サントリー 髙橋藍が試合中にファンと一緒に手拍子を繰り出した理由。SVリーグ優勝へチームを加速させたアクションに込めた思い
- SV男子
- 2025.05.06
バレーボールの2024-25 大同生命SVリーグ男子、チャンピオンシップ ファイナルのGAME2が5月5日にLa La arena TOKYO-BAY(千葉)で実施され、ジェイテクトSTINGS愛知から2勝目をあげたサントリーサンバーズ大阪が優勝に輝いた。チャンピオンシップのMVPに選ばれたサントリーの髙橋藍は試合中、ふと一つのアクションを起こしていた。
ファンと一体となり戦った髙橋(右)はファイナルMVPに輝いた。左はトロフィーを手渡す大河正明チェアマン
GAME2は第1セットを先取したサントリーが第2セットも先行する展開に
3日に有明アリーナ(東京)で行われたGAME1と同じく、この日の会場も1万人近い観客が詰めかけていた。リーグタイトルが懸かった大一番に、訪れた観客それも両チームのファンの熱気も高まる。とりわけアリーナはサントリーの赤色とSTINGS愛知の黄金色に二分されていた。そうして試合が始まると、ひとときも休むことなく両チームのファンは手拍子や声援を送り、選手たちを後押しする。
第1セットはサントリーのサーブミスが目立ち、序盤からサイドアウトの応酬が続く展開に。それでも最後はサントリーが26-27から3連続得点をあげて逆転し、セットを先取した。これで勢いがついたか、第2セットは小野寺太志のクイックを皮切りにドミトリー・ムセルスキーのブロックシャット、大宅真樹のサービスエースも飛び出してサントリーが5-0とスタートダッシュに成功している。以降もブレイクを重ねて12-5でテクニカルタイムアウトを迎えると、その直後は相手のスパイクミス、さらにトランジションアタックでムセルスキーが決めきり、14-5とさらにリードを広げる。サントリーは明らかに優位に立っていた。
そこから次のプレーが再開されるまでに、STINGS愛知のコートでは競技運営を手伝うクイックモッパーが懸命にコート上の汗をふいていた。やや時間を要して試合が中断する。そんななか、サントリーの髙橋は後衛レフト側のコーナーに立つと、両手をリズミカルに数回たたいた。
髙橋はGAME2でアタック決定率71.4%(21打数)と高い数字を残し勝利に貢献
「『サントリーサンバーズ大阪のファンも負けていないぞ』と」。試合後に本人が明かした、アクションの理由
それは、ほんの数秒の出来事だった。その中断の際も休むことなく「1,2,サンバーズ!!」のコールに続けてファンが響かせた“パン、パ、パン”の三拍子に合わせて、髙橋も手拍子を繰り出したのである。その姿に気づいたファンたちのトーンが上がり、会場のボルテージもぐっと高まった。
この場面について、試合後の記者会見で聞いてみた。あれは自然に出たのか、それとも意図したものだったのか。「あのシチュエーションは自分自身も覚えています」とほほえんだ髙橋は、そのアクションに込めた思いをこのように明かした。
「自分たちが優位に試合を進めていたわけですが、ファイナルはそう甘くないので。最後の1点を取るまで戦い抜かなければならない。あの場面は、少し自分たちが余裕を感じた部分があったので、そうではなくて『まだ試合の最中だ』『まだ勝っていない』とチームを引き締める思いがありました。
それに、あのときはジェイテクトさんの応援がものすごく聞こえてしまっていたんです。その声援がとにかく耳に入っていたけれど、『サントリーサンバーズ大阪のファンも負けていないぞ』と。相手の応援に負けずに、チームとしてはもちろんファンの皆さんと一つになって戦うことが大事でしたから」
STINGS愛知の高橋和幸キャプテンが「リーグでいちばん」と胸を張るように、声出しとハリセンを交えたSTINGS愛知のファンの声援はこの日も一体感をまとい、その音の波をサントリーにぶつけていた。その障壁さえも乗り越えるために、今こそ自分たちも一つになろう。そんな思いを込めて髙橋はアクションを起こすことで、チームとファンをさらに結びつけた。
その瞬間、サントリーの王者への道のりは一気に加速したのであった。
サントリーが得点するたびにファンからを大きな声援と拍手が起こっていた
取材・文/坂口功将
写真/中川和泉
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