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激闘に終止符を“打たせなかった”サントリーサンバーズ大阪のチャレンジに見たチームの強さと「信じる」力。大同生命SVリーグ男子ファイナルGAME1にて

第5セット18-17でサントリー髙橋藍のバックアタックをSTINGS愛知の髙橋健太郎がブロック。勝負は決したかに見えたが…

 

 バレーボールの2024-25 大同生命SVリーグチャンピオンシップ男子、サントリーサンバーズ大阪とジェイテクトSTINGS愛知によるファイナルのGAME13時間半に及ぶ大熱戦となった。まさに“最高峰”という言葉がぴったりだった一戦。勝利したサントリーは、チームに備わる強さを存分に発揮した。

 

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第5セット18-17でサントリー髙橋藍のバックアタックをSTINGS愛知の髙橋健太郎がブロック。勝負は決したかに見えたが…

 

 

 STINGS愛知が2セットを先取し、第3セットはサントリーがジュースをもぎとると、続く第4セットは30点台に到達する激闘に。そうして最終第5セットも、もはや必然と言わんばかりにジュースに突入する。

 手に汗にぎる展開は、STINGS愛知が18-17とリードし、そこでサントリーの髙橋藍のバックアタックを髙橋健太郎がブロックシャット。歓喜するSTINGS愛知の姿に、壮絶な戦いに終止符が打たれたと大半は思ったことだろう。

 だが、そこでサントリーはチャレンジ(ビデオ判定)を要求する。チャレンジの申告をしたあと、ベンチからオリビエ・キャット監督はコート上の選手たちへ何かを話しかけていた。

 

 大概の場合、チャレンジの際はすぐにその項目を審判に伝えるわけだが、このときは見る限り、少しばかりの時間を要しているように映った。どの項目を申告するのか迷っているのか…? そう思った筆者は、試合後の記者会見でオリビエ監督にぶつけてみる。すると、英語で「Believe」「Trust」という単語を交えながら、指揮官ははっきりと口にした。

「あのときのチャレンジに際して、自信はありました」

 

 申告したのは、ブロッカーのタッチネット。それも場内のスクリーンに映し出されたのは、ブロックジャンプに跳ぶ際にブロッカーの手がネットに触れていた、というものだった。それはおそらく、「ボールのイン・アウト」「ブロッカーのワンタッチ」などと比べると、その場では気づけないほど細かい部分だ。けれども、サントリーは確信を持っていた。オリビエ監督はこのように語る。

「チャレンジを『する・しない』ということも含めて、スタッフだけでなく、コート内の選手としっかりコミュニケーションをとることは、シーズン前からチームとして取り組んできたことです。ときには選手の判断を信頼することが難しい状況もありますが、私も監督として選手たちを信じるようにしています。

 また今日の試合(GAME1)は(アレクサンデル・)シリフカもベンチから意欲的に、チャレンジの判断について協力してくれました。それらがうまくいったと感じています」

 

 

要所で両チームのチャレンジが光った

 

 

 結果的にチャレンジは成功し、試合は18-18と振り出しに。その後も終わりが見えないゲーム展開のなか、サントリーは26-24で勝ちとってみせた。

 

 オリビエ監督の言葉から振り返って、実感した。申告までに少々の時間を要した、あの場面こそサントリーがシーズンを通して磨いてきた力が発揮されたのだと。そこにあるのは、選手とスタッフを含めたチーム全体でお互いに“信じ合える”関係性。

 

 SVリーグ初代王者に王手を懸けたサントリーは、かたちや数字には表れないその武器を手に、55日、勝負のGAME2へ臨む。

 

取材・文/坂口功将

写真/中川和泉

 

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