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【リベロがBクイック】踊る人、ポーズ取る人、静かな人【ワールドカップ編2】

 長い大会だと体調管理も大切な仕事なので、朝ごはんでは意識的に野菜をたくさん取るのですが、自分、野菜そんな好きじゃないみたいです。食べてるときテンション下がってますもん。好き嫌いを言ってるから身長伸びなかったんですね。身長160cm、#低身長男子のカメラマン中川です。

 

 女子大会は終わり、男子が始まってますが、今回のコラムはまだ女子大会でのネタをお送りします。たくさんの国が来ているワールドカップを撮影していると、ちょっとしたところでもそれぞれの国の文化や国民性の違いを感じます。今日はそんなお話。

 

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 大会の撮影では試合中だけではなく、様々な場面を撮影します。コートに入っていく待機場所での各国の姿などもその一つなのですが、その様子はいろいろです。

 

 一番印象的だったのはカメルーン。待機場所の通路に大きな声が響いてきます。なんと選手たちが2列にならんでステップを踏みながら、手拍子でリズムを刻みつつ、大きな声で歌いながら歩いてきます。JVAのインスタグラムでも動画があがってましたよね。待機場所にたどり着くと、みんなで輪になってまだまだ歌い、踊り続けています。ねぇ、疲れない?試合前に疲れない?

 

キレイに並んでステップ踏みつつやってきます

 

 すると、キャプテンが選手を指名します。指名された選手は輪の真ん中に出てきて踊ります。まさかのソロパート!しばらく踊るとまた別の選手が指名されます。もはやお祭りです。カメルーン祭りインワールドカップです。いつか俺も輪に加わって踊りたい。

 

これからソロパートが始まります

 

 続いてドミニカ。陽気な彼女たちはとにかく写真好きっす。カメラ向けるとすぐにポーズをキメてくれます。それどころか、「このポーズでも撮って」「次はこれよ」と即席の撮影会みたいになります。東レアローズにも所属していたデラクルズ選手も、いつもキレイにポージングして「さぁ撮って♡」と目線をくれます。選手によってはひとりでポージングして撮影してるところに他の選手が入ろうとすると「いま私のソロタイムよ、あっち行って」っと追いだします。先輩選手に多いパターンです。後輩かわいそう。でもソロが終わると一緒に撮ります。先輩優しいけど欲張り。

 

カメラを見つけるとすぐにポージング

 

 試合で勝ったあとも「写真撮って」オーダーが続くので、写真をすぐウェブにアップしないといけない自分にとっては、ほどほどで切り上げる必要があります。ドミニカの選手たちごめんよ。でもいつも可愛いポーズありがとう。

 

 アメリカは試合中と試合前後のギャップがすごいです。入場する3秒前くらいまでみんなで話しまくり。踊ったりふざけたりしながら、大きな笑い声をあげながら楽しんでます。通訳さんがおっしゃっていた「高校生みたいですよ」というコメントで、みなさんにもイメージしてもらえるかもしれません。たしかに休み時間に教室の窓際でみんなで輪になって話してるみたいです。スタッフさんが先生みたいに「はーい入場しますよー」って言うまでおしゃべりは止まりません。「静かになるまで何秒かかりましたかー?」とか先生が言おうとして待ってると、たぶん静かになりません。

 

みんなで輪になっておしゃべり中です。コートに入場する30秒前くらいでこのリラックス

 

 でも試合がはじまるとスゴいカッコ良い姿で、集中した表情で試合してます。完全にアスリート。で、終わるとまた女子高生に戻ります。スイッチのオンオフのギャップがすごいです。

 

 我らが日本代表は戦いに行くサムライのようなイメージです。静かに、選手それぞれの方法で集中力を高めていってる様子がわかります。選手によっては笑顔ももちろんありますが、海外にくらべるとかなり静かっす。入場口で陶山マネージャーとハイタッチしてコートに入っていくのですが、そのハイタッチの音がバチンと強くなるたびに、戦いに向かう気合いが感じられて撮影しててもグッときます。

 

入場前のハイタッチ。バチン!と気合の入った音がします

 

 

 

 同じ競技をしていても、入場での姿を比較するだけでもこれだけ違うんですよね。とはいえ、そんな違いをもつ人たちが「つながる瞬間」があるのも国際大会ならではです。

 

 日本対ケニア戦でのこと。試合が終わって、日本が勝ったので集合写真を撮ろうとしていると、ケニアの選手たちが「一緒に写真撮ろうよ!」と集まってきました。負けた後だけど、とても明るく、みんなでごちゃごちゃになって集合写真の撮影をしました。現在開催中のラグビーワールドカップでもよく聞く言葉で言うと「グッドルーザー」でしょうか?対戦国同士がバレーを通してつながるというのはほっこりしますね。

 

ケニアチームと一緒に記念撮影

 

 そのケニアの選手たちですが、試合にはなかなか勝てていませんでした。ですが、彼女たち、試合中とにかく明るいのです。点を取られても、試合に負けても、明るく笑顔でバレーしている姿がとても好印象なのでした。観客の皆さんもそう感じたのでしょうか、選手たちが退場するときにはたくさんの拍手が送られていました。応援したくなるチームだったのだと思います。違う国の選手がお客さんに何かを伝えられることもスポーツの最高の瞬間のひとつだと思います。それもまた言葉を超えて「つながる瞬間」のひとつだと思いました。

 

笑顔が絶えないケニアの選手たち

 

 そんな瞬間はすでに始まっている男子でもたくさん見ることができます。またお伝えしますね。

 

Photo:FIVB

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