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オスマニー・ユアントレーナがイタリア代表の後継者アレッサンドロ・ミケレットに託したジャージ

  • コラム
  • 2022.03.16

 ある人は言う。背番号は数字に過ぎない、のだと。それでも、見る人はそこに物語を投影する。

 

 昨年秋の男子アジア選手権。日本代表の大塚達宣(早稲田大)が背番号「5」をつける姿に、それまで代表でその番号を背負っていた福澤達哉(元・パナソニックパンサーズ)の姿を重ねた人は少なくないはずだ。2人は洛南高(京都)出身という共通点があり、ポジションは同じアウトサイドヒッター。大塚にとって、福澤は「競技だけでなく、人間性の面でも憧れの存在」だった。

 

<背番号「5」をつけた大塚>

 

 「受け継いでいるかはわからないですが(笑) 同じ背番号をうれしく思いますし、福澤さんのようなチームの中心選手になれるよう、いっそう頑張りたいです」

 

 どこか照れくさそうに、それでも力強いまなざしで意気込みを口にする大塚の姿が印象的だった。やがて、昨年春に現役を引退した福澤がプレーしたパナソニックのユニフォームを、今は大塚が身にまとっている。ここでも背番号は同じ「15」だ。

 

 そんな物語は日本だけでなく、イタリアバレーボール界でもつづられていた。舞台は昨年夏の東京、数字は偶然にも同じ「5」だった。

 

<オスマニー・ユアントレーナ(Osmany Juantorena)/身長200センチ/最高到達点370センチ/1985年8月12日生まれ/イタリア/アウトサイドヒッター/Photo:FIVB>

 

オスマニー・ユアントレーナがイタリア代表を引退

 

 2021年8月3日、有明アリーナ(東京)。東京2020オリンピックのバレーボール競技男子は決勝トーナメントが始まった。負ければ終わりの戦いでイタリア代表は準々決勝に臨み、アルゼンチンに敗れる。

 

 その試合後、チームのエースであるオスマニー・ユアントレーナは代表引退を発表した。

 

 「この素晴らしい旅路を、敗戦で終えるのは悔しいです…。代表のユニフォームを着られることは光栄でしたが、この青いジャージに別れを告げるときがきました」

 

 キューバ出身のユアントレーナは抜群の身体能力を生かし、若くしてバレーボール界のトッププレーヤーの仲間入りを果たす。イタリアに渡ると、セリエAのトレンティーノで国内リーグのタイトルを総なめ、世界クラブ選手権4連覇に貢献した。

 

 そうしてイタリアに帰化し、代表入りが解禁されたのは2015年。自身にとって初のオリンピックであった2016年リオデジャネイロ大会で、銀メダルを手にしている。熱狂的なファンから絶大な支持を受けた。

 

 「チームメイト、スタッフ、そしてイタリアバレーボール連盟へ、あなたたちがくれたチャンスに感謝します」(ユアントレーナ)

 

<準々決勝でアルゼンチンに敗れ、うつろな表情のユアントレーナ/Photo:FIVB>

 

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