「なんであんな指導を」と後悔する“ふつう”の公立校監督がVリーガーとつながり授かったスピリッツ《前編》
- V男子
- 2023.09.13
今年7月22日、埼玉県立入間向陽高校(埼玉)で一つの魂が継承された。VリーグのV2男子で戦う富士通カワサキレッドスピリッツがチームスローガン「明るく、楽しく、そして強く」を同校の女子バレーボール部に授けるというもので、この日、認定書が贈呈された。どこにでもあるような公立校と、Vリーガーはいかにしてつながり、そして、ともに歩もうとしているのか。《前編/全2回》
新しいスローガンが記された横断幕とともに、入間向陽高の部員たち
埼玉県立入間向陽高女子バレーボール部が挑んだ最後の夏
これが3年生たちにとって高校生活最後の公式戦。入間向陽高女子バレーボール部は今年6月19日、インターハイ県予選を迎えた。試合前に円陣を組む。選手たちは応援席の前に掲げられた横断幕に目をやった。
今日の試合はあれを見て、頑張ろうね。
口に出さずとも、気持ちは同じだった。当時のキャプテン、斎藤椛菜(3年)は胸の高まりを覚えた。
「元気をもらえたというか。けっこう目につくんですよ。色も目立つので。頑張ろう、とすごく思えました」
その横断幕に描かれた言葉は―
「明るく、楽しく、そして強く」
それに加えて、真ん中にはとびきりでっかく「笑」の文字が記されている。
負ければ、そこで引退だ。その怖さがあったかと言われれば、ゼロではない。けれども、「楽しく笑顔でやることをいちばんたいせつにして。そのうえで、勝ちにこだわって戦っていました」と齋藤キャプテン。
新しく完成したその横断幕が部員たちにお披露目されたのは、その前日だった。それでも、そこに刻まれた言葉は、これまで常に胸に留めていたかのように馴染んでいた。だからこそ、2回戦敗退に終わっても、部員たちは晴れやかな表情でいられたのであった。
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