トップチームはリーグを脱退、運営会社を変えて活動を継続
まだ総合型地域スポーツクラブにおけるバレーボールチームが少なかった2006年、ゼロからトップを目指すべく「HVCデルフィーノ」が兵庫県に発足した。地域リーグ男子を勝ち上がってV・チャレンジリーグに参戦、「阪神デルフィーノ」そして「兵庫デルフィーノ」と名称をあらためながら、トップカテゴリーを目指す戦いを続けていたが、プロ化を志向するリーグにおいて、条件の確保が見込めない状況に。「兵庫Delfino」は2025-26シーズンのVライセンス不交付(実質的には辞退)となった。リーグの社員格を所有していた株式会社デルフィーノスポーツはリーグを脱退、チームは運営法人の変更とともに鹿児島県大崎町に移転し、KATANA Bulls VCとして海外展開を視野に活動している。創設者である元代表の岩本正吾さんは現在、チーム運営ではなく後方支援に携わっている。
部活動の地域移行で変化するニーズに対応
数年前より地域移行への準備が本格化するなか、アンダーエイジの活動をさらに発展させるべく、従来のユースチーム「兵庫デルフィーノジュニアU15」(2008年~)に加えて今回、岩本さんと兵庫県西宮市の中学教師である小谷世和さんによって「西宮デルフィーノプレミア(U15)」が創設された。
岩本さんは「多くの同志を集めて、変化するニーズに合ったジュニアクラブの運営を模索」することで「形を変えながら、バレーボールやスポーツの力を世の中に還元していきたい」と語る。さらに「いろいろな形の出会いがあるなか、デルフィーノジュニアにはなぜか素晴らしい保護者の方が多い」と話し、「同じ感覚の方々と、西宮デルフィーノプレミアも素晴らしい人間が出入りできる団体にしたい。失敗したっていい。勇気を持つべき」と言葉に熱を込めていた。
西宮市では、2026年9月から中学校の部活動は「プレみや」という名称で地域クラブへと移行。西宮デルフィーノプレミアはこの「プレみや」の先行実施団体として、11月18日に活動をスタートさせた。このチームは同市にある関西学院大学の人間福祉学部や地域の認定子ども園などとの産学連携で、バレーボールを通し、かつそれだけに限らない取り組みを行うことが特徴。チームの活動に協力する企業も特色豊かで、それぞれの得意分野を生かし、社会貢献を兼ねたかたちで携わっていく。
【産学連携のイメージ】
・フィールドスタディーで大学生がチームの課題解決や運営サポートを実施
・授業でチームの取り組みを紹介、そこでスポーツマネジメントに興味のある学生スタッフを募集
・スポーツマネジメントやスポーツビジネスのゼミとコラボし、課題解決のテーマにチームを選定
・認定子ども園で幼児期の子どもたちにバレーボールを知ってもらう普及活動
「デルフィーノってどうなったの?」と思っている方もいるだろう。岩本さんや関係者たちは「デルフィーノは生きている。リーグとは違った活動をしているが、設立当初に思い描いていた“100年続くクラブチーム”を継承していきたい。クラブ経営を一から見直し、新しい時代でもバレー界を盛り上げたい思いは同じ」、そんな声を届けていきたいと考えている。
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