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春高2025

出場できるのは12名なのに帯同は14名。JOC杯沖縄県選抜男子の育成方針「つらいですよ。みんな頑張っていますから」

  • 中学生
  • 2025.02.05

 バレーボールの「JOCジュニアオリンピックカップ第38回全国都道府県対抗中学大会」(以下、JOC杯)は昨年12月末に大阪で開催され、そこで中学3年生たちの多くは中学バレーにひと区切りをつけた。そのJOC杯の選抜活動における経験を、春から始まる次のステージへ生かす選手たちもいるだろう。

 

 

令和6年度JOC杯沖縄県選抜男子

 

 

本戦は12名の登録で実施されるJOC

 

 JOC杯の開幕を2日後に控えた20241223日のAsueアリーナ大阪(大阪市中央体育館/大阪)のサブコートでは、大阪南選抜と沖縄県選抜の両男子チームが練習試合を行なっていた。

 

 統一された練習Tシャツを着た沖縄県選抜にふと目をやり、選手の数を数えてみる。123…、1112、そして1314JOC杯のエントリーは12名のはずなのに、そこには14名の選手がいた。その理由を佐喜真道昭(さきま・みちあき)監督に聞いてみる。

「もう10年以上でしょうか。私が県選抜の指揮を執るのは3年目になりますが、その以前から沖縄県ではこのかたちがとられています。中学生たちにたくさんのことを経験させたい、というねらいがあります」

 

 沖縄県選抜が活動を開始するのは夏頃。その時点で選ばれた14名が“認定選手”となり、年末の大会本番まで一団となって活動する。大会の最終エントリー提出が12月初旬であり、その1週間前を目処にチームは登録12名を決めるというのだ。

「活動期間中もずっとそのことは伝えています。ですが…、いざ、その場になると別問題ですからね」

 佐喜真監督は絞り出すようにして、そのつらさを吐露した。

 

 

14名で大阪の地にやってきた。写真は12月23日の大阪南選抜との練習試合

 

 

メンバーが決定後も「いいプレッシャーになりました」と福原キャプテン

 

「落ちてしまうかもしれないという不安と同時に、このメンバーから仲間が落ちてしまうとどうなるんだろう? という思いでした。決まったのは九州での合宿を終えたあとです。発表されたときは、(外れた)2人とも涙していました」

 

 そう振り返るのは、今回の沖縄県選抜でキャプテンを務めた福原兼成(ふくはら・ともる/あげな中3年)だ。実に3ヵ月近くをともに過ごし、最後にメンバーから外れる。酷に映るだろう。宣告する側にとっても同じだ。

「つらいですよ。だって、みんな頑張っていますから。戦術やポジションのバランスでどうしても2人を外すことになる…、つらいところです。ただ、それ以上に保護者の方々から『活動をやらせてよかった』とおっしゃっていただけたり、選手本人たちも『切り替えます』と言って引き続き大会まで臨んでくれる。それは、今まで過ごしてきた時間は本人たちにとって決してムダじゃなかったという証しだ、と思いながら私自身も向き合っています」(佐喜真監督)

 

 大会への登録から外れながらも2人は活動に携わり、練習メニューにも入り、集大成となるJOC杯が開催される大阪まで帯同する。仮に大会中に負傷者が出たとしても登録されるわけではなく、観客席から試合を見守ることになるのだが…。

「外れた選手たちが切り替えて、みんなのそばで頑張ってくれている。その姿を見て、大会に出場するメンバーたちも責任感を強めた部分はあると感じます」と佐喜真監督。

 

 その言葉どおり、本番での登録が決まった12名は大会までのおよそ3週間、心のスイッチを入れていた。「外れた彼らの気持ちを背負って活動しなければいけませんし、練習からしっかりとやらなければと引き締まりました。いいプレッシャーになりました」とは福原キャプテンの言葉である。

 

 

気持ちを押し出してプレーする姿が印象的だった沖縄県選抜

 

【次ページ】外れた2人が明かした、JOC杯沖縄県選抜との向き合い方

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