バレーボール男子日本代表の高橋和幸(ジェイテクトSTINGS愛知)や村山豪(東京グレートベアーズ)、山本将平(広島サンダーズ)らトッププレーヤーを輩出してきた小学生チーム「東京杉一クラブ」(東京)が8月24日に、東急ドレッセとどろきアリーナ(神奈川)で「第5回宇賀田杯 みんな1番大会」を開催した。これは2022年にコロナ禍で実戦の機会が減少したことを受けて、東京杉一クラブで長年指導する宇賀田眞一監督が始めた大会で、今年は過去最多となる42チーム(男子、女子、混合)が参加した。
当日は宇賀田監督が「今日の試合が終わったときに『バレーボールって楽しいな。みんなとプレーできるのはうれしいな。また明日からも頑張ろう』、そんな気持ちが湧いてくるように力を出してください」と挨拶。メインアリーナでは最大4面、サブアリーナも含めると計7面を目いっぱい使って試合が行われ、参加した小学生たちは汗を流しながらボールをつないでいた。
大会の主旨としては名前のとおり“みんながいちばん”ということで全チームにトロフィーが贈られるが、それでも最後はトーナメントで大会ナンバーワンを争う。そうして決勝に勝ち上がったのが、ホストの東京杉一クラブと小岩クラブ(東京)の男子2チームだった。
小岩クラブといえば、今夏の「スミセイVitalityカップ 第46回全日本小学生大会」男子の部で優勝に輝き、なかでも身長162㎝の木曽幹人は決定力の高さから“世代ナンバーワンエース”の呼び声も高かった。その強敵に対して「相手は日本一だけれど、どこまで食らいつけるか。この前の招待試合で対戦したときに負けていたので、リベンジしたいと思っていました」と東京杉一クラブの岡田隼太朗キャプテン。いざ試合では、木曽の強烈なスパイクを何度も浴びながら、懸命にボールを拾い上げていく。光ったのは、ブロックとレシーブの関係性だ。宇賀田監督は言う。
「相手のエースは能力がずば抜けていて、100%の状態で打たせたら到底かないません。ですが、叩き落としてくるアタックに対してはブロックでなんとかできるはず、と選手たちに伝えて、まずはブロックをきちんとそろえることから。その上から打たれたら、それはもう相手の能力ですからしかたがないと割りきっていました」
木曽に対して、しっかりとブロックに跳び、抜けてきたボールをレシーバーが対応する。「真下に打たれるボールが少なかったのは、ブロックがそろっていたからです」とはレシーバーの志田一眞の言葉だ。その志田はディフェンスだけでなく、「自分の仕事は声を出すこと。自分の声でみんなを助けて、チームを盛り上げたいと考えていた」と味方が得点すれば全身で喜びを表現する。その姿に「気持ちが上がってきます」とエースの木村健人も感謝した。
木村もまた、自分の役割を胸に留めながらプレーしていた。昨年までは主にクイックを打っていたが、6年生となった今年は二段トスにも挑戦。だが、「高いトスに対して自分で合わせて打たなければいけない。そこが難しいようで、なかなか習得できていませんでした」と宇賀田監督が振り返るように、最終的にはクイックを中心とした攻撃を採用することにしている。それでも小岩クラブとの決勝では、ときにオープン攻撃を得点につなげる場面も。「通用した部分もありましたが、拾われる本数も多かった。日本一の相手にも決めきれるアタックが打てるようになりたいです」と木村は言葉に力を込めたのであった。
試合は小岩クラブが優位に進めた。点差も開いていよいよ勝負が決する終盤に入り、宇賀田監督はタイムアウトで選手たちにゲキを飛ばす。
「このままやられたら、並のチームで終わってしまうよ。ここでどれだけ頑張れるか。それがこれからの君たちの力になるはずだから、もう一度頑張ってごらん」
結果として逆転とはならずに敗れた。それでも最後の最後まで1点、2点と積み重ねる姿がそこにあった。
大会を前に、開会式で大会特別顧問を務める東京都バレーボール協会の朝日健太郎会長(参議院議員)は「自分自身、そしてチームの目標を達成するためには、対戦する相手がいて初めてかないます。そうしてお互いに高め合えることがバレーボールでいちばん楽しいことだと私は思います。どうしても最後に勝ち負けはありますが、そうした経験を積み重ねて、これから中学、高校、大学、いつかは日本代表に、と夢を描いて一緒に頑張っていってください」とエールを送っていた。
東京杉一クラブにとって、また今大会において成績のうえで“いちばん”になった小岩クラブにとって、もちろん参加した全42チームにとって。今夏、いろんな相手とネットを挟んで戦った経験が、これからの自分たちをより成長させる力となったに違いない。
(文・写真/坂口功将)
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