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【プレイバック!】サントリーが5連覇を達成【第10回Vリーグ男子ファイナル】

  • V1
  • 2021.03.17

 

勝った方が優勝の第二戦

 

「昨日の勝ちはアドバンテージにならない。とにかく勝とう。そのためには初戦以上の気持が必要なんだ」

 

 と、試合前のミーティングで鳥羽監督のことばに改めてサントリーの選手は気を引き締めた。この試合、勝った方が優勝(JTがフルセットで勝った場合は得点率)という試合であったが、意外なまでに簡単に決着がついた。

 

 序盤からしっかりとチームとしてまとまりを見せたサントリーは、越川のジャンピングサーブで流れをつかみ、栗原がジルソンにボールを集中することないトス回しを見せ、JTのプロックを翻弄する。第1セットをサントリーが簡単に25-19で先取する。

 

 第2セットは、JTが先手を握り、混戦に持ち込むが19-19からピンチサーバーに出てきた西田がサービスエース2本を決め、第2セットもサントリー。第3セットは終盤までJTが主導権を握ったが、ジルソンのサーブでJTのサーブレシーブを崩し、最後はJT平野のスパイクがアウトになり、この瞬間にサントリーの5年連続の優勝が決まったのだった。

 

運と結束力と新しい勝つ方式

 

「シーズンを振り返って運がありました。しかも強運でしたね。しかし(それがあったとしても)選手が主体性を持って自分たちで努力した結果が呼び込んだ優勝だと思います」(鳥羽監督)

 

 78ページからのレギュラーラウンド総評にも書いたが、サントリーは最終戦を前にして自力でのファイナルラウンド進出は絶望に近い可能性しか残っていなかった。しかし、そこから入替戦(7位)から優勝の権利を残す4位に1日で浮上したことは、確かに運もあるが、自分たちで何とかしようという気持もあったと思う。もし、「可能性が少ないから…」と誰か一人でも弱気な姿勢を見せていれば、最後の松下電器戦は勝つことは出来なかっただろう。またセミファイナルでは第2戦で松下電器が堺ブレイザーズに勝てば、決勝への道を閉ざされるときも、運はサントリーに味方したが、その状況から堺ブレイサーズ戦にチーム一丸となって「絶対勝つんだ!」という気持、状況に持っていける精神力は、まちがいなく妥協を許さず、ふだんから勝つことに対し、貪欲さを追求しているからである。

 

 これまでの4連覇まではジルソン・サンバーズとも言われた。拾ってつないでジルソンが決め勝つというスタイルをもじって表現したわけだ。しかし、今シーズンの苦戦はそこからの脱皮を模索した結果でもある。べテラン中心のチーム構成から、(シーズン当初の木原、坂本の故障はあったにせよ)大物ルーキー山村、越川の二人の新人をスタメンに使うことはかなりのリスクがあった。

 

新人ながらミドルブロッカーとして活躍した山村宏太(サントリー)

 

 特に越川の攻撃力、サーブ力は捨てがたいものはあったが、そこは19歳。サーブレシーブを中心とした守りはまだ半人前。崩され、桑田と交代する場面もあったが、首脳陣はスタメンからほとんど外すことなく使い切った。その結果、四強に入ってからは苦手のサーブレシーブも及第点までこなせるようになり、逆にジャンピングサープは日本人トップ。决勝戦ではサーブで逆に相手のサーブレシーブを大きく崩し、優勝の起点となったのが越川であり、大事なところでプロックを連発したのが山村だった。

 

 また、シーズン中盤以降、栗原圭を司令塔に据えたが、それによりジルソンに集中していたトスを軽減することが目標だったが、それを象徴したのが決勝第2戦だった。ジルソンをおとりに使い、荻野が真ん中からのバックアタックを仕掛け、そこにクイックを絡める。また、ピンチになれば思い切って西田と清水をジルソンと栗原圭に代えて投入する。控えの選手を含め、層が厚くなり、その出てくる選手が自覚を持ってプレーをする。決勝戦はまさに新しい勝利の方程式を確固たるものにした試合だった。

 

 5連覇はことばでいうより難しい。例えて言えば「テストで100点をずっと取り続けなさい」と同じようなものだ。一度頂点を経験してしまうと、それに満足してしまうのが人間の常…。しかし、一度ギアが入ってしまえば、勝ち方を知っているサントリー。今回の優勝はべテランから若手にその精神が注入された優勝でもあった。

 

  • インターハイ2021

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