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西田有志 完全復活でパリ五輪予選へ 「僕にはなれない」と意識した2人とは

  • 日本代表
  • 2023.09.30

FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023 男子大会が国立代々木競技場第一体育館(東京都)で930日(土)に開幕する。サウスポーの西田有志は、8月の第22回アジア男子選手権大会決勝でチーム最多得点の活躍。だが、ここまでを振り返ると、決して順調とは言えないシーズンだった

 

西田有志(男子日本代表)

 

力強くてうまい選手を目指して

 

 「やっと脱出したので」

 オリンピック出場権を懸けた決戦までおよそ3週間。そう言って笑った西田の表情は、かつての明るさを取り戻していた。

 

 原因不明の体調不良に苦しんだ2022-23シーズンを経て、突入した日本代表での戦い。勝負の一年に向けて、西田はワンランク上のプレーヤーを目指した。「体が疲れにくくなったり、体の使い方がうまくなって、余裕があるプレーヤーになりたい。そういう選手であればもっと点数を取れるかもしれない」。持ち味の豪快なスパイクに、テクニックも両立させる。お手本にしたのは「バレーが上手」と語る石川祐希キャプテンと髙橋藍だった。

 

 だが、そこから徐々に歯車が狂う。名古屋で行われた6月のネーションズリーグレギュラーラウンドでは精彩を欠いた。「絶対におかしいよな、と思いながら(笑) でもやっぱうまく、うまく、とやろうとしていたんですけどね」。西田が苦しむ一方で、同じポジションの宮浦健人が脚光を浴びていく。同大会で初めてメダルを獲得したファイナルラウンドの3位決定戦(対イタリア)では、試合前練習で腰を痛め、ベンチの外から歓喜の輪に加わった。

 

 大一番が3ヵ月後に迫り、原点に立ち返った。

 「結局まねごとだったので。やっぱり無理だ、って(笑) 野球の村上(宗隆/ヤクルト)選手も大谷(翔平/エンゼルス)選手を見てから調子が悪くなったと言っていましたけど、
それはほんとうにあるんだなと実感しました。

 自分は数をこなして、体に染みこませないといけない。それができていないと、ああなるよなって、すごく教訓になりました。だから、あの2人になろうと思わないです。僕にはなれないんで(笑)」

 

アジア選手権大会決勝でチーム最多得点

 

 進むべき道が決まると、視界が広がった。「全然しゃべっていなかった」と振り返るネーションズリーグから、アジア選手権大会に向けた事前合宿では口数が増えた。その様子を見ていたリベロの山本智大には、ある予感があった。

 「意外と考えているな、繊細なんだなって思っていました。僕はあまり考えずに、悪いときは寝るタイプなので(笑)

 僕は西田の状態がめちゃくちゃ悪いとは思わなくて。人間なのでいいときも悪いときもあると思っていました。西田はすごい選手なので、ちょっと落ちてもすぐに上がってこられる。あまり気にせず、『西田、来るっしょ!』という気持ちでした」

 

 アジア選手権大会決勝のイラン戦で、西田はこれまでのモヤモヤを晴らした。チームトップの15得点。相手のレシーブを弾き飛ばすようなパワフルなスパイクとサーブを決め、得点時には雄たけびを上げた。「よりうまくなりたいとか、強くなりたいという気持ちが強くなっているので」。パリ五輪予選を前に、西田らしいギラギラした目つきも戻ってきた。

8月の練習試合では(104日〔水〕に対戦する)トルコに負けているので、気が抜ける試合は一つもありません。チームとしての目標は必ず切符を取ること。オリンピックに行く姿を必ず皆さんに見せたいと思います」

 

 迷いの消えた左腕で、パリ行きの切符をつかむ。

 

パワフルなスパイクで、世界の高い壁を打ち破る

 

西田有志

にしだ・ゆうじ/2000年1月30日生まれ/身長187㎝/最高到達点346㎝/海星高(三重)→ジェイテクト→ビーボ・ヴァレンティア(イタリア)→ジェイテクト→パナソニック

 

文/田中風太(編集部)

写真/中川和泉、石塚康隆(NBP

 

 

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