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東海大学リーグ戦春季大会 1部は岐阜協立大がアベック優勝 男子最終戦レポートと注目選手紹介

 

東海大学リーグ戦春季大会男子1部で優勝した岐阜協立大

 

 東海大学1部男女リーグ戦春季大会(以下、春季リーグ戦)が、416日から521日までの日程で行われ、男女ともに岐阜協立大が優勝を飾った。女子は昨年の春季リーグ戦、秋季リーグ戦も制しており、3季連続優勝。男子は、昨年の秋季リーグ戦に引き続き2季連覇、春季リーグ戦は初優勝となった。しかし、岐阜協立大男子の平田勝彦監督の両腕はグッと胸で組まれて緩まず。「勝って終わりたかったです」と、眉間にしわを寄せる。

 

 

岐阜協立大男子 2季連覇も愛知学院大に最終戦で惜敗

 

 男子春季リーグ戦の最終戦、それまで60敗の岐阜協立大と、51敗の愛知学院大が対戦した。第1セットは岐阜協立大が、セッター中村有晴(4年)の相手ブロックを振り切るトスワークで2522と先取する。続く第2セットも、オポジットの豊田譲(3年)がコースを突くスパイクで得点を重ね、2521と連取。しかし第3セットから、それまで息をひそめていた愛知学院大オポジットの清田晟ノ祐(4年)が爆発。鋭く重いスパイクがよく決まり、愛知学院大が怒とうの勢いで3セットを奪い返し、岐阜協立大に土をつけた。

 岐阜協立大は2セットを先取した時点で優勝を確定させていたが、苦い味のする終わり方だった。平田監督はしかめ面で試合を振り返る。「勝って、最後いい形で終わりたかったです。第3セットから清田君を勢いづかせてしまった。注意しなければいけない選手とわかっていましたし、対策もしていましたが、わずかなスキを突かれ、持っていかれてしまいました」。

 対して愛知学院大の清田は、「相手は2セット先取すれば優勝、という状況だったので、優勝を決めて第3セットから心に少しスキがあったかもしれない。だから勝てたように思います。状況が違っていたらわかりません。相手(の状況)に関わらず勝てるよう、自分たちがもっと強くなりたいです」と、兜の緒を締めた。

 

 

注目選手紹介① 岐阜協立大セッター 中村有晴

 

岐阜協立大4年でセッターの中村有晴は主将を務める

 

 優勝した岐阜協立大のセッターで、主将を務める中村は、最優秀選手賞とセッター賞を受賞した。ラリー中、ミドルブロッカーに目配せしてから、レフトへ速いトスを出す。1本目をレシーブし、体勢を崩したスパイカーに3本目を任せる。「相手の裏の裏をかいてやろうと思ってトスを選んでいる」という172cmの背中は、コートに立つと誰より大きく見える。そのトスワークが生きるのは、全体として「超攻撃型チーム」としての意識付けがあるからだという。

「うちは、コートにいる全員が攻撃するんだという意識で、ふだんから練習しています。1本目を捕って体制が崩れた選手も、絶対に攻撃する気で準備する。お互い(スパイカーとセッター)がそう信じているので、トスの選択肢が広がります」。ち密で攻撃的なトスの選択は、互いの信頼があってこそ。「コートを出たら『キャプテン』の肩書きをおろして、後輩たちに接するようにしています。風通しよくコミュニケーションがとれるように。コンビ間の呼吸は、日常からの信頼関係が大事なので」。試合を終え、ふわりと笑う主将の背中は、下級生たちの中に紛れた。

 

注目選手紹介② 愛知学院大オポジット 清田晟ノ祐

 

愛知学院大の4年生オポジット清田晟ノ祐

 

 準優勝となった愛知学院大の清田は、「どんな場面、どんなトスでも強いスパイクを決めきれること」が自身の“売り”だという。最高到達点345cmから、左腕を振り抜き繰り出されるスパイクは威力抜群。しかし4年生になり、武器はパワーだけではなくなった。

 大学のオフシーズンを活用して、今年3月末まで、V2男子のきんでんトリニティーブリッツに帯同。15試合に出場した。「昨季はサフィルヴァ北海道(V2男子)に帯同させていただき、今回はきんでんにお世話になりました。V(リーグ)の選手と戦って、強打でブロックをはじき飛ばせないという経験をたくさんして。じゃあ(ブロッカーの)指先に当てて、ワンタッチを狙おうとか、攻撃の種類をいろいろ考えるようになりました」。Vリーグという環境で揉まれ、視界が広がるとともに、サーブにも磨きをかけた。今リーグ戦でのサーブ効果率は14.5%を記録し、サーブ賞を獲得。しかし、目指す姿はまだまだ先にある。「チームとしても、個人的にも、課題はまだまだたくさん。それらに取り組みながら走ります」。

 

 

「切磋琢磨を歓迎」 東海大学リーグの悲願 目指すは全日本インカレ上位進出

 

岐阜協立大男子の平田勝彦監督

 

 平田監督は、春季リーグ戦を振り返りこう述べる。「(最終戦で)負けたことは悔しいですが、強い相手と切磋琢磨できるのはいいこと。日ごろからの鍛錬になりますから。東海勢全体でレベルアップしていきたい」。準優勝した愛知学院大の植田和次監督も、同じ言葉を使う。「同じ地域に強い相手が多いのはいいことです。刺激し合って、しのぎを削り合うことで、互いに強くなれる」。そして両監督とも、全日本インカレ(全日本大学男女選手権大会)について触れる。

「年末の全日本インカレは、1年を締めくくる大きな大会ですから、そこに向けてチームを作りたいというのはあります。長いことベスト16を突破できていないので、選手たちはベスト8進出を意識していると思います」と語るのは植田監督。平田監督も「最終的な照準は全日本インカレベスト4以上。選手たちもその気でいます」と言い切る。

 

 2014年に名城大が男子東海勢として初めてベスト4に進出したが、それ以降は男子東海勢がベスト8以上に名を連ねたことはない。昨年の全日本インカレで、東海大学リーグからは3チームがベスト16に進出したが、岐阜協立大は東京学芸大に、愛知学院大は東海大に、中京大は日本体大に敗れた。ベスト8を前に立ちはだかったのは、いずれも関東大学リーグのチームだ。植田監督は、全日本インカレでの目標について「関東のチームに少なくとも1回は勝つことを考えると、おのずとベスト8というラインになる」と目算を立てる。例年、ベスト8以上の多くを占める関東勢に割って入ることができるか。6月には西日本インカレ(西日本大学男女選手権大会)を控えており、大会3連覇中の愛知学院大を筆頭に、東海勢の競り合いに注目だ。監督たちが歓待するし烈な競争が、全日本インカレでの躍進のカギを握る。

 西日本インカレ男子は、621日(水)~24日(土)の日程で、おおきにアリーナ舞洲(大阪府大阪市)、ベイコム総合体育館(兵庫県尼崎市)にて行われる。なお女子は76日(木)~9日(日)に、広島県にて開催予定。

 

愛知学院大男子を率いる植田和次監督

 

 東海大学リーグ戦春季大会男女1部の成績は以下の通り。

 

結果

■男子(8チーム)

優勝 岐阜協立大(61敗/セット率3.33

準優勝 愛知学院大(61敗/セット率2.85

7位 中京大(52敗)

6位 大同大(43敗)

5位 名城大(34敗/セット率0.92

6位 愛知大(34敗/セット率0.79

7位 中部学院大(16敗)

8位 朝日大(07敗)

 

■女子(8チーム)

優勝 岐阜協立大(91敗)

準優勝 中京大(73敗)

3位 至学館大(64敗)

4位 名古屋学院大(37敗)

(以下、下位リーグ)

5位 東海学院大(64敗)

6位 愛知学院大(55敗)

7位 皇學館大(46敗)

8位 愛知教大(010敗)

 

取材/淺井恭子

 

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