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クラブ、代表でV逸のクレクが敗戦後に見せるリーダーの姿。永露元稀への抱擁に込めた思い

  • V1
  • 2022.09.13

 2022年男子世界選手権は現地9月11日にカトヴィツェ(ポーランド)で閉幕し、大会3連覇を目指したポーランドは決勝でイタリアに敗れた。そのチームでキャプテンマークをつけたのが、バルトシュ・クレク。Vリーグのウルフドッグス名古屋でキャプテンを務めた昨季も、リーグ優勝を逃す結果に終わっていた。だが、その場面でこそ、彼の人間性が現れていた

 

<22年世界選手権で銀メダルを首にかけるクレク(中央⑥/Bartosz Kurek/身長205㎝/1988年8月29日生まれ/オポジット/写真:FIVB)>

 

自国開催の世界選手権で準優勝

 

 スタンドはポーランド国旗の紅白で彩られ、満員の客席からは「POLSKA(ポルスカ)」コールがやむことはない。男子ポーランド代表にとって、自国開催の世界選手権は史上3ヵ国目の偉業となる3連覇を懸けた大きなチャレンジであると同時に、その熱狂を生み出すファンそして国民への期待に応える舞台でもあった。

 

 結果はあと一歩及ばず、準優勝。歓喜するイタリアとネットを挟み、ポーランドの選手たちは悔しさをかみしめていた。だが、表彰式ではチーム全体に明るいムードが。キャプテンとして銀色のシャーレ(盾)を受け取ったバルトシュ・クレクは、「どうだ」と言わんばかりに、整列するチームメートたちに見せびらかせながら、表彰台の前を小走りする。

 

 もちろんクレクだって、悔しくて、悲しいはず。けれども、彼は誇らしかったのだ。大会を戦い抜いた、このチームが。

 

<手にしたシャーレをチームメイトに披露した(写真:FIVB)>

 

2021-22 Vリーグの決勝で敗北。そのとき、クレクは

 

 あのときもそうだった。今年4月17日、2021-22 Vリーグのファイナル第2戦。クレクが所属するWD名古屋は第1戦(4月10日)でストレート勝ちを収めながら、この試合では逆に1セットも奪えず。ゴールデンセットに突入し、結果として優勝を逃している。

 

 WD名古屋の選手たちは悔しさに打ちひしがれ、コートに座り込み、涙していた。その中で、クレクは一人一人に声をかけていた。その振る舞いについて、本人はこう語る。

 

 「敗北を受け入れることは難しいものです。闘志の炎が消えたような感覚ですね。ですが、そのときに進むべき道は2つあります。

 一つは悲しみに暮れ、『ああすればよかった』と過去を悔やみ、自分に謝罪することです。けれども、私はこのアプローチを好みません。

 もう一つは、気持ちを切り替えて、次に向けて進むことです。チームがシーズンを通して成し遂げてきたことは素晴らしく、そのことをチームメートに伝えたいと思っていました。キャプテンの責任にはチームをモチベートすることがありますが、その中でも成し遂げたこと、ほめるべきことに対してメッセージを送ることもその一つであるわけです。

 あのときは、みんな感情的になっていましたね。ですが、リーグ戦を終えたときに、私は決して泣くことはないと感じていました。確かに望んだ結果ではありませんでしたが、それでも懸命に前進し続けて、ほんとうに素晴らしいシーズンを送れたのですから!!」

 

 このときクレクは、涙する永露元稀を抱きしめていた。クレクが明かすに、ほんの短いメッセージを伝えたという。それは、こんな言葉だ。

 

 「大丈夫。今日は涙するだろうけど、自分たちに誇りを持とう。そして、顔を高く上げて、“これから”を見つめるんだ。いつか今日の結果を振り返ったときに、あれがいいシーズンだったね、と言えるようになろうよ」

 

<優勝を逃し、悔しさをにじませる永露を抱きしめ、健闘をたたえる>

 

>>><次ページ>クレクが向き合う、キャプテン像とは

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