8月下旬から南米合宿遠征を行っていた男子日本代表Bが、9月8日(火)に帰国した。9月27日(日)から始まる第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)に出場するメンバーと、高校生で唯一日本代表に選出された一ノ瀬漣(鎮西高〔熊本〕3年)や大学生が、アルゼンチンとブラジルで貴重な経験を積んだ
アルゼンチン、ブラジルで
代表や国内トップチームと対戦
9月下旬からのアジア競技大会に臨むメンバーの多い日本代表Bは、これまでキューバ、アルゼンチン、イタリアと国内で親善試合を実施。薩摩川内合宿でアルゼンチンとともに汗を流した縁もあり、今回の合宿が実現した。南米遠征はアルゼンチンから始まり、南米選手権を控えた同国代表、そして国内リーグ王者のUPCNと対戦し、ブラジルでは国内リーグのスザーノと親善試合。アルゼンチン代表とスザーノには敗れたが、UPCNにはフルセットを含む連勝を飾った。経由地のドバイからの長旅を終えて、真保綱一郎監督は「非常に対戦相手に恵まれた遠征でした」と充実した表情を見せた。
アジア競技大会に臨む7名に一ノ瀬や大学生をミックスした布陣。新井雄大キャプテンは「代表経験がない学生もいたので、難しい状況もありました」と振り返るが、これまでの親善試合と同様に自信を深めた。中でも光ったのが、新井キャプテンや西山大翔、高橋慶帆の両オポジットのサーブを起点とした攻撃だった。
「サーブは一人一人に武器があって、我々のブレイク率は非情に高いです。ミスが増える試合もありましたが、そこをうまくマネジメントしながら戦うことも一つの学びでした。攻める選手やうまくつなぐ選手であったり、役割分担をもう一回はっきりとすることが大事だと思いました」(真保監督)
サーブで主導権を握り、トップチームと同じように精度の高いブロックディフェンスから粘り強く攻撃につなげる。初戦となったアルゼンチン代表戦では、7月24日(金)に行ったイタリアとの親善試合からおよそ1ヵ月ぶりのゲームだったということもあり、アグスティン・ロセルらのブロックに次々と阻まれるシーンも。だが、指揮官が「我慢強く戦うラリーを継続して、ラリーに勝つことを再認識しました」と語るように、学びになった部分もあった。セッターは三宅綜大が遠征の序盤でねんざし、下川諒が一人でトスを上げ続けたが、アジア競技大会では現在トップチームで戦う河東祐大が合流する。「河東(祐大)もずっとこちら(Bチーム)でトスを上げていて、コンビネーションは問題ありません」と不安はなさそうだ。
ただ、「もちろん下川も非常にいいプレーをしているので、競争になると思います」と語るように、相手に合わせた布陣を送り出す予定だ。それは、「今回はコンディション面(の不安)もありましたが、(高橋)慶帆が悪いというよりも、西山が非常によかった」というオポジットや、アウトサイドヒッターも同じ。中でも、今回のメンバーにトップチームで戦ってきた大塚達宣、甲斐優斗が合流するアウトサイドヒッターの選手たちには、より強くメッセージを伝えてきた。
「新井と後藤(陸翔)も非常に安定したプレーをしています。大塚や甲斐にそのままスタメンを渡すのではなくて、しっかり競争していかないとチームとしても勝てないという話をしました。本人たちもその気持ちを強く持ってくれています」
ここまでキャプテンとしてもチームを引っ張ってきた新井は、「前回大会(2023年)も出場させてもらいましたが、3位という結果だったので。今回も厳しい戦いになると思いますが、自国開催なので期待に応えられるように、優勝を目指して頑張りたい」と意気込んだ。
学生たちも貴重な経験
一ノ瀬は「いいプレーができた」
銅メダルを獲得した前回大会も事前にヨーロッパ遠征を行っていたが、若手選手たちがこれだけ名を連ねることはなかった。真保監督は「選手たちには、『我々に投資してもらったんだ』という話もして。数年後、若い選手たちにとっては転機になるような遠征になればいいと思います」と期待を込める。
そのメンバーの中で、新井キャプテンが「ほんとうに完成した選手なんだな、と思って見ていました。今回の高さを経験して、もっともっとすごくなると感じたので、自分も負けないように頑張りたい」と語ったのが、高校生で唯一参加した一ノ瀬だ。
アルゼンチン代表との親善試合では「高校だったら決まる、というコースが全部止められた」と得意のクロスコースで苦しむ場面もあったが、それに対応するようにストレートへのスパイクも強化。さらに、この期間でいちばん手応えをつかんだというサーブは迫力が増し、遠征の最終戦となったスザーノ戦では、「伸び伸びとプレーすることができて、自分の中でいいプレーができました」と日に日に力をつけた。
初めての日本代表シーズンを終え、「まだまだ悔しい部分もあるので、来年もしっかり選ばれるように」と語る真剣な表情には、さらなる伸びしろを感じさせる。「国スポではみんなが(九州ブロック大会を)通過してくれたので。ここからは高校カテゴリーに切り替えて、国スポ、春高で日本一を狙いたい。やっぱり最後は春高を取れたらいいなと思います」と日の丸を背負った経験を、エース、キャプテンとして鎮西高に還元する。
学生たちはそれぞれの舞台に戻り、アジア競技大会メンバーは9月20日(土)、21日(日)に行われる「2026バレーボール男子日本代表国際親善試合 日本対カタール(岩手大会)」を経ていよいよ決戦の舞台へ。トップチームのロラン・ティリ監督が指揮を執る本番に向け、真保監督は「イランや中国だったり、高くて強いチームはあります。でも、それに対してメンタル面でも自信を持って戦えると思います」と言いきった。
取材・写真/田中風太、廣田充則(編集部)
<南米合宿遠征メンバー> ☆はアジア競技大会出場メンバー
7 新井雄大/広島TH/188㎝/OH☆ ※主将
18 西山大翔/大阪B/193㎝/OP☆
24 高橋慶帆/STINGS愛知/194㎝/OP☆
25 下川 諒/サントリー/178㎝/S☆
26 後藤陸翔/東京GB/187㎝/OH☆
28 麻野堅斗/早稲田大4年/207㎝/MB☆
33 川野琢磨/早稲田大2年/197㎝/OH
34 一ノ瀬 漣/鎮西高3年/190㎝/OH
35 伊藤吏玖/東京GB/195㎝/MB
37 高橋和幸/STINGS愛知/170㎝/L☆
38 磯脇侑真/明治大4年/180㎝/L
39 稲垣陽斗/専修大4年/197㎝/MB
40 三宅綜大/順天堂大2年/174㎝/S
41 マサジェディ翔蓮/専修大2年/204㎝/OP
監督 真保綱一郎(STINGS愛知)
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