年11月に)畑野先生が亡くなって、これから鎮西はどうなるんだという時期。(5月の)九州大会では優勝したけど、今回は負けて、いろんな評価を受けている状況ですね」

 

 新人大会も含め、2月、5月、6月と行われる九州大会は、結果が上位大会につながらないため、大会によってターゲットはさまざま。「この大会は取りにいく、この大会は試すと判断しながら戦っているのもわかってほしい」と話して続ける。

「試合をしていて、『これもどうせ動画が上がるし』って頭に浮かぶんですよ。いいバレーをしても、悪いバレーをしても上げられる。(対戦チームの)みんなが見ているものと思って準備しないといけません。調べたらパっと見られるから、研究し放題じゃないですか」

 

 

鎮西高

 

 

 インターネットへの動画投稿を禁止する都道府県予選もあるが、それが守られているとは言えないのが現状。すべてを取り締まれないのであれば、と宮迫監督はむしろ逆手に取った。6月の九州大会を終え、選手たちに言ったという。

「案の定、うちの試合がネットに上がっとったろ。いろいろ言われているけど、ここから作り直すから」

 

 畑野監督が掲げた「ポカ(ミス)をしない」という信条は「勝つために絶対必須」と根底に置きながら、全国大会仕様にアップデート。 いざインターハイの幕が上がると、鎮西高は県予選とは別のチームになっていた。

 

インターハイでは

予選からフォーメーション変更

 

 第1シードとして、出場チームでは唯一決勝トーナメントから登場。初戦となった松阪工(三重)との2回戦では、いきなりこれまでとは違う姿を見せた。木永青空と1年生の岩下遼大のツーセッターでスタートし、そこから岩下に代わってオポジットに田中雅輝を投入する布陣に。「木永はもともとスパイカーで、スパイク力が結構あるので。打たせたら決まると思っていました」。関東の大学と練習試合を重ねた7月に生まれたというスタイルで危なげなく勝利すると、セットを落とさないまま今大会の第一目標だったベスト4入り。準決勝では、高校屈指の分析力を誇る駿台学園高(東京)と対戦した。

 

 第1セットは一ノ瀬が相手のブロックにつかまるなど21-25で落とすと、あとがない第2セットに宮迫監督が動く。畑野監督時代から鎮西高ではあまり見られなかったが、スタートのローテーションを変更。これも、大会前から温めていたプランの一つだった。

「データ重視のチームはそこにはめ込もうとしてくるので、そのときはローテーションを変えようと思います。鎮西はこれまで変えたことがないから、やってみようかな、って」

 

 

準決勝では駿台学園高に逆転勝利

 

 

 第1セットのS3ローテーションから、第2セットはS1ローテーションに。相手の身長199㎝のミドルブロッカー小布施琢磨と一ノ瀬のマッチアップをずらしたことで、より一ノ瀬の攻撃が止まらなくなった。第2セットは25-12、第3セットは25-16と圧倒。決勝の清風高戦では、1-1の第3セットにスタートから木永の対角に田中を起用するなど、指揮官は積極的にカードを切った。

 

 互いの意地がぶつかった第5セット。最後は一ノ瀬のバックアタックを切り返され、13-15で敗れた。感情があふれながらエンドラインに整列する選手たちに対して、宮迫監督は珍しくコートの中に入ってまで声をかけた。

「泣かんでいい。春高で勝てばいいから」

 

 今大会で頂点を争った四強を中心に、国スポ、春高と例年以上の激戦が予想される今季。インターハイは大会史に残るようなハイレベルな戦いとなったが、ここはまだ一つ目の山だ。ライバルたちをイメージしながら、何手先までも策を練る。そうやって競い合う関係が、高校男子のレベルをさらに引き上げていく。

 

文/田中風太(編集部)

写真/中川和泉

 

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