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ネットやボールが違う! 地域クラブが初の東京都中学校大会で直面した現実と今後の決断

  • コラム
  • 2023.07.29

 各都道府県の中学校体育連盟(以下、中体連)主催のバレーボール選手権大会が各地で実施されている。夏の全国大会に向けた登竜門であり、同時に、中学バレーボール部に所属する選手たちにとっては集大成ともいえる舞台だ。ただし、例年と違うのは今年から地域クラブの参加が導入されたこと。今回、第77回東京都中学校選手権大会(以下、都大会)への出場を果たした男子のクラブチーム「DropJYVC」の姿を追った。

 

初めての都大会に臨んだDropJYVCのメンバーたち

 

初めての都大会は初日で思わぬ? 敗戦を喫する

 

活動歴は10年以上、中学世代のクラブチームにとっての全国大会に位置づけられる「全国ヤングクラブ男女優勝大会」への出場実績を持つDropJYVC。中体連がクラブチームの大会参加を全面解禁した今年、都大会の男子に参加した第一号となった。

 

 さて、その戦いぶりは。これまでの活動実績や、ふだんはヤングクラブバレーボールの基準である【5号球/ネットの高さ243㎝】でプレーしていることを踏まえると、中体連の【4号球/ネットの高さ230㎝】ルールは、試合において優位になると想像できた。けれども、実際は違った。

 

 都大会初日の716日、会場は調布市立神代中学校。DropJYVCは“ホームチーム”神代中と一回戦を争った。第1セットの出だしは相手のミスなど5連続得点で9-5とリードを奪う。だが、18-15から7連続失点を喫して逆転を許すと第1セットを落とす。続く第2セットは中盤まで競り合うも13-14から8連続失点で突き放され、結果0-223-2515-25)で初の都大会を終えた。

 

 試合後、ひざに手をついたエースの篠原虎太郎(3年)は「試合の入りはよかったのですが、終盤につれて巻き返されて、『取り返さなきゃ』『決めなければ』と思って焦ってしまいました」と反省を口にした。聞くに、アタックとサーブレシーブ、攻守両面で“違い”に悩んだそう。

 

試合後、篠原(左端)はがっくし

 

アタックは力み、レシーブはサーブの軌道に苦しむ

 

 アタックでいえば、いつも使っているボール(5号球)より小さくて軽くため、「打ちづらかったです」と篠原。また、ネットが低い分、「下に打ち過ぎました。長いコースを狙って打てればよかった」と力みを生んでいた。

 

 そのネットの低さはサーブにも影響を及ぼした。243㎝だと、その高さに対して弧を描くような軌道になるが、これが低いだけ直線的に。なおかつ、スピードあるフローターサーブが打ち込まれる。DropJYVCでリベロを経験し、この日はアウトサイドヒッターとしてプレーした浅見南月は「低い弾道で真っすぐ飛んできたので、少しびびってしまいました」と振り返った。浅見もボールの違いから「スパイクもアウトが多かったと感じました」と力加減に苦労した様子だった。

 

 思いのほかの早期敗退に、杣木浩三監督は「もう少しできるかなと思ったのですが…」と苦い表情だ。ただ、4号球を用いた練習は大会前日に行ったぐらいで、「さすがに昨日今日で慣れるかと言われれば厳しい」と原因を受け止めている。

 

「選手たちは首をかしげながらプレーしていましたね。いつもは大きいボールで高いネットに対して、全力で跳んで全力で打っているのが、今日はそうでなくても打てる。逆に、相手ブロックもネットから出てくるわけですから。243㎝だとほとんどブロックは出てきませんので、その違いもあったと思います」(杣木監督)

 

いつも以上にネットの上から相手ブロックの腕が出てきた。手前がDropJYVC

 

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