元サントリーのV戦士塩田達也がJOC杯で京都府選抜男子を初監督。中学生たち若年世代へ大切にしてほしいこととは

月刊バレーボール

5時間前

　バレーボールの「JOCジュニアオリンピックカップ第39回全国都道府県対抗中学大会」（以下、JOC杯）が12月25日から28日にかけて大阪で開催された。そのメイン会場となったAsueアリーナ大阪（大阪市中央体育館）でかつては国内トップカテゴリーを戦った選手が今回、参加チームの監督としてコートに立っていた。

今大会でJOC杯京都府選抜男子を指揮した塩田さん

第37回大会（2023年）からJOC杯の京都府選抜男子にスタッフとして携わる

　塩田達也さん。京都の名門・洛南高から東海大へ進学したのち、2012年にサントリーサンバーズ（現・サントリーサンバーズ大阪）へ入団。クイックとブロックを武器に前衛で存在感を放ち、現役引退を表明した2020-21シーズンには入団後初のリーグ優勝を遂げて、自身の花道を飾る。そうしてセカンドキャリアは教員の道へ進み、現在は大枝中（京都）の教諭を務めている。

　JOC杯の京都府選抜には2年前からスタッフとして加わり、第37回大会（2023年）では準優勝を経験。今回は初めて監督として指揮を執ることになった。

「今年のチームは全体的にそれほどサイズが大きくありませんでしたし、飛び抜けたエースがいない分、全員で点を取りにいくスタイルを採りました。どこで得点するかとなれば、センターエリアで攻撃できる選手はそろっていたので、真ん中で勝負しようと。そのためにはパス（レシーブ）を返さなければいけません。パスが返らなければ、戦うのは厳しかったです」

　チームは予選グループ戦で黒星を喫したものの、セット率により1位通過を果たす。決勝トーナメントの1回戦は、男子U16日本代表のエースを要する福井県選抜と対戦。それでもブロックとレシーブの関係性をしっかりと構築して、相手エースのアタックに対応してみせる。

「最初は選手たちにも硬さが見られたのですが、僕たちスタッフ陣の指示を受け止めて、愚直にやってくれようとしました。そうして競り合いに持ち込むことができましたが…、勝ちきれなかったのは自分たちがミスをしてしまった点にありますね」

　結果的に0-2（21-25,23-25）で敗れ、京都府選抜は今大会を終えた。

福井県選抜のエース手塚純矢（コート奥）と対峙した京都府選抜の面々

勤務先でもバレーボール部を指導するが、実は「どの部活でもよかった」というわけ

　コーチ時代からスタッフとして京都府選抜に関わるのは3年目。今年は監督として大会に臨んだわけだが「これまでと変わらないですよ」とほほえむ。それは目に映る体育館の景色も同じ。JOC杯の会場であるAsueアリーナはサントリーで過ごした現役時代に、リーグ戦や国内主要大会で何度もプレーしてきた。とはいえ、「いつもと一緒やなぁ、と」。JOC杯に限らず、引退した今も大会の運営役員などで足を運ぶ機会は多々あるという。

　教員は現役時代から描いていた道だった。けれども、バレーボールの指導をしたかったかと聞かれれば、そうではない。塩田さんは言う。

「僕自身、部活は何でもよかった。これは採用試験でも話したのですが、子どもたちの体づくりについて向き合いたいと考えていたんです。育成世代に目を向けると、ケガの多さを感じます。これは僕も現役選手をやって感じたことで、やはりケアをする時間が足りてないんですね。かといって時間が限られている以上は、どうしてもボール練習などのメニューに時間を注ぐことになります。ボディコントロールや体幹を鍛えることに時間を割くことができません。そこを僕は見極めることをしたいと考えて、今はバレーボール部で指導に取り組んでいます」

　現役を引退してから5年。教員として自分なりの道を進み、やがて「特に想像もしていなくて、気づけばやっていました（笑）」とJOC杯の選抜チームに携わることになっていた。そんな塩田さんが、ともに戦った中学生たちへ伝えたいことは。

「大会を通してよかったこと、悪かったこと、両方あると思います。そこで、なぜよかったのか、なぜ悪かったのかを自分の中できちんと振り返られるようにしてほしいです。それを踏まえて、うまくいったから継続するのか、もしくはさらに高いレベルに引き上げていくかを選択するのは、彼ら自身。ただやるだけではなくて、そこを考えながら、これからもバレーボールをしてほしいですね」

　選手たちの成長を願う、指導者・塩田達也のメッセージだ。

大会を終えて、選手たちをねぎらった