サイトアイコン 月バレ.com【月刊バレーボール】

月バレ!ザ・ワールド/vol.3-スロベニア男子-

 Hello!! 月バレ編集部のGUCII(グッチー)です。日本で開催されているワールドカップバレー2019は女子大会がいよいよ最終日。と同時に、今宵はヨーロッパ選手権の男子がファイナルです。快進撃を見せたスロベニア男子の準決勝をレポート!!(Photo:CEV)

 それではご一緒に。月バレ!ザ・ワールド!

GUCIIの 月バレ! ザ・ワールド】vol.3

■ジャイアントキリング連発。タレントぞろいのスロベニア男子

代表の顔、ウルナウト(写真右)が闘志むき出しにプレーする

今夏はチャレンジャーカップで優勝

 

 現地9月23日、今大会の準々決勝でスロベニア男子があげたのは、大金星にほかならなかった。それもそのはず。スロベニアはFIVBランキング(2018年10月最新時点)17位で、対するロシアは5位。なおかつ今年のスロベニアは、ネーションズリーグの下位大会であるチャレンジャーカップで優勝したわけだが、ロシアはネーションズリーグで見事2連覇を遂げている。そのスロベニアがヨーロッパ選手権という大舞台で勝利したのだから、開催地である国民たちの歓喜は計り知れないだろう。

 

 とはいえ、実のところスロベニアは“タレントぞろい”のチーム。代表の顔はティネ・ウルナウトで、近年はイタリア・セリエAの名門モデナでプレー。高い打点から巧みにコースを打ち分け得点を重ねるアウトサイドヒッターだ。同じくアウトサイドヒッターのクレメン・チェブリも決定力の高さを備える一方、スポーツブランドの広告塔を務めるなど、その甘いマスクで人気を集めている。そして、2019-20V.LEAGUEではウルフドッグス名古屋でプレーするミチャ・ガスパリニは強烈なスパイクが持ち味のオポジットだ。

 

 ちなみに、日本は2017年のワールドリーグや2018年の世界選手権で対戦し、いずれも敗れている。

準決勝でポーランドと対戦。クイックを打つパイェク(コート奥左)

世界王者ポーランドと真っ向勝負

 

 さて、勢いに乗るスロベニアは現地9月26日の準決勝へ。相手のポーランドはキャプテンのミハウ・クビアクを筆頭に、ミドルブロッカーのピヨトル・ノバコフスキー、セッターのファビアン・ジズカら、昨年の世界選手権優勝メンバーがずらり。優勝の立役者となったオポジットのバルトシュ・クレクは不在だったが、それでも今年から加わった元キューバ代表の“地上最強アタッカー”ウィルフレド・レオンを擁する布陣で臨んできた。

 

 その強敵を相手にスロベニアは真っ向からぶつかりあった。第1セットはポーランドが新鋭オポジットのマチェイ・ムザイやジズカのトスに精彩を欠き、その流れに乗じてガスパリニやチェブリが得点を重ねる。23-22からチェブリのサービスエースでセットポイントとすると、レオンに得点を許したが、最後はミドルブロッカーのアレン・パイェクがレオンをブロックシャットし、25-23でセットを先取する。

 

 第2セットではスロベニアのサーブレシーブが安定し始め、ウルナウトやチェブリがバックアタックを仕掛けるなど、リズムを作る。しかし、終盤になるにつれ、ポーランドのサーブに苦しむと、最後はムザイに代わって入ったオポジットのダビド・コナルスキーにブロックされ、24-26でセットを落とす。

ウルナウト(中央)がポーランドを打ち破る

大歓声の後押しを受けて、得点を重ねる

 

 ポーランドの強固なブロックにはね返されたスロベニアだったが、地元の大歓声はやむことがない。そのムードが選手たちの背中を押し、第3セットは序盤で先行する形に持ち込む。パシェクがクビアクをブロックし、12−8とリード。ポーランドはミドルブロッカーのカルロス・クゥオスやアウトサイドヒッターのアレクサンデル・シリフカを投入し流れを変えようとするが、中盤はスロベニアのチェブリが波に乗り得点を重ねる。ミドルブロッカーのヤン・コザメルニクのクイックやウルナウトのバックアタックなど、縦横無尽に攻撃を展開し、このセットを25—22で取りきる。

 

 第4セットはスロベニア、ポーランドともにサーブミスなどおかまいなしに、攻撃的なサーブを繰り出す。スロベニアは15−16からウルナウトのサービスエース(クビアクが弾くほど!)で同点に。一進一退の攻防が続く中、21−21からオポジットのシュテルン・トンチェクがクビアクをブロックシャットしリードする。ふたたびクビアクが得点しポーランドが同点としたが、ここからウルナウトがスパイクとサービスエースをマークし、マッチポイントへ。ウルナウトのサーブミスで24−23としたが、最後はクビアクがサーブをネットにかけて、ゲームセットとなった。

ポーランドを撃破し、歓喜するスロベニアのメンバーたち

決勝戦はセルビアと。日本時間29日(土)24:30〜

 

 終わってみれば、3−1(25-23,24-26,25-22,25-23)でスロベニアが勝利。レオンが22得点、クビアクが14得点をあげたポーランドに対し、スロベニアはウルナウトがチーム最多18得点、チェブリが15得点、トンチェクが14得点と続き、攻撃枚数の多さで上回った。

 

 ロシア、ポーランドというタイトルホルダーたちを撃破したスロベニア。お祭り騒ぎの応援席に囲まれて、選手たちは抱き合い、喜びを分かち合った。

 

 さぁ、決勝はこちらも屈指のタレント軍団であるセルビア。オポジットのアレクサンダル・アタナシエビッチのほか、アウトサイドヒッターのウロシュ・コバチェビッチやミドルブロッカーのスレチコ・リシナツらを擁し、ヨーロッパの頂点を目指す。

 

 日本時間の今夜、パリ(フランス)で行われる決勝戦に注目したい。

***************

<画:大嶽あおき>

著者紹介:GUCII(グッチー/坂口功将)。2016年春入社。月バレ編集部に配属後、本誌で『WORLD VOLLEYBALL NEWSPAPER』、「月バレ.com」では『WEEKLY SERIE A』を担当。昨年、世界選手権の男女両ファイナルを取材した唯一の日本人記者という称号を得る。だが、英語が特に話せるわけではない。

モバイルバージョンを終了