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男子U16日本代表 手塚純矢(V-NUTS)の2025年。「全国ヤングクラブ大会では自分のベストパフォーマンスを」

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 バレーボールの全国大会「JVA28回全国ヤングクラブ大会」(以下、全国ヤング)は920日(土)〜21日(日)に和歌山県と大阪府で開催される。中学生世代のクラブチームによる日本一決定戦。そこには、これから同年代をリードしていくであろう選手たちの顔ぶれも並ぶ。その一人が今夏、男子U16日本代表に選ばれたV-NUTS(福井)のエース、手塚純矢だ。

 

 

福井のクラブ「V-NUTS」でプレーする手塚純矢(てづか・じゅんや/身長185㎝/最高到達点323㎝/春江中〔福井〕/アウトサイドヒッター)

 

 

今年7月の男子U16アジア選手権大会に出場した手塚

 

「来年は必ずここに来るんだよ」

 昨年9月、全国ヤングの男子大会が開催された大阪府立門真スポーツセンター(東和薬品RACTABドーム/大阪)でV-NUTSの牧野慎司監督は当時2年生の手塚に伝えた。その頃はまだ入団したばかりとあって大会には参加せず、チームに帯同しただけだった。

 そこから1年が経ち、手塚はその言葉を現実のものとした。今度はV-NUTSの一員、それもチームのエースとして、である。

 

 もとよりエースの器を備えていた。身長185㎝、最高到達点は323㎝というポテンシャルを備え、所属校の春江中(福井)では絶対的な存在。いわゆる「自分で拾って、自分で打つ」役割を担っていた。そうしてチームを県大会の決勝へと導いている。そのプレーを見初められ男子U16日本代表に選出されると、今年7月にはナコンパトム(タイ)で開催された「2025男子U16アジア選手権大会」へ出場を果たした。

 それは自身にとって人生で初めての海外渡航だったが、「時差も2時間と少なくて、食事も自分は大丈夫でした」と本人。何より、日の丸がついたユニフォームを着るのも初めてである。

「とてもうれしい気持ちと同時に、日本を背負っている自覚と責任を持ってプレーすることを心がけていました」

 

 いざ本番では海外勢の高さをまざまざと味わったが、何事にも変えがたい経験となった。

「日本だったら、自分よりも低い相手と戦うことが多いんです。ですが、国際大会で戦う相手は誰もが自分より身長が大きかった。アタックに関しても、相手のブロックがそろったシチュエーションだとなかなか決めるのが難しかったです。そのなかでも、どんどん試合を重ねるうちに、ブロックを利用できるようになって成長できたと感じています」

 手塚はチームの得点源を担い、3位決定戦では21得点と奮闘。悔しくも勝利とはならなかったが、最終成績4位で来年の男子U17世界選手権の出場権獲得に貢献する。

 また日の丸をつけたい思いは? その問いにきっぱりと口にした。

「あります!! めちゃくちゃあります」

 

 

男子U16日本代表として初めての国際大会を戦った(写真:AVC)

 

 

「ライバルであり、友達でもある」チームメートの存在も刺激に

 

 アンダーエイジカテゴリー日本代表を経験した今夏。それによって見られた変化を、V-NUTSの牧野監督もこのように話す。

「レシーブが鍛えられたと感じます。元々、彼はレシーブが不安な部分がありまして。ですが、今はある程度、安心して任せられるようになっています」

 

 その成長のそばには、V-NUTSで手塚の対角を務める与佐岡空(よさおか・そら/至民中〔福井〕3年)の存在もある。与佐岡もまた攻守で高い水準を備えているエースなのだ。

「いい関係ですよね。タイプ的にはまったく逆で、与佐岡は器用でうまさがある。一方で、手塚は与佐岡にはない爆発力があります。試合中もセッターにトスを要求する姿を見ると、『あ、スイッチが入ったな』と思うものです」(牧野監督)

 

 実は手塚と与佐岡は、お互いの所属先の学校で県大会の決勝を争ってきたものどうし。そんなライバル関係も、手塚がV-NUTSに入団したきっかけの一つだと牧野監督はにらんでいる。

「与佐岡が頑張っているので、その影響もおそらくあるはず。『負けたくない!!』という思いで手塚も取り組んでいる印象でした。とはいえ、今は楽しそうにも見えます。それはU16日本代表を経験して変わった部分かも。でも、こちらとしてはもっともっと頑張ってくれていいんですけどね(笑)」

 そんな牧野監督の憶測を、手塚自身も認める。「V-NUTSだと周りも決めてくれるので、ときには仲間を支えることも。自分だけが突っ走らないように意識しています」とは言うものの、エース対角の与佐岡が決める姿を見て「自分も決めたい!!」という思いにならないものか、と水を向けると手塚はにこりと笑った。

「もちろんです。ライバルでもあるし、友達でもあるので。負けないように、自分も頑張っています」

 

 

⑦手塚の成長を実感している牧野監督(右)

 

 

石川祐希や髙橋藍を目指して。アウトアイドヒッターで勝負する

 

 一方で、牧野監督は手塚をオポジットに配置しようと考えた時期もある。先述のとおり、レシーブに不安を覚えていたからだ。だが、そんな迷いも今は吹き飛んでいるそう。本人が、アウトサイドヒッターで、と意気込んでいるからだ。手塚はきっぱりと言う。

「そうなんです。やっぱり自分はサイドで勝負したい。憧れの石川祐希選手(ペルージャ〔イタリア〕)や髙橋藍選手(サントリーサンバーズ大阪)を目指しているので。レシーブもしっかりと上げていきます」

 

 志高く過ごす中学3年目。中学校の部活は北信越ブロック大会で敗れて引退し、今はV-NUTSの活動に励んでいる。

「そもそもV-NUTSに入団したのも、高校に入ってからすぐにでもスタメンに入って243㎝のネットの高さでも通用したい、という思いからでした。これからもどんどん上を目指していきます」

 

 今秋の全国ヤングはクラブチームにおける集大成の場であると同時に、長い目で見れば手塚の競技人生にとって通過点となる。そこで見せたい姿は。

「去年の全国ヤングを観戦したとき、みんな身長が高くて、そのうえでプレーも上手なのがとても印象に残ったんです。今は自分も、あの場所に立つイメージができています。本番では自分のベストパフォーマンスを出して、チームの勝利に、そして優勝に貢献できるように頑張りたいです」

 いざ、勝負の大舞台で。高く跳べー-。

 

 

レシーブにも磨きをかけて、エースへと成長していく

 

(文・写真/坂口功将)

 

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【ギャラリー】手塚純矢が所属する福井県のクラブチーム「V-NUTS」

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