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福岡大附大濠高がインターハイ県予選に続く優勝か、東福岡高のリベンジか 激戦必至の福岡県春高予選決勝

「2023 全日本バレーボール高校選手権大会福岡県大会」決勝が、1111日(土)に福岡市総合体育館(福岡)にて行われる。男子は福岡大附大濠高と東福岡高が対戦。今季の同カードの成績は、福岡大附大濠高が3戦全勝。集大成の舞台を前に、両校のここまでの歩みを振り返る

 

今夏、インターハイに出場した福岡大附大濠高

 

福岡大附大濠高10年ぶりのインターハイへ 多くの経験を積んだ夏


 福岡大附大濠高にとっては10年ぶりの夏の大舞台。身長201㎝の大砲、マサジェディ翔蓮(2年)は頭を悩ませていた。自身にとって、高校では初めての全国大会。2回戦の郡山北工高(福島)戦では、最後は自身のブロックでジュースをものにしたが、なかなかスパイクが決まらず、サーブでも精彩を欠いた。

 

「全国だから、というわけではないと思いますが、自分の中では決まっているはずのスパイクが決まらない。全力を出していますが、内気になっている部分があると思います。『(ブロックで)シャットされるのが怖い』という気持ちもありますし、負けたら終わりというプレッシャーもあるので。思いきり打てていません」

 

 その翌日の3回戦では鎮西高(熊本)にストレート勝ちするも、準々決勝で昇陽高(大阪)に敗れてインターハイを終えた。大会後には「緊張が原因だったのか。まだ解明できていないんですよね」と振り返ったが、「自分が成長していくうえでは非常に大切な経験でした」と言いきった。それは、県予選で宿敵を倒したからこそ抱けた思いだった。

 

 マサジェディと身長194㎝の中村玲央(2年)らによる高さのあるブロックがチームの持ち味。その下級生をエース山田大凱ら3年生が引っ張ってきた。1月の新人大会決勝では、東福岡高をフルセットの末に下し、7年ぶりに優勝。そして、5月のインターハイ県予選決勝では、山田の決定力の高いスパイクが光り、2-1で再びライバルを撃破した。福岡県代表の中心として出場した10月の国体では、2回戦で優勝した山口県(高川学園高単独チーム)に敗れたが、夏からさらに経験を積んだ。

 

頼りになるエース#2山田

 

 春高県予選決勝では、ライバル東福岡高と今季4度目のマッチアップ。山田が「ヒガシ(東福岡高)はいちばん近くにいるライバル」と語るように、常に高め合ってきた。山田脩造(ウルフドッグス名古屋)を擁した2011年以来の春高へ。ライバルを破り、集大成の舞台に進む。

 

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東福岡高 インターハイ出場を逃すも九州大会では意地の優勝

 

「奇跡の物語」を、東福岡高はここで終わらせるわけにはいかない。

 

全九州大会を制し、笑顔の東福岡高の選手たち

 シーズン前半はどん底だった。昨年度インターハイ準優勝を知るエース葭原逢太キャプテン以外のレギュラーは総入れ替え。ともに福岡大附大濠高と対戦した新人大会、インターハイ県予選決勝では、高い決定力を誇る葭原キャプテンにトスを集めたが、どちらもフルセットの末に敗戦。同予選の連覇記録は「11」で止まり、葭原キャプテンは号泣した。

 

 「自分たちの代でインターハイにも出られない悔しさと、勝つのが当たり前のチームで、勝てなくて先輩方に申し訳ない気持ちがあって。頭が真っ白になりました」

 再出発を迎えるにあたって掲げたのが「奇跡の物語をつくる」。インターハイを逃したチームが、春高で日本一に輝く。無謀にも思えるストーリーをかなえるべく、死に物狂いで汗を流した。藤元聡一監督は振り返る。
「練習でいちばん泣いていたのは葭原じゃないかな。『このままで九州が取れるか。九州を取らんとその1歩目にもならんぞ』と練習が止まることは何回もありました。本気で、この物語を体現しようと思っているんですよね」

 

 葭原に導かれ、主力の2年生たちの心も変わった。攻撃パターンを増やし、予選敗退からわずか3週間後に行われた全九州大会では、見事に優勝。男子のインターハイ不出場校では、唯一ブロック大会を制した。これまで何度も九州を制してきた藤元監督も「こみ上げるものが少しあるというか。初めての経験をしましたね」と感慨深い表情。苦しんできたチームに、今季初めて光が差した。

 

 葭原はその後も、昨年の第14回アジアU18(ユース)男子選手権大会に続き、第18回世界19男子選手権大会に出場。東福岡高ではスパイカーだが、セッターとしてチームを引っ張った。さらに、国体では福岡大附大濠高の選手たちとともに鹿児島へ。今季初めて全国の舞台を経験し「自分たちのやってきたことは間違いじゃない。(仲間には)このままいけば春高でも通用すると伝えたいです」と鋭い目つきで語った。

 

東福岡高からは唯一国体に出場した葭原


 福岡大附大濠高がオレンジコートへの切符をつかむのか、それとも東福岡高がリベンジするのか。決戦は、1111日(土)の13時より行われる予定だ。

 

文/田中風太(編集部)

写真/山岡邦彦(NBP)、田中風太、前田一星

 

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