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日の丸の経験を糧に、国体で今季2つ目のタイトルを狙う

 

 

第77回国民体育大会(国体)が10月7日(金)から10日(月・祝)に栃木で行われる。8月のインターハイで優勝し、京都府代表として国体で今季2つ目のタイトルを目指す麻野堅斗、尾藤大輝(ともに東山高)の対談をお届け。麻野は日本代表、尾藤はU18(ユース)日本代表に選ばれている。世代注目の2人が目指す場所とは?(8月26日〔金〕に取材)

 

尾藤大輝(左)と麻野堅斗

 

――尾藤選手、アジア選手権優勝、MVP受賞おめでとうございます。今日から練習に合流しましたが、麻野選手からお祝いの言葉はかけられましたか?

 

麻野 まだですね。…おめでとうございます(笑)

 

尾藤 ありがとうございます(笑)

 東山の仲間からは「(アジア選手権に)行った以上は優勝するだろう」と言われていたので、祝福されるというよりは、「まあ、優勝するよね」という雰囲気で迎えられて。家族はいちばん喜んでくれて、うなぎを食べに行ったりしたので、東山ではこんなもんか、って思いました(笑)

 

麻野 ごめん(笑) エースとしてアジアNo.1になって心強いです。

 

尾藤 そう言ってもらえてうれしいですね(笑)

 

 

――8月上旬に行われたインターハイでは、2人の活躍もあってチームは初優勝。それぞれのプレーはどう映っていましたか?

 

尾藤 (麻野)堅斗さんは、ブロックの圧など得点には現れない相手へのプレッシャーが大きくて、助けられることが多かったです。堅斗さんなくして優勝はなかったと思います。

 

麻野 (尾藤)大輝はどの試合も安定していて、決めてほしいところで決めてくれました。決勝の東福岡高(福岡)戦で第1セットの負けている場面から逆転できたのは、大輝のバックアタックから。チームに欠かせなくて、優勝にいちばん力を貸してくれた選手だと思います。調子が悪かったので、自分の印象的なシーンはありません(笑)

 

尾藤 東福岡戦の第1セットでブレイクできたのは、堅斗さんのサーブのおかげだと思います。相手に向かっていったり、決勝の舞台を楽しむ気持ちを全員で出せた結果で、試合をしていていちばん楽しかったです。

 

 

【次ページ】二人はふだんどんな話をする?

 

 

インターハイを制し、笑顔を見せる#2麻野と#3尾藤

 

――学年にかかわらず、練習中からよく一緒にいる2人。尾藤選手は以前、レベルが高い選手だから、というだけでなく「単純に仲よくしたいから」と言っていましたね

 

麻野 後輩とはあまりしゃべりませんが、大輝とは結構しゃべりますね。

 

尾藤 ゲームや音楽の話とか。いろんなジャンルの話をします。

 

 

――特に何の話が多いですか?

 

尾藤 堅斗さん話してもいいですか?(笑)

 

麻野 別にいいよ(笑)

 

尾藤 乃木坂46です。僕は高校1年生の終わりくらいからはまったんですけど、堅斗さんは結構前から好きで。堅斗さんが好きということを知らず、僕が「はまったんですよね」と言ったら、思ったよりも好きでびっくりしました(笑)

 

麻野 YouTubeのオススメ動画を見たことがきっかけで、中学3年生からハマりました。試合前は音楽を聞いています。好きな曲はいっぱいありますが、『他人のそら似』が特に好きです。

 

尾藤 僕は『Route 246』です。アップテンポで元気づける曲なので、テンションが上がります。大学生になったら一緒にライブに行こうって言っていました(笑)

 

麻野 卒業するまでに行きたいですね(笑)

 

 

【次ページ】カテゴリーは違えど、日本代表の二人、お互いにどう感じている?

 

 

――そんなふだんから仲がいい2人ですが、麻野選手が日本代表に選ばれたとき、尾藤選手はどう感じましたか?

 

尾藤 遠いところにいってしまったな、という思いでした。

身長が2mを越えていて、元からすごいと思っていましたが、あらためてそうだったんだな、と。一緒にいるとそれが薄れてしまうこともあるので(笑)

 日本代表から東山に合流してからは、ブロックの移動スピードを上げるためにどんなコツを教えてもらったのか聞きました。その内容を取り入れるには股関節の柔軟性が必要で、自分は硬いのでできませんでしたが、聞けてよかったです。

 

 

麻野は高校生で唯一日本代表合宿に参加(撮影/石塚康隆)

 

――その後、尾藤選手もU18日本代表に選ばれました

 

麻野 すごく活躍しているので、選ばれて当然だと思いました。東山では去年とポジションが変わってオポジットになり、トスが上がることが増えましたが、インターハイでは点を決めてくれて、すごく冷静にプレーしていたと思います。

 

尾藤 インターハイではすごく気持ちが熱かったですが、今年の春高などに比べると冷静にプレーすることができたと思います。ただ、ユースでも練習で気持ちのムラがあると言われたので、国体、春高に向けて克服したいと思います。

 

――カテゴリーは違えど、日の丸ユニフォームを身にまとった2人。これからさらに何が必要でしょうか?

 

尾藤 堅斗さんクラスのブロッカーが複数いるのが世界のレベル。アジア選手権のイランとのファイナルではそういうところを意識しながら戦いましたが、高校生相手だとなかなかそれはできません。自分で工夫したり、堅斗さんに手伝ってもらって、日ごろから高いブロックを想定して練習したいです。

 

麻野 リオさん(松永理生東山高監督)と話して、クイックやオープントス、バックアタックを打ったりと、ミドルブロッカーやオポジットといったポジションにとらわれないプレーができるようになるのがこれからのテーマです。日本代表として活躍できるよう、オポジットとしても成長したいと思います。

 

尾藤 自分と身長が近い日本代表選手だと、活躍されているのは髙橋藍選手(日本体大3年、パドヴァ[イタリア])や西田有志選手(ジェイテクト)といった、守備がうまかったり、決定力がものすごく高い方です。両方まだまだなので、自分をもっと追い込まないといけません。

 特に課題は守備。ユースでもサーブレシーブに入るローテが少なくて、聖隷(クリストファー高2年〔静岡〕)の(小野)駿太や、大村工(高2年[長崎])の土井優太に助けてもらう場面が多かったです。だけど、今の代表にはそういう選手はおらず、特にサイドの選手としてコートに立つには守備が欠かせません。練習で流さず、一本一本を考えて頑張りたいです。厳しい道のりだと思いますが、あきらめずに、アピールし続けます。

 

麻野 自分は日本代表に選ばれたといっても、まだまだ足りない部分はあります。残り少ない高校生活や、大学に入ってから磨きをかけて、大輝と一緒にできたらと思います。

 

尾藤 堅斗さんと一緒にそういう舞台でプレーしたいので、一日一日の練習をいい経験に変えていきたいです。

 

 

【次ページ】二人の国体に対する意気込みは?

 

U18日本代表のエースとして、チームを引っ張った尾藤©AVC

 

――国体へ向けて、意気込みはいかがですか?

 

尾藤 ユースで知り合った仲間と戦うのはワクワクします。ただ、ユースでいい成績を残した分、いろんな人からしっかりやれよという目で見られると思うので。期待に応えるプレーをしたいですし、チームとしては二冠目に向けて、日本一を取りにいきたいです。

 まだまだ目標に達していないので、インターハイを取ったから威張るというわけではなく、挑み続ける精神で頑張ります。

 

麻野 インターハイで日本一になりましたが、自分はなかなか調子が上がりませんでした。国体ではいいパフォーマンスが出せるようにコンディションを整えていきます。チームとしては三冠という大きな目標があるので、全力で取りにいく気持ちで挑みたいです。

 

 

――それぞれやってくれそうですか?

 

麻野 頑張ってもらいたいです!

 

尾藤 めちゃくちゃ期待したいと思います!(笑)

 

日の丸の経験を糧に、国体で今季2つ目のタイトルを狙う

 

取材・撮影/田中風太

 

麻野堅斗

あさの・けんと/3年/ミドルブロッカー/身長207㎝/最高到達点345㎝/昇陽中(大阪)

 

尾藤大輝

びとう・ひろき/2年/オポジット/身長186㎝/最高到達点335㎝/桜丘中(岐阜)

 

 

発売中の月刊バレーボール10月号では、東山高が初優勝した四国インターハイ男子大会をレポート。完全優勝をつかんだ裏には、ある壮絶な練習があった

 

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