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東福岡 2年ぶりの春高優勝へエース川野の覚醒がカギ【春高出場校の天皇杯③】

 

 

12月9日(金)に武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京)で行われた令和4年度天皇杯全日本選手権大会ファイナルラウンド(男子)1回戦に、春高に出場する4チームが出場。Vリーグや大学生といった格上との対戦で、何を得たのか。第3回は東海大と対戦した東福岡高(福岡)。2年生時からエースに指名されてきた川野史童の成長が、2年ぶりの頂点奪取に欠かせない

 

 

得点を決め、雄たけびをあげる#3川野

 

 エースの見せ場だった。全日本インカレ準優勝校の東海大にタイムアウトを取らせ、11-9とリードしていた第2セット。身長199cmの川野史童がサイドラインに立った。セット序盤で川野が後衛に回ると、後衛ではセッター園田欧太郎と代わるのが東福岡のパターン。だが、11-7から連続失点で相手に詰め寄られると、前衛に上がる前に川野がコートに戻った。託された仕事は、得点を決めること。ただそれだけだった。

 

 しかし、負の連鎖を断ち切れない。逆転を許し、11-14と点差を広げられた場面では、仲間が懸命につないだボールを続けてバックアタック。だが、相手レシーブを打ち破れず、連続失点は「9」まで広がった。中盤に葭原逢太のスパイクなどで詰め寄ったが、23-25と及ばず。川野は「自分が絶対決めきらないといけない場面で決めきれない。(コースを)抜けても拾われるので、まだパワーが足りないと思います」と唇をかんだ。

 

 川野の対角を組む葭原は、今試合の前日までユース日本代表合宿に参加。同合宿ではセッターとしてプレーしていた影響もあり、第1セット0-1でバックアタックをブロックされると、その後は持ち味が影を潜めた。藤元聡一監督は「歴代でいうとエースがカバーしてきたところ。その分、川野が『慣れるまで俺に任せとけ』というぐらいのプレーを見せてくれればよかったんでしょうけどね」と川野に要求した。

 

 

第14回アジアU18(ユース)男子選手権大会ではキャプテンを務めた#9葭原

 

 この2年間、川野は指揮官の期待を背負い続けてきた。スタメン唯一の1年生として春高の頂点を経験。2年生時からは日本一に導いた柳北悠李(東亜大2年)に続くエースとして期待された。だが、同年はインターハイベスト4、春高ベスト8と頂点に届かず。今夏のインターハイ準決勝ではハイセットを打ちきり、前回大会優勝校の鎮西(熊本)をフルセットで破ったが、決勝では東山(京都)にストレート負け。1年生時のような歓喜は味わえていない。

 

 東海大との戦いを終え、リベロの土井柊汰キャプテンは「守備面での課題はほとんどないと思う」と胸を張った。セッター田代理貴が展開する多彩な攻撃も相手に脅威を与える。だからこそ、カギを握るのはトスが乱れた場面でいかに川野が打ちきれるか。藤元監督は期待を込める。

 「ハイセットになると、最後は川野が打つシステムでこの1年間やってきているので、これを今さら変えるのもな、と。最後まで信じてやるしかありません。拾って、つないで、川野が決めないと、日本一になれないですね」

 

 叱咤激励を受けながら、日本一のエースになった柳北の姿を目に焼き付けた。あれから2年。次は川野の番だ。

 

 

その左腕で、頂点へ導けるか

 

 試合結果は以下の通り。

東海大 2(25-13、25-23)0 東福岡高

 

文/田中風太

写真/中川和泉、石塚康隆

 

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