バルセロナオリンピックに出場し、センタープレーヤーとして活躍した石掛美知代さんと、日本代表のエースとしてオリンピック3大会連続出場を果たした大林素子さん。「夢」をテーマにした2人のスペシャルトークショーが5月24日、今年で開業15年を迎えるショッピングセンター「アリオ北砂」(東京)で開催された。
石掛さんが企画&プロデュースを行いスタート
日本リーグ(現SVリーグ)でのライバルチームの主力として、また、ときには日本代表で日の丸をつけてともに戦った2人が、日本各地のショッピングモール「アリオ」などで開催してきたこのトークショー。
引退後は社業に専念し、現在はセブン&アイHLDGS.グループに勤務している石掛さんが“自分の経験を次の世代に伝えたい。そして、ショッピングに訪れた方々を元気に、笑顔にしたい”と、自らプロデュースしたもので、企画から交渉までをすべて行って、2018年12月に「アリオ葛西」でイベントをスタートさせた。「訪れた皆さんのキラキラした目が忘れられなくて」と語る石掛さん。回を重ねて今回で18回目、コロナ禍では厳戒態勢をとりながらも回数を増やし、各地に元気を届けてきた。
タイトルは「夢をあきらめない」
2人の出会いは高校時代にさかのぼる。アニメ『アタックNo.1』の影響で中学生からバレーボールを始めた大林さん。石掛さんは、小学生のときにバレーボールチームの指導者だった父親から「人数が足りないから」と駆り出され、経験がないまま試合に出場したところ、何もできずに負けた悔しさが忘れられずバレーの道へ。
それぞれ八王子実践高(東京)、氷上高(兵庫)へと進み、全国大会で活躍。ライバルチームでプレーしていた高校時代、ガッツあふれる石掛さんのプレースタイルとは対照的だった大林さんは、2歳年上の石掛さんにあこがれ、ファンレターを渡したこともあるそうだ。
その2人が同じチームになったのは、世代別の日本代表、全日本ジュニアの合宿(1985年の世界ジュニア選手権大会に出場)だった。以来、姉御肌で面倒見がよかった石掛さんを大林さんが慕う関係性は長く続き、日本代表としてバルセロナオリンピックに出場するなど、熱い思いを胸に同じ時代を駆け抜けてきた。
トークショーでは当時の思い出話や選手時代の秘話、そしてその経験を糧に夢を追い続ける現在の活躍まで、息の合ったトークで会場を盛り上げ、魅力たっぷりのエピソードで語り尽くした。
2人のコメントには「一生青春」「人生は自分でつくるもの」「ときにはあきらめることも勇気」「信念をもってやり続けることで、今日よりも明日成長している。日々その連続で今がある」「どうせ無理だなんて思わないで、やりたいことにトライすることが大切」「悔いのないように一日一日を大切に」と、心に響く言キーワードがびっしりと散りばめられており、会場に訪れた働き盛りの世代の方からは「仕事に役立つ言葉をありがとうございます」と、感想が述べられるほど。
また、人生訓だけではなく、バレーボールについての質問にもていねいに回答。小学生のバレーボール選手から「試合で点差が離れてしまった場合はどういう気持ちで戦えばいいですか」と聞かれると「そういうときはコートを見渡して。ハッタリでもいいから“大丈夫、いける”とみんなの顔を見ながら大きな声を出すこと。あきらめない、仲間を信じることが大事」と大林さんが回答。また「強いスパイクが打ちたいです」という質問には「憧れの選手をものまねしてみる、イメージすることが大切」と、答えた石掛さん。実際に現役時代もイメージトレーニングを大事にしてきたそうだ。
また、周りと比べて飛びぬけて身長が高かったというお2人の子ども時代を振り返りつつ「大きいことをコンプレックスなんて思わないで、自信を持って!」と、激励。じゃんけん大会では、大人に負けじと頑張る小学生に石掛さんが熱いエールを送ると、ハートに火が付き、見事勝利するひと幕も。歌手としても活躍中の大林さんの曲『前を向いて』が流れると、思わず手拍子とともにマイクを片手に歌い出して盛り上げるなど、会場に詰め掛けた全員が背中を押されっぱなしの60分だった。
□石掛美知代(いしかけ・みちよ)
兵庫県の名門、氷上高出身。卒業後はイトーヨーカドーに所属し、キャプテンとして1989年の日本リーグ(現SVリーグ)優勝に導く。1992年のバルセロナオリンピックをはじめ、日本代表として大林さんとともにプレーした
□大林素子(おおばやし・もとこ)
八王子実践高在学中から日本代表に選出され活躍。ソウル、バルセロナ、アトランタオリンピックをはじめ、数々の国際大会で日本のエースとしてプレーした。現在は、バレーボールの普及活動、スポーツキャスター、タレント、俳優、歌手など幅広く活躍中
写真/山田高央
■新スローガン「STRONG ROOTS」を掲げ 女子日本代表が始動
■岡山 宇賀神みずき、金田修佳、楢崎慈恵、安田梨夏の引退を発表
■男子日本代表Bチームが7月にオーストラリア代表との親善試合を実施
■大塚達宣もサプライズ参加! 大阪Bファン感謝デーレポート(写真50枚)