中学生たちの発信力が高まっている理由は? 選抜事業での光景に見た学校教育との相互関係
- 中学生
- 2024.03.13

野球からバレーボールに転向したばかりの枩田大広(まつた・たいこう)
「声出しや雰囲気づくりは誰にでもできる」と枩田大広
「学校教育の成果がこうした場で出ているなら、教員としても喜ばしいかぎりですよね」と山岡先生。もっとも、これが直接的な要因であるかは定かではない。本人の性格や心持ちにもよるからだ。進行役を務めた一人、枩田(元日本代表、パナソニックでプレーした枩田優介は伯父)は、手を挙げた際の胸の内を明かす。
「僕自身、バレーボールを本格的に始めたのは中学2年生の夏からです。周りと比べると、技術面ではまだまだどころか、いちばん下だと感じています。ですが、下手くそでも、声を出したり、雰囲気をつくることは誰にでもできるので。コミュニケーションや声出しは、いつも大事にしています」
競技歴はおよそ半年。それでも臆することなく、自分の思いを行動に移していたのである。「消極的にならず、どんどん言っていきたいタイプなので。ここで学んだことにもっともっと取り組んでいきたいですし、明るく、“こいつがいれば安心する”と思われる選手になりたいです」と語る姿は堂々としており、頼もしいかぎりだった。

積極的な姿勢が光るメンバーが多かった男子の参加者たち
バレーボールをするうえで大事な要素でも
自分たちで考え、判断し、行動する姿勢。それはバレーボールという団体競技において欠かせない要素でもある。
「女子のアンダーエイジカテゴリーでは、JVA(公益財団法人日本バレーボール協会)がインプットではなく、アウトプットすることを重視していますよね。学校の現場でも、『さぁ、話しましょう』となっても黙りがちな学生が見られたのが、今ではだんだん変わってきています。
特にバレーボールは、1セットあたりおよそ30分弱のうち、ボールが動いているのは5分ほど。プレー間は十数秒なわけで。その短時間で、状況判断し、思考し、それを端的にまとめて相手に伝えることをしなければなりません。勝負するうえでも、頭を働かせることは重要になってきます」(小澤先生)
今年2月下旬、日本中体連による全国中学生選抜のイタリア遠征が行われ、令和5年度の強化事業はひとまず区切りがついた。今回の長身選手発掘育成合宿は、その全国中学生選抜の第一歩といえるもので、すでに選考は始まっている。
積極的で意欲にあふれた選手が集まった2024年度の中学生たち。彼らがこの先どのように成長していき、やがて日の丸をつけるのか、わくわくする。
(文・写真/坂口功将)

ハイタッチでムードを高まる様子も印象的だった
令和5年度全中選抜イタリア遠征レポートなど中学生の話題は『月刊バレーボール』4月号に掲載
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