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春高2026

福岡女学院高の監督は看護師 「気合や根性では通用しない」女子バレーの魅力にハマって【大谷弘之監督インタビュー(後編)】

  • 高校生
  • 2026.01.03

第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高)が1月5日(月)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。各チームはどんな歩みで集大成の舞台を迎えるのか。今季は九州大会で2度の初優勝、そしてインターハイでは初の準優勝と勢いに乗る福岡女学院高。大谷弘之監督のインタビューを2回にわたってお届けする。後編では、大谷監督の異色の指導者人生に迫る

 

 

大谷弘之監督(左端/右端は熊本比奈コーチ)

 

 

――大谷監督は2023年に福岡女学院高の監督に就任しました。学校の教職員ではなく、部活動指導員としてチームに携わっていますね

 自分は兵庫県出身で、これまで大阪や香川、岡山の高校でコーチングをして、何度か全国大会に初めて連れて行った経歴があって。それもあり、城岡(伸行/福岡女学院中高総監督、福岡女学院中の監督を兼任)さんからオファーをいただいていましたが、4年間断り続けていました。

 これまでは看護師として働きながら外部指導員でコーチングをしていました。ここに来る前は地区の選手たちと公立校で全国大会を目指したくて、岡山県で7、8年間教員をしていたんです。でも、城岡さんの誘いで「一回しかない人生なので、日本一を目指して勝負しようかな」と思うようになり、2年前から福岡に来ました。

 

――どんな思いで看護師の道に進んだのでしょうか?

 高校(明石清水高〔兵庫〕)時代は、卒業して強い大学やVリーグで勝負したい思いがあり、実際に松下電器(現・大阪ブルテオン)から声をいただきました。ただ、身長が低いし、ケガもしていたので、そんなに長くはできないだろうな、と感じていて。でも、将来はバレーに関わりたい思いもあり、高校バレーを引退してから「それだったら何か資格を取って、指導者の道に進んだほうがいい」と考えるようになりました。

 そのときに担任の先生から「看護師はどうや」と言われたんです。昔は女性しかなれない職業でしたが、ちょうど男性もなれる制度ができたころで。看護師免許を持っていたら将来の選択肢が増えるということで、看護の学校(人間科学総合大)に進みました。

 

 高校を卒業して中学時代の恩師に指導者をしたいと相談したら、ちょうどその先生が定年して、指導者がいなくなるタイミングで。「うちの中学を教えてくれないか」と言われて、学生をしながら公立の衣川中(兵庫男子)でコーチをさせてもらいました。すると、たまたま体の大きい選手もいて、全中で3位になったんです。でもそのときに、「男子は高さがあって、ガンガン練習したら勝つからおもしろくない」と思ってしまって(笑) そこから女子を指導するようになりました。

 すると、女子は「奥が深くておもしろいな」と感じて。そこから恩師に日本代表でも監督をされた米田(一典/故人)さんを紹介してもらい、米田さんにいろんなチームとつなげてもらいました。

 

――大学卒業後はどんな道に進まれましたか?

 看護の学校を卒業したあとは、大阪府の公務員になりました。府立の病院で働きながら、休みや夜勤明けの日を使って、大阪や兵庫のチームを指導して。当時は夜勤をして、夜勤明けで指導して、また夜勤。それから夜勤明けでまた指導、ということもありました。指導のおもしろさをいちばん感じていて、若かったのでできましたが、今はもうできないです(笑) 

 そのころに全国展開している訪問看護の会社があって、その社長が大阪で訪問介護をしていたときの先輩でした。そこからお誘いをいただいたのですが、「(仕事をしながら)バレーの指導をさせてもらえるならいきたい」と言うと、「させたるから来い」と。それで中四国の責任者として働くようになり、香川のチームを教えました。

 今は同じ会社で福岡の取締役をしていて、わりと自由に働かせてもらっています。練習が始まる16時に間に合うように来て、土日祝日も練習して。長期休みも子どもたちと同じように練習をしています。

 

 

練習後の円陣で、選手たちにポイントを伝える大谷監督

 

 

――どんな指導でチームを全国大会に導いたのですか?

 気合いや根性では通用しなくて、女子は筋力がない分、体の使い方が大事です。股関節や肩甲骨の使い方など、ほんとうに細かいところから教えないといけません。

 それこそ私が選手だったころは激しく指導されていた時代でしたが、それは反面教師にしていました。「うまくなるならなんぼでも手を上げてもらっていいけど、そんなことをしてもうまくならない」って。

 指導者を始めたころはまだ激しい指導が残っていましたが、コツコツと基本を教えることを大事にしていけば、みるみるうちに選手が成長していって。香川県の3校と兵庫県の1校で全国大会に出ることができて、その指導では意味がなかったと気づかせられたと思っています。

 

――看護の仕事がバレーにつながることはありますか?

 そうですね、つながっているのかな?(笑) でも、選手たちの性格の見分け方は、ほかの人よりは長けているのかなと思います。

 自分が担当しているのは精神科で、奥深いですよ。自分たち(看護師)の会話だけで安心してもらえることがあったり、利用者さんのちょっとした表情の違いから症状を見分けて、「今、調子がいいのかな?」「悪いのかな?」と判断したり。看護師しだいで反応が変わってくるので楽しいです。利用者さんといろいろな話をするのがおもしろくて、事業所のスタッフが体調不良になったりすれば、応援に行くこともあります。

 

――春高に出場する監督でも、なかなかないキャリアです。現在の指導者としての夢は何でしょうか?

 いや別に、日本一を獲りたい、ぐらいですよ(笑) そんなに夢もなく。

 ただ、指導の道でいろんな方と携われたり、バレーに専念できる会社があることは、縁に恵まれているなと思います。

 

 

国スポには出場せず、夏から秋は厳しい練習に取り組んできた。その成果を最後の戦いにぶつける

 

 

福岡女学院高の春高初戦(2回戦)

1月6日(火)Aコート第5試合(14時30分試合開始予定)

2回戦 vs.青森西高(青森)と文京学院大女高(東京②)の勝者

 

取材・撮影/田中風太(編集部)

 

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文/田中風太(編集部)

写真/山岡邦彦(NBP)、編集部

 

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【次ページ】JVA 第78回全日本高等学校選手権大会(春の高校バレー2026)女子トーナメント表

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