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何もない環境を整えるところから こんバレ第9回【ケニア編】

  • 海外ニュース
  • 2022.02.02

 

青年海外協力隊による、海外のバレーボール事情や、実際に行った普及活動の様子をお届けする「世界の国で発見! こんなところにバレーボール」、略して「こんバレ」。第9回はケニアに派遣された巽さんの活動をご紹介します。

 

デコボコのコートに手書きのライン

 

 私は旅行などでは知ることができない、現地に根差すからこそ見えてくるものをすべて体感したいという思いから青年海外協力隊に応募しました。最初は自分の好奇心を満たすという利己的な発想だったと思います。

 

 派遣先はケニアで、バレーボールコートは野外ということは分かっていたものの、ネットを張るための支柱は木杭、地面には草も生え、ならされてもおらずデコボコのコートを見ると改めて驚きました。またコートのラインは毎回木の棒で手書きするため曲がっていて、そもそもコートの寸法も測っているわけではなく、アバウトなものでした。また、日本では当たり前のように試合で使用する得点板や、学校の部活でも使用されているブロック板などはもちろんありません。

 

 また、日本では小さなころからウォーミングアップなどをしてから運動するという意識が根づいていますが、ケニアでは、ほとんどのチームがすぐにゲームを始めます。

 

 私の活動は、当たり前が当たり前ではない環境を整えるところから始まりました。

 

 まずは道具や環境からです。溶接などができる隊員に協力してもらい、現地にある材料で工夫して得点板やブロック板を自作して、各チームに配布。コートにはひもを使ってまっすぐなラインを引きました。また、練習方法についての伝達には特に力を注ぎ、ウォーミングアップから始まり、筋力トレーニングの方法、ボールを使った基礎練習など、道具に頼らずにできる方法を考えて教えます。また、現地のコーチたちから依頼を受け、それらを冊子にまとめて配布し、自分たちだけでも行えるような環境を整えていきました。それぞれに思った以上に喜んでもらえて、やりがいと達成感で満たされたことを17年経った今でも覚えています。

 

コート作りはひもを使ってラインを作るところから

 

 よいことばかりではなく、大変なこともありました。日本人はお金持ちと思われているので、犯罪に巻き込まれないようにするための自己防衛意識は常に持つようにしていました。現地では信頼できるケニア人女性が一緒にいたのですが、その安心感はとても大きなものでした。

 

 珍しい経験もしました。現地の日本大使館の要請で、ケニアに招かれた菅原貞敬監督(現日立Astemoリヴァーレシニアアドバイザー)と一緒に女子ナショナルチームのサポートに関わったのです。この時のご縁がきっかけで、帰国後に女子日本代表のトレーナーとして、タイで行われたアジア大会に帯同しました。私のバレーボール人生にとってありえない程の貴重な出来事でした。

 

 

指導に招かれた菅原氏とケニア女子ナショナルチーム

 

 

 はじめは自分の好奇心を満たすという利己的な発想で始まった海外協力隊の活動でしたが、現地で行ったことに対してケニアの方々が喜んでくれることがやりがいとなり、ケニアの方々のための活動となりました。また現地で生まれたご縁で自分の人生がひょう変することにも、驚きとありがたさを感じました。

 

 

巽 聡美(たつみ・さとみ)

1964年7月22日生 北海道網走郡美幌町出身。

バレーボール歴は中高と短大で計6年。短大ではスタメンでエースアタッカーを務めた。

 

【ケニアってどんな国?】

ケニア共和国

面積:約58万3000km²(日本の約1.5倍の広さ)

人口:約4970万人

首都:ナイロビ

 

 

【青年海外協力隊とは?】

JICA(国際協力機構)が実施する海外ボランティア活動。開発途上国の国づくりに貢献するために活動しており、職種や業務内容はさまざま。スポーツ分野ではバレーボール隊員も派遣されている。

応募ページURL:https://www.jica.go.jp/volunteer/index.html

 

【写真】自作したブロック板や得点板など

  • インターハイ2021

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