バレーボールの国内最高峰リーグ、SVリーグ男子は広島サンダーズ対東京グレートベアーズ戦が10月31日、11月1日に広島グリーンアリーナ(広島)で行われた。初日に敗れて開幕から3連敗となった広島THは、2戦目に3-2(20-25、25-13、19-25、26-24、15-12)で勝利。ホーム開幕節で今季初勝利を飾った
全員の気迫が伝わった2戦目
絶対に、勝つ。
11月1日に行われた広島THと東京GBの2戦目は、コートに立つ広島THのメンバー全員のプレーからその気迫が伝わってくる試合だった。
広島THはその前週、信州松本トライデンツに2戦いずれもフルセットで敗れ、開幕2連敗。続いて迎えたホーム開幕節には、連日大勢のファンが詰めかけた。何としても白星がほしかったが、10月31日の初戦は新加入のアウトサイドヒッター、モビン・ナスリ・マスタナバドやオポジットのアミン・エスマエイルネザドを中心にリードする場面をつくりながらも、第1、第2セットをいずれもジュースの末に落とし、1-3で敗れた。
もう負けられない2戦目は6,000人を超える観客が見守るなか、第1セットを20-25で失う。すると、カルロス・ハビエル・ウェベル監督は第2セット、新加入の2人に代えてオポジットのダニエル・マルティネス・カンポスとアウトサイドヒッターの柳北悠李をスタートから起用した。これが当たる。カンポスはセット開始から強烈なサーブで東京GBの守りを崩し、サービスエースを含む6連続得点。その勢いのまま25-13で圧倒した。第3セットは小さなミスが重なり19-25で失ったが、勝負を分けた第4セットで粘りを見せる。東京GBのオポジット、バルトシュ・クレクのサービスエースで16-21とされたところから、三輪大将のアタックとブロックで3連続得点。永露元稀、西本圭吾らのブロックで24-23と逆転し、26-24で奪い返した。
フルセットにもつれても、広島THの気迫は衰えなかった。新井雄大主将のサービスエースなどで6-1と先行。象徴的だったのは12-7からの長いラリーだ。東京GBの攻撃を、広島THが何度も拾ってつなぐ。リベロの髙木啓士郎がダイビングレシーブでボールを上げれば、永露は客席まで飛び込んでボールをコートに戻した。最後はクレクのスパイクに永露がかろうじて触れ、第4セットから再び出場していたナスリが足でつなごうと食らいついたが届かず、東京GBの得点に。それでも、どんなボールも落とさないという執念で流れを手放さなかった。猛追をかわした広島THは15-12で逃げ切り、ホームで今季初勝利をつかんだ。
両監督が語った勝負の分かれ目
第2セットからメンバーを入れ替えた理由について、ウェベル監督は「1セット目のシステムがなかなか機能しなかった。攻撃力は東京GBのほうが上回っているので、少しでもレセプションを崩して、相手のアタックが難しい状況をたくさんつくる必要があった」と説明。試合中に何人も交代させるタイプではないというが、この日は「それぞれの特徴を生かしながら、いろいろな状況に応じて起用した」と語る。
その起用に応え、サーブとアタックで流れを引き寄せたのがカンポスだ。指揮官は「まだ21歳と若く、1年半前まではビーチバレーをしていたため伸びしろは大きい」としたうえで、「素晴らしいサーブから何度もいい場面をつくり、アタックは高いところから打てて、ミスも少なかった」と評価した。
一方、敗れた東京GBのマウリシオ・パエス監督は、リードしていた第4セット終盤を勝敗の分かれ目に挙げた。「全選手が少しリラックスしてしまい、終わったと感じてしまった部分があった。ただ実際は、25点に到達するまでバレーは終わらない」。広島THについては「重要な場面でいいプレーができていた。サーブも昨日よりよかった」と振り返った。
新井主将「いちばんやりたい展開をつくれた」
開幕から悔しい敗戦が続くなかでつかんだ1勝に、主将の新井は「ほんとうにホッとしていますし、このホームで、皆さまの応援のおかげで勝てた試合だと思います」と話した。
前日は終盤のミスでセットを落としたが、「そこは修正しないといけない、という話はしていました。その上で、チームのみんなが攻める気持ちを忘れずにプレーしてくれたことがよかった」と試合を振り返った。
第1セットから先発出場していた新井主将だが、第3セットはアタックがなかなか決まらず、第4セットはベンチスタートとなった。ウェベル監督は新井主将について「第3セットはよくなかったが、第4、第5セットで見事に立て直した」とコメント。その新井主将が16-21の場面でコートに戻ってサーブを放つと、三輪が2本連続でブロックを決め、反撃の口火を切った。
「外から見ていて、難しい状況が続いていました。きっかけをつくるプレーができればと思ってコートに入ったのですが、自分の持ち味でもある力強いサーブをしっかり打ちきって、崩したところからブロックという、いちばん僕らがやりたい展開をつくれたのはよかったと思います」
第5セット序盤にも新井主将のサーブから連続得点を奪い、ウェベル監督は「素晴らしいパフォーマンスが出た」とたたえた。
主将として迎えた今シーズン。「キャプテンとして何ができているかまだわかっていない状態ですが、厳しい局面でも主将が率先してコート内にいる、という状況は去年まではなかった。自分のプレーで引っ張れるように頑張りたい」と前を向いた。
三輪はアタック決定率90%の活躍
途中出場の選手が流れを変える一方で、試合を通してチームの土台を支えたのが、三輪、西本、永露そして髙木だ。ウェベル監督も「ずっと出場した選手たちもほんとうに素晴らしいパフォーマンスだった」と評価する。
なかでも三輪は、アタック10本中9本を決めて決定率90%。ブロックでも4得点をあげた。ウェベル監督は「(三輪の)90%は特にサプライズではない。彼は日本人のミドルブロッカーでいちばん攻撃力がある選手だと思っている」と語る。
それでも三輪本人の評価は厳しい。
「今日はよかったと思いますが、まだまだ試合が続くなかで、もっとできることがある。ブロックは自分としてそんなにいい評価ではないので、映像を見返して、次の試合にいい準備をしていきたいです」
課題に挙げたのは、ブロックにおける役割の部分。「自分の判断で動いたところがありました。システム通りに動いて決められたら仕方がないですが、自分で判断して決められるのとは全然違う。チームでやっているので、そこはもっと意識しなければならないと思います」
2シーズン目となる永露とのコンビについても「まだ開幕したばかりなので、合わないときも出てくる。試合を通して合わせていきたい」と、気を緩めなかった。
西本「誰が出ても展開を変えられるチームに」
同じく試合を通してチームを支えた西本は、開幕4戦目でつかんだ初勝利について「勝ちが目の前にあるところで勝つことができず、ずっと悔しい思いをしていました。ホームゲームでしたし、今日こそは勝つぞという強い気持ちを持って挑んでいたので、達成できてよかった」と振り返った。今後の試合についても「この2週で、我慢強く戦っていけば4セット目のように難しい展開から戻れるという経験をしました。まだまだ完璧ではないですし、総力戦で戦わないと難しいチーム。全員がしっかり準備をして、誰が出ても展開を変えられる、厳しい状況を勝ち抜けるようなチームにしていきたいです」と語った。
44試合に及ぶレギュラーシーズンは、まだ始まったばかりだ。この日コートで見せた「絶対に、勝つ」という気迫を胸に、ホームでつかんだ一勝を、広島THはここからどう積み上げていくか。次節は11月7日(土)、8日(日)にアウェーで日本製鉄堺ブレイザーズと対戦する。
取材/フジサキヒロ
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