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春高2024

オスマニー・ユアントレーナがイタリア代表の後継者アレッサンドロ・ミケレットに託したジャージ

  • 編集部取材
  • 2022.03.16

<東京2020オリンピックでエース対角を組んだ⑤ユアントレーナと⑱ミケレット/Photo:FIVB>

 

将来を有望視されるミケレットと、ともに戦った最後の舞台

 

 自身のSNSで感謝の思いをつづったユアントレーナ。その後、まもなくしてチームメイトであるアレッサンドロ・ミケレットとのツーショットを投稿している。

 

 そのミケレットの手には、ユアントレーナが着用していた背番号「5」のジャージがあった。

 

 ミケレットといえば、19歳の若さでオリンピックのメンバー入りを果たした新鋭。アンダーエイジカテゴリー代表で実績を重ねていた中での、シニアへの大抜擢だった。大会本番では、このとき35歳のユアントレーナと対角を組んでプレーしている。

 

 ユアントレーナが東京2020オリンピックでの代表引退を前もって決めていたのかは、今となってはわからない。けれども、自身の対角に入る若駒に、エースとしての背中を見せていたのは確かだ。

 

<日本戦の第4セット序盤で5-1と、リードに成功したイタリア。その得点すべてをたたき出したのがユアントレーナだった/Photo:FIVB>

 

 それが表れていたのが、大会の予選ラウンド第3戦の日本戦。その第3セット、ミケレットは徹底的にサーブで狙われる。徐々にサーブレシーブの精度も落ち、やがてセットを落とした。

 

 そんなムードを一変させたのがユアントレーナだった。続く第4セットは出だしから高い決定力を見せて、連続得点を奪ってみせる。エースの活躍によって息を吹き返したイタリアが、このセットを制して勝利した。

 

「言ったでしょう? 君はフェノーメノなんだ、って」

 

 そのユアントレーナが代表を去り、ミケレットはエースの責務を担うことになった。東京2020オリンピック直後に臨んだヨーロッパ選手権では、同い年のダニエレ・ラビアと対角を組み、チームを決勝へと押し上げる。スロベニアとの決勝ではフルセットにもつれる激戦の中、しり上がりに調子を上げていくと、最終第5セットでは9-7から値千金の連続サービスエースがさく裂。リードを広げたイタリアは見事、優勝を手にした。

 

<アレッサンドロ・ミケレット(Alessandro Michieletto)/身長205センチ/最高到達点357センチ/2001年12月5日生まれ/イタリア/アウトサイドヒッター/Photo:FIVB>

 

 ミケレットを始めとする若手主体のチームがつかんだ栄光に、次世代の到来を感じずにはいられなかった。そして、ユアントレーナも、このようなコメントで祝福の言葉を送っている。

 

 「言ったでしょう? 君はフェノーメノ(怪物)なんだ、って」

 

 ヨーロッパ選手権のあとには、地元開催のU21世界選手権でも頂点に輝き、MVPに選出されたミケレット。そして、2021/22シーズンではセリエAのトレンティーノでレギュラーを張り、スーペルコッパ(スーパーカップ)優勝、コッパ・イタリア(カップ戦)準優勝に貢献している。

 

 偶然か、それとも、必然か。トレンティーノで今、彼がつけている背番号はやはり、かつてユアントレーナがつけた「5」。U21イタリア代表でもミケレットはその番号をつけており、おそらくは今年度からシニアでも、という見方は強い。むしろ、それを願いたくなるものだ。

 

 いつだって “継承の物語”は、その移り変わりを目にする人の胸を熱くさせる。

 

(文/坂口功将〔編集部〕)

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継承の物語は、ここにも。

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