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春高2024

「このシャツを着るかぎりは…」ブラジル男子のブルーノが日本戦で6番を着た背景と節目の年に語ったプライド

  • 編集部取材
  • 2022.08.28

 バレーボールの2022年男子世界選手権は、ブラジルが開幕戦でキューバに2セットダウンから逆転勝利を収めるという劇的な幕開けとなった。ブラジルといえば、世界選手権で初優勝を遂げた2002年以降、前回まで5大会連続の決勝進出を果たしており、その中には史上最多タイの3連覇も含まれる。

 

<世界選手権では初優勝から3連覇を達成したブラジル。写真は2022年世界選手権(Photo:FIVB)>

 

今年のネーションズリーグは準々決勝敗退。王国が苦しんでいる

 

 世界選手権も含め主要国際大会では常にメダルを獲得し、2003年からはFIVB(国際)ランキングの1位に君臨し続けてきた、まぎれもない“バレーボール王国”のブラジル。だが、近年は苦しむ場面も見られ、昨年の東京2020オリンピックでは南米大陸のライバルであるアルゼンチンとの3位決定戦で敗れて4位に。今年のネーションズリーグでも決勝トーナメント準々決勝でアメリカに敗れ、最終成績は6位だった。

 

 加えて2020年にFIVBランキングのポイント算出方式が変更され、国際大会における一戦ごとに対象となったうえ(それまでは主要大会のみが反映されていた)、上位にいたブラジルはランキング下位チームに黒星を一つ喫しただけで、大きくポイントを失うことになり、ついにはランキング1位の座から陥落している。

 

 そうした現実に直面しているわけだが、これまでの栄光の歴史の当事者として、現在も代表のキャプテンを務めるブルーノ・レゼンデはどう感じているのか。現状を予見した、と言えばこじつけかもしれないが、振り返ること3年前の2019年ネーションズリーグのファイナルラウンド。若手主体のポーランドにファイナル6、3位決定戦ともに後塵を拝し、4位で大会を終えたときに、ブルーノはこう話していた。

 

 「私たちと試合を戦う際、相手は常に全力で倒そうとしてきます。ゆえに、激しい戦いになるのは当然。それがブラジルの宿命なのです」

 

<Bruno Rezende(ブルーノ・レゼンデ/1986年7月2日生まれ/身長190㎝/最高到達点323㎝/セッター)>

 

日本との親善試合で、栄光をオマージュしたシャツを着用

 

 王座から引きずり降ろそうと、他国が襲いかかってくる。その歴史が始まり、つづられること30年。発端は、やはり1992年のバルセロナオリンピックだろう。バレーボールにおける最高の舞台でこのとき、ブラジルは初の金メダルを手にしている。

 

 そうして今年、ネーションズリーグ開幕を目前に控えた6月5日、ブラジルにて男子ブラジル代表は日本代表とフレンドリーマッチを行った。その試合は“戴冠30周年記念”と銘打たれ、ブラジル代表は特別なユニフォームを着用した。

 

 現在は青色のパンツだが、この試合では緑色。また選手たちの背番号も従来の登録番号とは異なり、代表では背番号「1」が代名詞といえるブルーノもこのとき着けたのは「6」。それらは1992年バルセロナオリンピックのオマージュであり、背番号「6」は当時を代表するセッター、マウリシオ・リマの数字。なお、ブルーノ(BRUNO)がこの試合で着用したジャージのシャツネームは「MAURICIO」だった。

 

<往年の名選手マウリシオ(左)とブルーノのツーショット(Photo: Wander Roberto/Inovafoto/CBV)>

 

 節目の年に迎える世界選手権。開幕戦ではキューバに2セットを先取されるなど、ブラジルにとってはこの先も激しい戦いが続くと予想される船出となった。それでも、やるべきことは変わらない。

 

 今年7月、大阪の地でネーションズリーグ予選ラウンドを戦い終えたブルーノは強いまなざしで、世界選手権イヤーに臨む胸中を明かした。

 

 「このブラジル代表のシャツを着るかぎり、世界選手権の決勝の舞台に立つのは当然なことです。今回はキューバ、日本、カタールと同じという非常に厳しい組になり、戦い抜くのは難しいと感じています。ですが、私たちのミッションは決勝のコートにたどり着き、そこで勝利することです。

 ブラジルのプライドとは? それはパッション、情熱です。試合ではそれが最も大切な要素です。エナジーを持ってプレーすることが何よりも大事です」

 

 彼らが着るシャツのカラーリングは、国鳥であるカナリアの羽色を模したものであり、また、30年前に手にしたメダルの輝きにも見える。それは、男子ブラジル代表の矜持そのものなのだ。

 

<日本との親善試合では背番号「6」を着用してプレーしたブルーノ(Photo: Wander Roberto/Inovafoto/CBV)>

 

(取材・文/坂口功将)

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