大学最後のリーグ戦で意地を見せつけ合った キャプテンで司令塔の2人 【全日本インカレ開幕 前田凌吾(早稲田大4年)×近藤蘭丸(明治大4年)対談〔前編〕】
- 大学生
- 2025.12.01
大学日本一を決めるミキプルーンスーパーカレッジバレー2025(全日本インカレ)が12月1日(月)に大田区総合体育館(東京)で開幕。集大成を前に、下級生時からチームの司令塔としてけん引してきた早稲田大主将の前田凌吾と、明治大主将の近藤蘭丸の対談が実現した。前編は中学時代から知るお互いの尊敬する点や、今秋の激闘で抱いた思いをお届けする。
それぞれ胸で大学名の頭文字つくる明治大の近藤(左)と早稲田大の前田
――全日本インカレ直前ですが、今の思いはいかがですか? ※取材日:11月22日
前田 勝利や優勝したときより、正直負けた試合のほうが悔しさなどの感情を鮮明に覚えているので、最後は後輩たちにそういう思いをさせないように、全日本インカレで優勝したいです。去年負けている(3位)ので、悔しい思いをしっかり持って頑張りたいです。
近藤 僕が下級生のときは(武田)大周(東レ静岡)さんたちがチームを引っ張っていました。チームがよくなってきたなかで去年は成績を残せず…(ベスト8)。後輩にいい思いをしてほしいのはもちろんですが、いちばんは「先輩方への恩返し」をとても大事にしているので、全日本インカレに向けて勝ちきれるチームにしようと思っています。
――前田選手は近藤選手のことをリスペクトしていると話していました。それぞれお互いのことをどんなセッターだと感じますか?
近藤 いやー(笑)
前田 いや、リスペクトしてるよ!(笑) JOC杯(第32回全国都道府県対抗中学バレーボール大会)の準々決勝(前田は大阪北選抜、近藤は福岡選抜)で初めて戦ったときに「マジで勝てないわ」と感じて。そこから勝つためにどうしたらいいかと考えたらうまくなるしかなかったので、今でも必死に抜かそうと思っています。切磋琢磨というか、リスペクトしつつ、「絶対負けない、追い抜いてやろう」と思わせてくれるので、自分のモチベーションになっています。
近藤 (前田)凌吾が言ったとおり、僕も同じことを思いました(笑) チームがうまくいっていないときや自分の体がしんどい、メンタルが弱っているときに「いや、凌吾は今必死に練習しているんだろうな」と頭に浮かびます。早稲田に勝つためには、と考えたときにキャプテン、そしてセッターとして「まず自分がやらないと」と思わせてくれる存在で、僕もリスペクトしています。
前田 出てきますね、いっぱい(笑)
近藤 (笑)
――プレー面ではどんなところを尊敬しますか?
前田 高校(東福岡高〔福岡〕)では少し硬さがあったと思いますが、大学では自由にトスを上げていて。しかも精度が高くなっているし、相手ブロックをほんろうしています。ゲームセットまでの配球など、考え方がすごいなと感じています。明治はおもしろいバレーをするので、見ていて楽しいです。対戦したらしんどいですけどね(笑)
近藤 僕は難しいなー。全部完璧なので、どこがすごいが言われても、あまり思いつかないですね。逆に何が悪いの? 何か言うことあるの? って感じです(笑) 試合で相手にいたらほんとうに嫌だし、いちばんうまいプレーヤーだし。もう言うことはないんじゃないですか。
前田 いや、うれしいですけど、そんなことはないので。
近藤 いやいやいや。結構ガチです(笑)
前田は正確なトスでスパイカー陣を司る
――今年の秋季リーグ戦ではフルセットの末に早稲田大が勝利。対戦後は、お2人とも疲労困ぱいの様子でした。特に明治大が取った第2セットは39-37と40点に迫る熱戦でしたが、どんな試合でしたか?
前田 あの試合で明治が勝ったら優勝だったので、自分たちの目の前で優勝させたくないという気持ちでやっていました。僕はあまりワクワクするタイプではないのですが、明治大戦がある週だけとてもワクワクしていて。大学生活で久しぶりの感覚でした。
試合が終わったあとはとにかく疲労困ぱいでしたね。翌週の試合は体が動きませんでした。「体動かなくない?」と(近藤)蘭丸と連絡を取り合ったりして。その試合に勝って優勝することができましたが、やりきったという感覚にいちばんうれしさを感じました。
近藤 コンビバレーなど僕たちが練習してきたことを少し出せましたし、これが目指すべきバレーということを再確認できました。でも、落としたセットで取りきれなかったり、入りが悪かったりする課題も同時に感じました。ふだんの練習もそうですけど、あの試合があったから僕らは頑張ることができていますし、結果的に2位になってしまった悔しさを糧に練習しています。ほんとうにしんどくて、でも、楽しかったです。
全カレ(全日本インカレ)で、あんなきつい試合はもうしたくないですけど(笑) やっぱり凌吾とするゲームは楽しいので、もう一回、ああいった白熱した試合ができるように決勝まで勝ち上がりたいです。早稲田は当然のように来ると思うので。
前田 いやいやいや(笑)
近藤 僕らがまずは(決勝に)いくしかないと思います。
早稲田大戦後、「悔しすぎる」と口にした近藤。敗戦を糧に日本一を目指す戦いへ
――お2人とも正確なトスを上げますが、相手に完璧なクイックを決められたら、自分もやり返すというような思いも抱きましたか?
前田 ありましたね、そのときは。とにかく先に真ん中を通させないようにしたほうが勝ちかなと思っていたので、やられたらやり返して、それが結構何本か続いていたかなと思います。気持ちの部分でも負けたくなかったですね。
近藤 ムキになっていましたよ(笑) 僕らはミドル(ブロッカー)がいいので、そこは自信を持っています。早稲田さんは、特にB(クイック)に対して、オポジットの川野(琢磨)がちゃんとフォローしていました。でも僕の中でそれも頭に入っていたので、来たらどうしようかということは考えていましたし、それを布石にする展開も考えていました。凌吾が言ったように、真ん中をどれだけ通せるかということは試合終盤に響いてくると思うので、全カレはどういうかたちで攻めるのか、楽しみにしていてほしいです。
前田凌吾(早稲田4年)
まえだ・りょうご/身長178㎝/最高到達点325㎝/清風高(大阪)出身/セッター
近藤蘭丸(明治大4年)
こんどう・らんまる/身長178㎝/最高到達点311㎝/東福岡高(福岡)出身/セッター/東京グレートベアーズ新加入
取材/廣田充則(編集部) 写真/山岡邦彦(NBP)、編集部
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