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春高最優秀選手 前嶋悠仁(日本航空高) 憧れの浅野博亮さんのようにスパイカーとしてもリベロとしても高みを

  • 高校生
  • 2022.02.18

第74回全日本高等学校選手権大会(春高バレー)で初優勝を飾った日本航空高(山梨)。最優秀選手賞に選ばれた前嶋悠仁キャプテンが大会を振り返る。身長180㎝と小柄なスパイカーが、これから描くビジョンとは

取材/田中風太 写真/石塚康隆

 

 

 

優勝インタビューに応える前嶋。涙はなく、リラックスした表情

 

――優勝おめでとうございます

 大会前から優勝すると言っていましたが、まさかほんとうにできるとは思っていなかったので、自分たちでもびっくりしています。正直、最後は駿台(学園高/東京)と試合をしたくて、それが実現できずに終わったので、ほんとうに最後の大会が終わったのかな、という気持ちはありました(※)。

 

――決勝の鎮西高(熊本)戦では、ものすごく落ち着いてプレーしていたのが印象的でした

 なんでだろう…。どうしてあんなに落ち着いていたかはわからないですね。準々決勝の東福岡(福岡)戦の第2、第3セットくらいから、いつも以上に周りが見えて、呼吸があまり乱れませんでした。準決勝も決勝も、最後にボールが落ちるところまで見ていたんですよ。ふだんだったらすぐに喜んでいたところで、ボールをギリギリまで見て「よし」と思えるくらい冷静でしたね。

 

――いわゆる「ゾーン」のような状態ですね

 そうですね。いつもだと強引にブロックにぶつけるところで相手の指先を狙ったり、フェイントをしてみたり。スパイクだけではなく、レシーブのポジショニングもよく、相手のブロック陣形も仲間に伝えられました。とにかく変な感じで、今までそういう感覚になったことはなかったです。

 

――以前、これからはリベロもやりたいと言っていました。今回スパイカーとして活躍して、心境の変化はありますか?

 結果を残すことができて、今後スパイカーもやらせてもらえるのであれば、それもいいかなと思いました。でも、リベロもやりたいです。選手としての可能性を広げられるので、大学ではどちらも練習しようと思っています。

 

――リベロをしたいという気持ちはいつ芽生えましたか?

 これまでずっとスパイカーですが、中学2年生のときにケガをして、ジャンプができない時期にリベロをしたことがあって。そのときにリベロもおもしろいな、と思いました。

 中学3年生の中学選抜(全日本中学生選抜)では、スパイカーもやらせてもらいましたが、主にリベロ的な役割でした。そのときぐらいからリベロでも上を目指せたらいいなと思うようになりました。もともとスパイクよりも守備が好きで、相手がブロックに当たらずに打ったボールを、レシーブできたときが楽しいです。スパイカーの経験もあるので、スパイカーが助走しやすいトスを上げることもできると思います。

 

――憧れの選手はいますか?

 浅野博亮さん(元ジェイテクトSTINGS)です。小学5年生のとき、浅野さんが日本代表でプレーされている動画を父に見せてもらいました。相手の3枚ブロックの上を巻いて、コートの奥に打ったプレーがとても印象的でした。当時、成長したらおそらく浅野さんと同じくらいの身長になるだろうな、と思っていたら、ほんとうにそうなりましたね(前嶋は180㎝、浅野さんは178㎝)。

 日本代表でも、リベロとしてもスパイカーとしてもプレーされていて、自分も同じようにどちらも活躍できる選手になりたいと思いました。あとはプレー中の明るい表情。ジェイテクトでもキャプテンをされていて、同じ立場としてまねしていました。

 

 

安定したレシーブでもチームを支えた

 

――今回の春高で活躍した選手たちは、2年後のパリオリンピック、6年後のロサンゼルスオリンピックで活躍が期待されます。前嶋選手は6年後、何をしているでしょうか?

 まったくわからないですね(笑) 牧(大晃/高松工芸高3年)は「日の丸をつけてプレーする」と言っていると思いますが、自分はバレーボール選手としてやっていけているかもわからないので。でも、そこにいきたい気持ちはもちろんあります。

 

――ご自身の中ではスパイカーとリベロ、どちらのイメージですか?

 えー! どうですかね(笑) スパイカーとしてプレーして、リベロがもしケガをしてしまったらリベロとしてプレーする。そういうイメージですかね(笑)

 

――では、今のところはスパイカーが軸ですね

 いやー! (笑) でも、リベロもやりたいので…。やっぱり両方ですね(笑)

 いずれにせよ、どのポジションでも活躍できるような、何でも器用にこなせる選手になれているんじゃないかと思います。

 

 

 

エースとして抜群の存在感を見せた今大会。スパイカーとしても、リベロとしても、より高みを目指す

 

(※)日本航空高は関東大会準々決勝で駿台学園高に2-1で勝利するも、山梨県代表として臨んだ第76回国民体育大会関東ブロック大会では、東京都代表に1-2で敗戦。対戦成績が1勝1敗となり、駿台学園高へのリベンジを掲げていた

 

前嶋悠仁

まえしま・ゆうと/3年/アウトサイドヒッター/身長180㎝/最高到達点330㎝/袋井中(静岡)

1年生時からレギュラーとして活躍。攻守の要としてチームを初の日本一へ導いたキャプテン。

 

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