バレーボールアジアチャンピオンズリーグ男子ジャパン2025に出場している大阪ブルテオンは、5月17日(土)に島津アリーナ京都(京都)で準決勝に臨み、フーラード・シールジャーン・イラニアン(イラン)に3-1で勝利。その結果、12月に行われる世界クラブ選手権の出場権を獲得した。大阪Bの選手たちは、フランス代表でオリンピック2大会連続金メダリストのイアルバン・ヌガペトとの対戦を楽しんだ
ティリ監督は「キャリアで
ベストと言えるくらいの勝利」
世界屈指の名選手に対するビッグプレーで、大阪Bが勝利を一気に手繰り寄せた。2-1で迎えた第4セット。20-17とリードした場面で、ライトから放たれたヌガペトのストレートへのスパイクを、リベロの山本智大が左腕一本でディグ。そのボールをフェンス際ギリギリで富田将馬がつなぐと、ミゲル・ロペスの強打でラリーを制した。
スタンドへ誇らしげに左腕を掲げる山本に対し、ヌガペトはネットにもたれて悔しさを表現した。国際大会でもネットを挟んで戦った世界トップ選手に対し、山本は「どこで上げたんだ? みたいに話しかけられたので、肘らへんだよ、と言って。めっちゃ悔しがっていたので」としてやったりの表情。一方で、リスペクトも忘れなかった。
「フランスではスタメンで出てくる場面が少ないので、今日はほんとうに楽しみにしていました。オリンピックでは2大会連続で金メダルをとっていますし、そういった選手と日本で対決することができて、非常にうれしかったです。勝負を楽しみながら試合ができたので、いい経験になりました」
フランス代表の監督を務めた大阪Bのティリ・ロラン監督は、この日のヌガペトの出来について「40%」ときっぱり。その後、笑顔で「50%」に訂正したが、引き出しの多さはさすがだった。利き手ではない左手でのアタックや、代名詞の背面打ち。さらに、フェイクセットで得点に結びつけるシーンも。中でも本領を発揮したのが、0-1の第2セット。連続サービスエースを決め、チームのムードも引き上げた。
「ヌガペト選手がギアを上げたことによって、2セット目を取られたのは間違いない」と語る西田有志も、対戦を楽しんだ一人だ。
「ベストコンディションではないなかでも、バレーIQは正直、世界でもトップだと思うので。今回久しぶりに対戦したら、やっぱりやっていておもしろい選手だと思いました。海外の選手どうしの戦いではバチバチし合っていると思いますが、僕は笑えてくるぐらいなので。それぐらい楽しいですし、非常にリスペクトを持っています」
その世界的なエースを擁する相手に対し、サーブとブロックを起点としたディフェンスが機能。3-1で決勝進出を決め、今大会の上位2チームに与えられる世界クラブ選手権の切符も手にした。ティリ監督は「今日は非常に美しく、タフな試合でした。キャリアの中でもベストと言えるくらいの非常に素晴らしい勝利。選手たちに感謝しかないです」と手放しでたたえた。
18日(日)の決勝で戦うのは、準決勝でサントリーをフルセットの末に下したアル・ラーヤン(カタール)。今季までウルフドッグス名古屋でプレーしたティネ・ウルナウトとニミル・アブデルアジズ、そして高い攻撃力を誇るノーモリー・ケイタを擁する強敵だ。ティリ監督が「ほんとうにバレーを楽しんでいて、それは私たちの選手も学べる」と語るヌガペトの姿勢も、頂点に立つために大切な要素かもしれない。
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サントリー
勝利に王手をかけるも
競り合いをものにできず
SVリーグ王者のサントリーはアル・ラーヤンに敗れ、世界クラブ選手権出場を逃した。第1セット、第3セットと終盤にリリーフサーバーの甲斐孝太郎がサービスエース。勝利に王手をかけたが、23-25と終盤まで競り合った第4セット、そして12-14からジュースに持ち込んだ第5セットとあと一歩及ばなかった。
オリビエ・キャット監督は「SVリーグのファイナルから今大会が始まる前にリフレッシュする十分な時間がなかったところはいちばん難しかった」と厳しい表情で振り返った。3位決定戦に回り、髙橋藍の目には涙。「ほんとうに好きなので」と語る仲間たちと、18日の今季ラストゲームに臨む。
17日(準決勝)の試合結果
アル・ラーヤン 3(22-25、25-22、23-25、25-23、17-15)2 サントリーサンバーズ大阪
大阪ブルテオン 3(25-19、19-25、25-18、25-19)1 フーラード・シールジャーン・イラニアン
18日の試合予定
12時5分~ 3位決定戦
サントリーサンバーズ大阪対フーラード・シールジャーン・イラニアン
16時5分~ 決勝
アル・ラーヤン対大阪ブルテオン
文/田中風太(編集部)
写真/石塚康隆(NBP)
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