2023年のアジアクラブ選手権を制していたサントリーは天皇杯・皇后杯ファイナルラウンドの出場を辞退、同時期に開催されていた世界クラブ選手権(インド)に挑み、日本初の銅メダル獲得という快挙を達成した。戦いの模様を、背景も含め全4回のシリーズでお届けする連載の最終回です(第1回)(第2回)(第3回)
日本代表だけではなくクラブチームの強さも証明
日本のチームが世界クラブ選手権でメダルを獲得するのは史上初。そもそも、この大会までたどり着くことも難しかった。2013年にパナソニックパンサーズが招待枠で出場したことはあったが、日本勢がアジア王者として今大会に出場したのは今回が初めてのことだ。
アジアクラブ選手権の開催時期が日本代表の活動期間と重なることが多く、日本のチームがベストメンバーで臨めなかったり、アジアクラブ選手権のために海外の有力選手を補強して臨むイランやカタールなどのチームに阻まれ、アジアで勝ち抜くことが難しかったという事情がある。そんな中、昨年5月にバーレーンで開催されたアジアクラブ選手権で、サントリーが初めてその壁を破って日本勢初のアジア王者に輝き、世界クラブ選手権の出場権をつかんだ。
今回の世界クラブ選手権は、当初ヨーロッパ代表として、一昨年度の欧州チャンピオンズリーグ1位ケンジェジン コジエ、2位ヤストセブスキ(ともにポーランド)に出場権が与えられたが、この2チームが出場を辞退。3位だったハルクバンク、4位ペルージャが繰り上がって出場したが、それでも世界的な強豪に違いはない。
この舞台で日本勢初のメダルを獲得したことには大きな意義がある。山村宏太監督は言う。
「今日本代表が頑張って結果を残してくれているなかで、代表だけでなく、我々クラブチームも世界に通用すると証明できた。今回3位になったことで一つの基準を作ることができたと思います」
来年は、2022-23Vリーグ王者のウルフドッグス名古屋がアジアクラブ選手権に出場し、世界クラブ選手権を目指すことになるが、「今回のサントリー以上の結果を」という意識は自然と高まるだろう。
そしてサントリーも、目指す基準が上がった。
「今回我々が対戦することができなかったイタリアのペルージャが、決勝でミナスに対して圧倒的な力を見せつけて優勝した。そういう意味で、世界のトップまでの距離というものも改めて確認することができ、そこには大きな壁があるのかなと感じています。だからこそ、挑戦する意義があると感じました」と山村監督。
次の目標は明確だ。再びあの舞台に立つために、今シーズンのVリーグで王座を奪還し、もう一度、アジア、世界への挑戦権をつかみ取る。
(了)
写真/©SUNTORY SUNBIRDS
記事提供/SUNTORY SUNBIRDS・米虫紀子
◇サントリー試合結果
3位決定戦 12月10日(日)
○サントリー 3(17-25、23-25、25-21、25-19、15-12)2 ハルクバンク●
準決勝 12月9日(土)
- サントリー 2(25-22、22-25、30-28、20-25、15-17)3 ミナス○
予選2日目 12月7日(木)
- サントリー 2(21-25、29-31、30-28、25-22、12-15)3 サダ クルゼイロ○
予選1日目 12月6日(水)
○サントリー 3(25-23、25-23、25-16)0 ハルクバンク●
■最終順位
優勝 ペルージャ(イタリア)
準優勝 ミナス(ブラジル)
3位 サントリーサンバーズ(日本)
4位 ハルクバンク(トルコ)
5位 サダ クルゼイロ(ブラジル)
6位 アーメダバード(インド)
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