クラブ創設5年目の挑戦をスタート 東京グレートベアーズ
- SV男子
- 2026.10.22
国内最高峰リーグ、大同生命SVリーグが3シーズン目の幕を開けた。東京グレートベアーズ(以下、東京GB)は10月7日に都内で2026-27シーズンの開幕記者会見を実施。創設5年目を迎える今シーズン、新たにチームの指揮を執るマウリシオ・パエス監督と、集客目標を掲げた久保田健司球団代表、そして古賀太一郎主将という3人の言葉から、クラブの目指す姿が浮かび上がる
2026-27シーズンを戦う東京グレートベアーズ (©︎ TOKYO GREAT BEARS)
新指揮官は「安定性」を土台に
マウリシオ・パエス監督は、今シーズンのチームづくりについて次のように述べた。
「スタッフ一同、強いチームを作り上げ、一体化した、そして安定したチームを、すべての技術分野において構築していきたい」
重点に挙げたのはブロックディフェンス、サーブ、そしてサイドアウトにおける積極性。まずは「効率的で、一貫性のある安定したチームが必要」としたうえで、速さとバリエーションのあるバレーを目指す。そのために、選手に必要なスキルを身につけさせることが「最初の課題」だという。
「結果は、すべてのプロセスの末についてくるもの」と語る指揮官は、まず“安定”をチームの土台に据える。その取り組みは、すでに練習の中に表れ始めている。
入場者数目標もレベルアップ
指揮官の言葉に呼応するように、久保田代表も新体制への手応えを口にした。
「プレシーズンマッチで、マウリシオ監督体制での違いを既に見つけられている方もいらっしゃると思います。レギュラーシーズンは安定した力を発揮して戦い抜き、チャンピオンシップにピーキングをして、万全の状態で戦う。僕にはもう、この道筋が見えています。皆さんもそう信じてください。チームはもう大丈夫なので、あとは僕らです」
そして掲げたのが、今シーズンのホームゲーム観客動員目標「13万人」だ。SVリーグ初年度は10万人、昨シーズンは12万人を目標に掲げ、いずれも達成してきた。ただ昨シーズンは、最終戦のサントリー戦に約9500人が来場して届いた“ギリギリ”の達成だった。 それでも目標を引き上げたのには理由がある。昨シーズンは年内のホームゲームが2節しかなく、後半に試合が集中。3週連続でホームゲームが続く時期もあった。
しかし、今シーズンはホームゲームとして年内に5節が組まれ、前半と後半とへきれいに分かれている。久保田代表は「それを踏まえると据え置きはダメでしょう、ということで、今シーズンは13万人の目標で皆さんと頑張っていきたい」と宣言した。
「目標達成は十分可能と思っているか」と問われた久保田代表は、「十分可能とは考えていない。相当頑張らなければ」と率直に認めつつ、「この4シーズンで積み上げてきたもの、ファン層が拡大してきたベースがある。“意気込み”込みの13万人です」と語った。
ファンに来場を呼びかける久保田代表
久保田代表が踏み出した新たなステージ
4シーズンを経て、経営の輪郭もはっきりしてきた。アリーナの収容人数が大きく変わらない以上、チケット収入にはおのずと天井がある。そうなると、売上の数字を伸ばしていくための方法は限られる。
「天井が見えないのは、スポンサーさんを増やす部分。スポーツビジネスで言ったら当たり前なのだと思いますが、4シーズンやって、やっと明確に見えたところはあります」
そしてもう一つ、久保田代表が今シーズンに向けて変えたことがある。チームに初めて「勝とう」と伝えたのだ。
「(僕から)言われなくても、選手はみんな勝とうとしか思っていない。『今さら何を言っているんだ』と思われると思って、ずっと言ってきませんでした。お客さんがいて、メディアや自治体がいて、アリーナを貸してもらえて初めて試合ができる。(そういったことを大事にすることを)先にやってきたと思っています。でも経営の構造が見えきて、クラブを支える人たちの思いがあふれてきているのを、選手も自分も感じている。だからこそ、『勝とう』と初めて言いました」
それを聞いた古賀主将からは「やっと『勝とう』とおっしゃいましたね」と言われたという。クラブ側が初めて口にした「勝利」への意志を、選手たちはどう受け止めているのか。
「4年間、跳んでないので」
チームを率いる古賀太一郎主将は、会見で今シーズンを次のように例えた。
「ホップ、ステップ、ジャンプで言うと、(1年目から)ホップ、ホップ、ステップ、ステップで、たぶん今年がジャンプだと思います。皆さまとともにスーパージャンプできるように頑張っていきます」
その真意を問われると、古賀は笑いを交えて答えた。
「もう4年間跳んでいないので。足腰も、しゃがんでばかりだと疲れてくるから、そろそろでしょうと。バネも、溜めた方が高く跳べるので」
東京GBの創設以来キャプテンを務める古賀太一郎 (©︎ TOKYO GREAT BEARS)
根拠はある。今シーズンは20歳のマーク・ルラが加わり、フラーゴラッド鹿児島へ期限付き移籍していた黒川竜星が復帰。それでも主力の多くは昨シーズンと同じ顔ぶれだ
「お互いのよさを知っているのは、いいスタートを切れる強み。チーム全体で昨季の悔しさを共有しているのも強みになる。そういう思いで、今季はジャンプできる気がする」
ジャンプの先はどこなのか。昨シーズンのように「チャンピオンシップ進出」といった目標は記者会見では語られなかった。そのことについて古賀主将は次のように述べた。
「チームとして、目標という目標は立てていません。今、SVリーグは過渡期にある。外国籍選手のオンザコート(同時にプレーできる人数)が3人になり、本当にリーグがどうなっていくかはふたを開けてみないとわかりません。昨季とはガラッと(メンバーが)変わったチームもある。チャンピオンシップ進出というのは本当に年々難しくなってきていますが、今季はもっと難しいと思います。まずは44試合を戦って、チャンピオンシップ進出を目指すのが、クラブとしては第一目標だと思います。3年連続で進出できれば、一つの実績になる」
イスラエルより新加入のマーク・ルラ。プレシーズンマッチでもパワフルなプレーを披露した
指揮官と代表の言葉を引き取るように、古賀主将はこうも語った。
「久保田代表やマウリシオ監督も言ったように、シーズンを通してまず安定性をチームにもたらして、その先は爆発力。そのプロセスを歩んでいくために、まずはおのおのが自分の役割に徹することが大事になる」
新しい指揮官が土台を固め、クラブが目標を掲げ、キャプテンがそれを背負う。4年間溜めてきたバネを解き放つシーズンは、10月17日、有明コロシアムでの北海道イエロースターズとのホーム開幕戦から始まった。
今シーズンはヤン・コザメルニクが柳田将洋とともに副キャプテンに就任した
取材/フジサキヒロ
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