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大晦日前日に開催されたVリーグ。東京 GB柳田将洋らが語る興行としてのバレーボールの可能性

 バレーボールのVリーグは昨年1230日に2会場で行われた男子のゲームをもって、2023-24シーズンの年内の日程を終えた。大晦日前日というVリーグでは珍しい開催を、当事者である選手たちはどう感じたのか。有明コロシアム(東京)で年内最終戦を終えたV1男子、東京グレートベアーズの選手たちに話を聞いた。

 

 

年内最終戦を勝利で飾った東京GB

 

「初めてですけど、興味深い」と語っていた柳田

 

 昨年12月某日。現場で出くわした柳田将洋に、ふらっと投げかけてみた。

「年末まで試合をするのは選手として、どんな感覚ですか?」と。

 

 というのも、国内バレーボールシーンでは、クリスマス前後に天皇杯・皇后杯全日本選手権大会が閉幕し、そこからおよそ2週間ばかり公式戦はなく、年明けの第1週にVリーグが再開されて、その年をスタートさせるのが通例だったからだ。

 

 23-24 VリーグではV1男子の2会場でいずれも1229日と30日に一試合ずつの開催が決まっていた。そのうちの一つが、東京GBとサントリーサンバーズのカードであり、柳田もホストチームの一員として、その場に立つ。その答えは――。

「僕自身もその経験が全然ないんで。でも、どうだろうな。(バスケットボールの)Bリーグとかは普通にやっているじゃないですか。そこにつながるファン層への期待があるんじゃないかな、とは。初めてですけど、興味深いです。プレーしている身としては」

 

 柳田はどこかワクワクしたまなざしで、その日を迎えようとしていたのである。

 

 

プロ選手として長らく第一戦で活躍する柳田

 

 

1229日、30日に東京GBがサントリーを迎えたホームゲームを開催

 

 東京は、有明コロシアム。29日は3417人が来場し、東京GBの今季ホームゲーム最多入場数を記録した。翌30日は近くの東京ビッグサイトで大型イベント「コミックマーケット103」が催されていたため、最寄り駅のりんかい線「国際展示場」駅はごったがえし、年末の人の動きを感じさせた。そして東京GBの試合も前日に続いて3000人超えの、入場者数3135人を記録。また、世界クラブ選手権銅メダルのサントリーをストレートで下す、これ以上にないかたちで2023年を締めくくった。

 

 その試合後の記者会見で、あらためて聞いてみる。登壇したのは柳田と深津旭弘、そしてその日に先発デビューを飾りVOMに輝いたルーキーの後藤陸翔(近畿大在学中)の3名。特に柳田と深津はVリーグを長年経験してきた2人。

 

 年末の試合ということで、肉体的・精神的な厳しさもあると想像しますが…。

深津「体力的にはそんなに。仮に、この週が空いたとしても、自分たちが1週間休めるというわけではないので。試合がないことでリフレッシュできる部分はあるかもしれませんが、それほど変わりはありません」

 

柳田「選手側の立場で言えば、体力的な部分でのギャップはそれほどなくて。そこは前もって自分たちもスケジュールを把握しているので、同時にチームがどう調整していくか、だと思います。体力面に関しては、こちらがきちんと準備するものだと」

 

 

ベテラン深津のトスワークが冴え渡った

 

 

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プロクラブとしてチャレンジを続ける東京GB

 

 

興行としての年末開催、その価値は

 

 彼らが所属する東京GBはプロのクラブチーム。本人たちもプロ選手として活動している。では、興行的な観点からすれば、どうでしょう?

深津「自分も長くプレーしてきて、初めての試合でした。今回は東京GBのホームゲームで、しかもサントリーと協力した試合ができて(※マッチデースポンサーをサントリーが務めた)、とてもたくさんの方々にお越しいただきました。こういうかたちの試合もあるんだ、とお見せできた部分はあると思います。来季以降はどうなるか分かりませんが、いい取り組みだったのではないかと感じました」

 

柳田「僕自身、スポーツはこの先もっともっと興行化していくべきだと思いますし、年の瀬、1年の締めにバレーボールを見に行く、という文化が生まれてもいいんじゃないかなと思うんです。もちろん年明けもそう。

 もとより僕たちは年をまたいでリーグを戦っているので、年末や年始という感覚がありません。なので、むしろ気になるのはファンの立場的にどうなんだろうな、と。今回こうして年末にバレーボールの催しをやってみて、どう思ったか。それをベースに今後、スケジュールを組んだり、取り組みを考えてみても、おもしろいのかなと思いました」

 

 

アウェーチームであるサントリーのマスコットもセット間のパフォーマンスでは一緒にダンスをして盛り上げた

 

 

風物詩になっている年末年始のスポーツ興行の数々

 

 確かにカレンダーを見れば、大晦日はボクシングの世界王座統一戦をやっているし、さらに言えば年末から関東圏の球技場や近鉄花園ラグビー場(大阪)ではボールが行き交い、年明けの群馬や箱根路ではトップランナーたちが快走を演じている。それはもはや日本の風物詩だ。

 

 世間一般的に年末年始の“冬期休暇”を連想させる国内バレーボールシーンのスケジュールからすれば、ひょっとして選手たちは肉体的・精神的疲労の観点から休みを望んでいるのではないか? 立ち話レベルで、そんな疑問も少しばかり含んでの投げかけだったが、相手はトップアスリート。スポーツに対する新たな可能性を探り、受け入れ、むしろ前向きに捉える声もうかがえた。

 

 柳田が口にしたように、1年の締めくくりにバレーボールを観戦しよう。2024年に変革が控える国内リーグで、そんな風景がスタンダードになる未来があってもいいかも?

 

 

チームカラーで彩られた観客席

 

(取材・写真/坂口功将)

 

 

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【ギャラリー】2023年白星フィニッシュ! 東京GBの模様

 

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