サイトアイコン 月バレ.com【月刊バレーボール】

ヴォレアスの新司令塔 山岸隼 「落ち着いて戦術を遂行できるセッター」と指揮官も評価

 

 

 2022-23 Vリーグはすべてのカテゴリーで年内の戦いを終えた。V2男子で現在、7勝1敗で首位に立つのはヴォレアス北海道。昨季はV・チャレンジマッチ(入替戦)に進み、悲願のV1昇格まであと一歩に迫った。そのチームを今季、セッターとして操るのが山岸隼である。

 

 

山岸隼(やまぎし・じゅん/1999年8月3日生まれ/身長185㎝/最高到達点330㎝/東山高〔京都〕→中央大→VC長野トライデンツ→ヴォレアス北海道/セッター)

 

VC長野に内定選手として加入し、ヴォレアスと対戦も

 

 11月5日、2022-23 V2男子開幕戦。ヴォレアスは大同特殊鋼レッドスターにストレート勝ちを収め、シーズンのスタートを切った。チーム創設時から目指すV1の舞台へ再び歩みを始めたわけだが、その顔ぶれはこれまでとはまるで違う。昨季限りでエースの越川優(現役引退)、リベロの渡辺俊介(ブカレスト〔ルーマニア〕へ移籍)そして、セッターの浜田翔太(退団/移籍希望)といった面々がチームを去ったからだ。

 昨季に続いてキャプテンを務める佐々木博秋も「新生・ヴォレアス」と表現する。しかも、開幕戦を戦ったオーダーは「練習試合でもプレシーズンマッチでもやったことがない」(佐々木)ものだった。

 

 このオフシーズンには、V1のサントリーサンバーズに所属する樫村大仁のレンタル移籍も含め、新外国籍選手のマキネン・ペェトゥ(フィンランド)など積極的な選手補強を敢行した。その中の一人が、セッターの山岸隼だ。

 山岸は昨季、内定選手としてV1のVC長野トライデンツに加入し、V・チャレンジマッチではヴォレアスと対戦している。2日間でともにフルセット、最終的に得失点差でVC長野が残留を果たすという壮絶な試合の当事者だった。

 

 

これまでとは違う顔ぶれが並ぶ今季のヴォレアス

 

【次ページ】型にはまらないプレーを目指す

 

 

すっかりチームにも溶け込んでいる

 

チームの課題をクリアにするうえで期待の戦力

 

 その山岸をヴォレアスのエド・クライン監督は高く評価していた。今年9月の入団会見で、このように語っている。

  「大学時代から彼のことは知っていましたし、V・チャレンジマッチを通して、さらに知ることができました。年齢による不足な点はありますが、経験を重ねていけばV1レベルで十分に戦える選手になれると思いますし、ここでさらに成長してくれると期待しています」

 

 サイドアタッカーだけでなく、センターエリアからの攻撃を果敢に絡める山岸のトスワークは、ヴォレアスが望んでいた武器でもあった。クライン監督は昨季を踏まえて「オフェンスの改善」をテーマに掲げ、とりわけミドルブロッカーの攻撃力向上を目指した。樫村や井上仁(FC東京〔現・東京GB〕から移籍)らミドルブロッカーを加えたのも、そうした考えが伺える。そして山岸も自身の強みを自覚している。

  「入団前からヴォレアスはアウトサイドヒッターにとても力がある印象でした。そこに自分が入ることで、ミドルブロッカーの強化にもつながりますし、佐々木選手、張育陞(チャイニーズタイペイ)選手をさらに生かせると感じていました」

 

 

センターエリアからの攻撃を積極的に絡める組み立てが光る

 

型にはまらないプレーを目指す

 

 本格的にチームに合流したのが夏ごろで、そこからリーグ開幕まで決して時間は長くなかった。それでも勝利を収めた開幕戦後、指揮官は新司令塔を手放しで称賛した。

  「とてもよかったです! 戦術をしっかりと遂行してくれました。いくつか新しいことも試してくれましたし。新セッターとして周りと合わせた時間がそれほど長くないことを踏まえると、中身としてはよかったと言えるでしょう。

 彼は攻撃の選択肢を絞ることなく、どこでもトスをあげて非常にバランスがとれている。落ち着いて、戦術を遂行できるセッターだと思っています」

 

 入団会見で山岸は加入の理由について、「自分が成長できると感じた」と語っている。入団してからも、その実感を抱いている様子だ。

  「『型にしばられない』がエド(・クライン監督)の理想です。それに、ここではこれだ、と型にはまらないのは自分の理想でもあるんです。入団してよかったと感じています」

 

 Vリーグに吹き込む北風に乗って、山岸はさらなる成長を誓う。

 

 

チームが目指すV1の舞台へ導くために。試合を重ねながら、力を磨いていく

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

 

 

柳田将洋/藤中颯志/星野秀知

新天地で戦うVリーガーたちにフォーカス

「月刊バレーボール1月号」は12月15日発売

お求めはNBPオンラインショップ

 

 

【ギャラリー】熱さ全開! “新生”ヴォレアス北海道 2022-23シーズン〔20点〕

モバイルバージョンを終了