令和8年度九州大学秋季バレーボール男子1部リーグが9月26日から10月18日まで、3週にわたって開催された。第1週(九州産大)、第2週(西日本工大)といずれも福岡での戦いを経て、最終週の第3週は佐賀プラザ(佐賀)へ。優勝は福岡大で、昨年と同じく春秋連覇を果たしたなか、今季は同じ6勝1敗で並びながら、得点率のわずかな差で春に続く2位に食い込んだのが長崎国際大だ。西日本インカレ3位の勢いそのままに、コートに響く声で流れをつくるチームに迫った
最終戦までもつれた優勝争い
優勝の行方は、最終日の直接対決までもつれた。長崎国際大は第3週の6戦目までを終えて6戦全勝。すべてストレート勝ちだった。一方の福岡大は、第3週初日の九州産大戦に0-3で敗れ、5勝1敗で最終日を迎えた。
長崎国際大は1セットでも奪えば優勝という状況だったが、福岡大が25-17、25-22、25-16のストレートで勝利。第2セットは食い下がったものの、あと1セットが遠かった。両校は6勝1敗、セット率でも並び、最後は得点率(福岡大1.309、長崎国際大1.285)で順位が分かれた。3位は九州産大、4位は西日本工大で、ともに5勝2敗だった(順位はセット率による)。
両チームの声が響き合った一戦
第2週の10月3日、長崎国際大は鎮西学院大と対戦。試合を通して際立っていたのは、長崎国際大の選手たちの声だ。リベロの柊宇都航大主将(くきうと・こうだい/4年)は、小柄な体からひときわ大きな声で的確な指示を出し、エースの山口大吉(3年)も声でチームを盛り立てた。
その声に引き込まれるのか、対する鎮西学院大もセットを重ねるにつれてコート内の声が大きくなっていく。第3セットは接戦となり、両チームの声が響き合うなか、長崎国際大が25-23で奪取。ストレートで勝ちきった。
長崎国際大が意識する「ボールが落ちる前」の声
チームを率いる山口達也監督は、「声」の狙いをこう説明する。
「ボールが落ちてからああだこうだと言うのではなく、ボールが落ちる前に声を出して失点を防ぐ。落とさなくていいボールや合わせられるボールについて、プレー中にしっかりしゃべって、ミスを減らしていこうと話しています」
対戦相手の声がしだいに大きくなっていったのも、偶然ではないという。
「僕たちが声を出すから、対戦するチームも一緒になって声を出してくるんですよね。そうすると、お互いにいいバレーになってしまうんです」と苦笑する。
ただ山口監督は、この日の第3セットについて「相手が乗ってきて、逆にウチが勢いに押されて、少し引いてしまった」と振り返った。声を出す選手は柊宇都主将や山口、その対角の平慈源(たいら・じげん/4年)の3人が中心であり、「それ以外の子が結構おとなしいので、チームとして勢いに乗っていきたいところでなかなかスイッチが入らない」と課題を口にする。
「しっかり声を出してしゃべる」という方針の背景にあるのが、監督が選手たちに伝え続けている、ベースとなる考え方だ。長崎国際大は、決して大型のチームではない。
「高さがあるわけではないので、そこで勝負をしたらやられてしまう。サーブやブロックで相手の攻撃の選択肢を一つでも削れれば、こちらのブロックが捕まえやすくなる。少しでもこちらが守りやすい、有利な状況をつくるということをいつも言っています。ラリー中にしっかりしゃべる、というのもその一環です」
コートの外での振る舞いも大切にしている。時間を守る、あいさつをきちんとする、といった当たり前のことを当たり前に。
「結局は人と人が行うスポーツなので、“ここ”という場面では、その子の人間性が最後に顔を出す。西日本インカレでも、ここという場面で相手がミスをして、うちはミスをしなかった、その差で勝てた試合もあるので、少しずつかたちになってきているのかなと思います」
集大成となる全日本インカレに向けては、「(目標の)ベスト8に入るには、恐らく関東のどこかを倒さないといけない。サーブとディフェンスの強化は必須。その上で、決めるべき人間が決めれば勝っていける」と大舞台を見据える。
守りと声でチームを束ねる主将と、伸び盛りの点取り屋
柊宇都主将は身長168cmと小柄な選手だ。しかし、その声はコート内でよく響き、状況に応じた指示を出しながら仲間を鼓舞する。今年の春季リーグでは敢闘賞、サーブレシーブ賞、リベロ賞を受賞。今回の秋季リーグでもサーブレシーブ賞とリベロ賞を獲得した。
彼は声で果たす自らの役割をこう語る。
「うまく回らなくなったときに、自分の声でうまく回るように。そういった意識で声をかけています」
監督も「あの子の代わりはいない」と全幅の信頼を寄せる。
「チームを後ろから支えて、声で引っ張ってくれる。リベロという立場上、点を取ることはできませんが、ほかのさまざまな面でほんとうによくやってくれています。人に対してしっかり言えるので、締まった空気で練習ができる。リーダーシップにおいても優れています」
その柊宇都主将が「年下ですが、いちばん頼りになる。勝負どころでしっかり頼れるエース」と信頼を寄せるのが、3年生の山口だ。よく跳んで何度もスパイクを打ち込み、サーブでも存在感を放つ。
監督の評価も高い。「もともと、高さやポテンシャルを備えている選手。素直で、指導したことをそのまま吸収するため、この1年でグッと伸びました。はっきり言えばエース、点取り屋です」。
それでも「まだ合格点は出せない。上のカテゴリーでもバレーを続けられる選手になってほしい」と、レセプションやディグ、ブロックといったディフェンス面の向上を求める。
山口本人も、さらに上を見据えている。
「苦しくなったときに、最後に頼られるような存在になりたい。まだなりきれていないので、努力しています。サーブレシーブの返球率を上げてチームに安定感を出すことと、二段トスをどう打ちきるか。その引き出しを増やしていきたい」
チームの課題も自覚している。「押されて雰囲気が悪くなったときに弱い。どんなときでも自分たちのプレーができるようになりたいです」。
7月の西日本インカレでは、優勝した近畿大に準決勝で敗れた。他大学の監督からも勢いがあるチームとして名前が挙がる存在になった一方で、全国の上位との差も肌で感じた大会だった。
「近畿大に負けて、自分たちの実力がわかりました。相手は身長が高く、高さを生かしてくる。ウチは低いので、レシーブの粘り強さ、コンビの種類を増やすこと、ここぞというときに全員が決められる、全員で戦えるチームを目指しています」(柊宇都主将)
チームの目標は、まだ届いたことのない全日本インカレのベスト8に進むことだ。そのためにも「雰囲気はものすごく大事」と監督は強調する。
九州で培った声のバレーが、全国の舞台でどこまで通用するか。全日本インカレは男女各64校が参加し、11月30日(月)に東京で開幕。翌12月1日(火)の1回戦で、長崎国際大は大阪産大(関西1部2位)と対戦する。
取材/フジサキヒロ
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