昨秋に開幕した新生Vリーグは女子の優勝決定戦が4月5日に船橋アリーナ(千葉)で行われ、レギュラーシーズン(RS)で3位だった信州ブリリアントアリーズが同1位のブレス浜松にフルセットで勝利し、初代王者のタイトルを手にした。
大差でセットを奪われてからの逆転劇
昨季のV2女子ではヴィクトリーナ姫路に次いで2位だった信州Aries。同4位だったブレス浜松と、同6位のリガーレ仙台を今季RSの成績で上回ることができず、課題の残る状態でプレーオフに挑んでいた。
しかし、3月29日に船橋アリーナで行われた仙台(RS2位)との準決勝ではオポジットの王美懿が爆発する。RSの仙台戦では最高で40%だったアタック決定率がこの日は50%を記録。56打数28得点という、仙台の粘りも追いつかない活躍で勝利をもぎ取った。
そして一週間後に迎えた決勝の相手、ブレス浜松には今季RSで1勝3敗。それでもチーム一丸で挑んだ第1セットは22-24から追いついてジュースの末に奪い取った。しかし第2セットを落とすと、第3セットは序盤に大差をつけられて17-25。あとがなくなってしまう。
第3セット途中からコートに入ったセッターの横田実穂主将は「誰一人あきらめている雰囲気はなく、全員が前を向いて戦えた」と振り返る。舛田紗淑がノーマークで決めるなど、時間差を絡めて目先を変えたトスワークで流れを演出し、第4セットを25-15で奪い返すと、サーブもさえた信州Ariesの勢いは止まらず。第5セットも押し切って歓喜の瞬間を迎えた。
「今朝の練習で、選手たちがとてもいい顔をしていた。『絶対勝つな』と思いました」と振り返った原監督。一方的に第3セットを奪われながらも次のセットでひっくり返せた要因を問われると、「こういう流れは結構たくさん経験していまして。もし3セット目を競って負けていたら、もしかしたらダメだったかもしれないです」と、経験に基づく見解を話した。「当てはまるかはわかりませんが、『あ、いける』と思ったとき、心に隙間ができると思います。ただこちらは一生懸命、自分たちのことをやるだけ。それが、流れを変えるいちばんの要因だと思います」。受け身ではなく、サーブを含めて攻めに徹することで活路を開いた選手たちの奮闘と、それを支えた周囲や応援の人々にも、穏やかな笑顔で感謝を示していた。
初の栄冠から10日後のバトンタッチ
「ずっとバレーをやってきて現役時代、コーチ時代に日本リーグやVリーグでは一回も優勝したことがなかったので、非常に緊張していたのがほんとうの気持ちです」。そう明かした原監督は、優勝から10日後の4月15日に退任を発表。これまで分析・対策などで幅広く貢献してきた、成田郁久美コーチの新監督就任が合わせて発表された。
「このチームはまだまだ強くなれる、成長できると確信しています」(成田監督)。次は「連覇」へ。長野から、また新たな一歩が踏み出される。
□2024-25 V.LEAGUE WOMEN(Vリーグ女子) プレーオフ試合結果
決勝(4月5日)
信州ブリリアントアリーズ 3(29-27、22-25、17-25、25-15、15-7)2 ブレス浜松
準決勝(3月29日)
信州ブリリアントアリーズ 3(25-23、25-12、18-25、25-21)1 リガーレ仙台
ブレス浜松 3(25-17、25-19、25-20)0 フォレストリーヴズ熊本(RS4位)
■黒鷲旗JVA第73回全日本選抜大会のグループ戦組み合わせが決定