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【下北沢成徳高2年生エース対談 イェーモン ミャ×後藤ビビアン愛音】全国二冠にも慢心はなし

今年度からダブルエースとして活躍し、下北沢成徳高をインターハイ、国体の二冠に導いたイェーモン ミャと後藤ビビアン愛音。2年生エースコンビのこれまでと、1119日(日)に行われる第76回全日本高等学校バレーボール選手権大会 東京都代表決定戦への思いに迫る(取材/1026日)

 

後藤(左)とイェーモン

 

 

——国体優勝おめでとうございます。優勝の瞬間は笑顔を見せましたが、すぐに表情を引き締めていましたね

 

イェーモン(以下、モン) インターハイと同じで、「優勝したからすごくうれいしい」という気持ちは正直あまりなくて。

 

 金蘭会高(大阪)はどの選手も攻撃力が高いので、自分たちの武器であるブロックを機能させることが大事だと思いました。まったくできていないというわけではありませんが、試合を振り返ると完璧ではなくて。「ここでほしい」という場面で止められないことがあったので、目指しているところには届いていないと感じます。 

 

後藤 インターハイはケガがあり、準決勝から出られませんでした。今回は最後までコートに立って優勝したからうれしいというわけではなく、まずは目標を達成することができたという思いが強かったです。

 

——それぞれのプレーを振り返っていかがでしたか?

 

後藤 成徳(下北沢成徳高)はブロックが武器ですが、自分はみんなと比べて身長が低い(172㎝)です。ブロックを利用されて(コートの外に)出されることがあったので、修正したいと思いました。


 

 また、持ち味であるパワーのあるスパイクを、どの試合も100%出せたとは思っていません。これから練習して、自分の武器を最大限に発揮できるようにしていきたいです。

 

モン 決勝ではスパイクというよりはまず、ディフェンスで相手を上回ることを意識していました。スパイクでは、金蘭会は全員のレベルが高いので、どこまで通用するかがすごく楽しみでした。内容はよくも悪くもなかったですが、コースを1ヵ所に限らず打ったり、次につながるプレーはできたと思います。

 

後藤 モンはここで1本ほしいというときに必ず決めてくれるので助かりました。その分、自分はサーブレシーブをしっかりと返そうと思いました。

 

モン 力を出せたのは60%ぐらい。レシーバーをぶっ飛ばせるような力をもっとつけたいと思います。

 

——優勝後はすぐに伊藤崇博監督を中心に話をしていました

 

後藤 次の春高予選に向かっていこう、という話をされました。みんなその気持ちだったので、周りからもあまり喜んでいなかったね、と言われました。

 

モン 四強戦(東京都代表決定戦)に向けていこうという気持ちになりました。

 

国体でエースとして高い決定力を残したイェーモン

 

【次ページ】二人の出会いは…

 

——今季からアウトサイドヒッターのレギュラーとして戦うお二人ですが、出会いは覚えていますか?

 

後藤 気づいてないと思いますが、モンを初めて見たのは中学3年生時の全中です。私はみんなとは違う中学校(東陽中〔愛知〕)で、北沢中(東京)を見て「すごい。でかい!」と思って。そのときはまさか自分が同じチームに入るとは思っていませんでした。モンは背番号5番だよね? プレーは見ていませんが、身長や名前がすごく印象的でした。

 

モン 当時、ビビ(後藤)のことは知らなかったです。初めて会ったのは下北沢成徳高の体験練習だよね。同じポジションで、すごいパワーの人だなと思いました。いい選手だな、って(笑)

 

後藤 何目線だよ(笑) 成徳はみんなレベルが高く、一球に対して今までに感じたことがない思いがあって。「楽しい。成徳に入ってよかった!」って何回も、何回も思います。

 

——1年生時、お二人は試合に出ていませんでしたが、当時の経験はどう生きていますか?

 

モン 自分たちは練習でBチームに入っていました。楽しかったよね?

 

後藤 うん、めっちゃ楽しかった! Aチームとの試合では、ただ「ぶち抜くぞ!」「おりゃー!」って感じで打っていました(笑)

 

モン 打球の威力が先輩たちと比べて全然なかったので。とにかくしっかりとトレーニングをして、力をつけないと、という思いでした。


 

後藤 中学生のときはただコートの下に打ちつけて決めるという考えしかありませんでした。でも、自分は身長が低いので、高いブロックを利用して(コートの外に)出すとか、考え方を変えてスパイクを打つようになりました。1年生のときのことって覚えてる?

 

モン いや、あまり覚えていない(笑) 

 

後藤 ごめんなさい。覚えていないんですよ! 過去にはこだわらないので(笑)

 

——今年度から対角を組んでいますが、お互いにどんな存在ですか?

 

モン 試合では同じポジションは自分たちしかいないので、技術面で気づいたことを共有していますし、いい仲間だと思います。


 

後藤 うまくいかなかったり、あまりいいプレーができないときは「こうするといいよ」と言ってくれて。モンに言われたことを意識してみたらうまくいくので、いつもありがとうございますという気持ちです。

 

——どんなアドバイスを受けていますか?

 

後藤 言われていることは同じで。「なんでやらないの?」と怒られているんですけど(笑) 例えば、スパイクでは助走の踏み込みをもっと意識してみて、とか。基本的なこともですし、いろいろと教えてくれます。

 

モン それって、たまになのかな?

 

後藤 いや、毎回ですね…(笑) でも、私からモンに言うと納得がいかないみたいで。「ほんとうに思っている?」「考えているの?」って言われます(笑)

 

モン 自分でも考えているので。でも、ありがとう(笑)

 

——「スパイクの研究が好き」というモンさんならではですね

 

後藤 昨日も練習中にひらめいていました。スパイクの助走で前日より踏み込んでいるな、と思っていたら、「わかった。こうすればいいんだ!」と言っていました。

 

モン コツを見つけたらすぐ人に言いたくなって。ビビにもそうだし、(1年生アウトサイドヒッターの荻野)明花にもすぐに共有します。スパイクの威力があまりないと思っていたときに、助走のスピードが落ちているのと、(ボールより)先に入ってしまっているから、もっとためればいいんだと気づきました。

 

——後藤さんは優勝した今年のインターハイでは、準々決勝でねんざ。同大会ではその後、試合に出ることができませんでした

 

後藤 ケガをしたときは「大丈夫でしょ」と思っていたんです。でも、思うように足が動かなくて。

 

 インターハイ予選が終わって、本戦で日本一を取るという目標に向かって頑張ってきたので、少し悔しくて泣いてしまいましたが、ケガをしたことはしかたがないと受け入れて。自分の代わりに入った明花にいいプレーをしてもらうために、しっかりとサポートしようという気持ちでした。


 

モン そんなに大きなケガだとは思いませんでした。あのときは試合に勝つことしか考えていなかったです。

 

後藤 もしモンがケガをしても、自分もそうなると思います。「勝つしかないでしょ!」って。

 

モン 勝つだけ。自分たちの目的、目標はぶれない。

 

後藤 決勝のモンの活躍はほんとうにその言葉のとおりで。絶対に「勝つ!」というプレーでした。

 

ケガを乗り越え、国体で復帰を果たした後藤(左から2番目)

 

 

——国体予選もスタンドから見守りましたが、練習ができない間に感じたことは何ですか?

 

後藤 いつもはがむしゃらにプレーするだけでしたが、休んでからは考え方を変えることができて。「こうすればもっとうまくできる。チームもよくなる」と思うようになりました。いちばんは「今、バレーボールができることに感謝しないといけない」と思います。

 

モン 「バレーができていることに感謝するわ」ってよく言っています。

 

後藤 私、独り言が多くて。練習や学校、いろんな場面で…。でも、独り言が多いのはお互いさまか(笑) モンはプレーについて、私は感謝する、って(笑) 性格はほんとうに違うんです。

 

——シーズンは終盤を迎え、いよいよ春高予選が行われます

 

モン もっと詰めていかないといけない部分はあります。自分たちは来年もあるので、それにもつながるような春高予選や春高にできれば、と思います。

 

後藤 3年生は最後だし、予選で勝てば12年生にとっては初めての春高です。まずは自分たちが今までやってきたことを信じて、最大限に力を発揮できるように準備していきます。

 

——周囲からは三冠の期待も大きいと思います。プレッシャーはありますか?

 

後藤 あまり感じないです。

 

モン プレッシャーも楽しみ。いろんな人に見てもらえると思うので、見ている人の心を動かしたいです。

 

後藤 最近のミーティングでも話したよね。モンが言ったように、応援してくれる人や保護者の皆さん、支えてくださる人だったり。成徳のバレーで心を動かしたいって。

 

モン 以前から思っていましたが、最近さらに思うようになってきました。春高予選でもたくさんの方が応援に来てくれるので、なるべく多くの人に成徳のバレーを応援したいと思ってもらいたい。そして、小中学生たちに憧れを持ってもらえたら、自分がバレーボールをしている意味があると思います。

 

まずは昨年敗れた東京都代表決定戦で、本戦の切符をつかむ

 

取材・写真/田中風太(編集部)

 

イェーモン ミャ

身長175㎝/最高到達点300㎝/北沢中出身/アウトサイドヒッター

 

後藤ビビアン愛音

ごとう・びびあんあいね/身長172㎝/最高到達点295㎝/東陽中出身/アウトサイドヒッター

 

対談中に2人が繰り返したのは「ここは通過点」という言葉。目先の結果にとらわれない理由とは? 国体のレポートは発売中の月刊バレーボール12月号をチェック。

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