昨年11月24日に亡くなった鎮西高(熊本)の畑野久雄監督をしのぶ会が、3月15日(日)に熊本市内で行われた
一ノ瀬キャプテンを軸に
9年ぶりの春高日本一へ
畑野監督が就任51年目を迎えた2025年度の鎮西高は、インターハイと国スポで日本一に輝いた。だが、同校初の全国三冠が懸かる春高を1ヵ月後に控えた11月末。名将は80歳でその生涯を閉じた。
会場にはこれまでの足跡を振り返る映像が流れ、監督就任50周年記念祝賀会で作製された特別ユニフォームや、懐かしい写真の展示も。現役選手やOB、そして関係者が、笑顔で写真に収まる畑野監督に、あらためて感謝の思いを伝えた。
現役時代に畑野監督の指導を受け、コーチとしては12年間で6度の日本一を経験した宮迫竜司監督は、昨年12月の天皇杯からチームの指揮を執る。「当たり前のことを当たり前に」と掲げ、ミスを嫌った畑野監督の指導スタイルは、これからも継承していくつもりだ。
「そこに関しては絶対に揺るがないこと。ミスを減らしつつ、最後はエースに託すバレーは、私自身も大きな軸としてやるつもりです。そこに向けて、どんな色づけをするのかを見つけていきたい」
力のあるスパイカー陣がそろうなかで、勝負どころでトスを託されるのは、新チームから伝統のキャプテンナンバー「3」を背負う一ノ瀬漣。1年生時から得点源としてプレーし、畑野監督からは常に同じ助言を受けてきた。
「具体的なことはあまり言われていなくて、ずっと『(スパイクを打つときに)腰を上げろ』と。あとは全員に言っていたんですけど、高さ、スピード、パワーをつけろと言われました」
畑野監督の短く、シンプルな助言をいかにかみ砕き、成長につなげるか。「『ジャンプ力を上げろ』という意味だと思って、ずっとトレーニングを続けてきました。自分で考える力もついたし、自分で考えたほうが絶対に伸びると思うので。ほんとうにありがたかったです」と感謝する。
そして、チームの大黒柱として「自分たちが今まで教わってきたことをしっかり後輩に伝えて、畑野先生が今までつくってきた鎮西のバレーを、これからもずっと続けていきたい」と決意した。
粒ぞろいの新1年生も続々とチームに合流し、間もなく新しい春を迎える。だが、今年1月に行われた春高の悔しさを忘れることはない。全国三冠が懸かった同大会の準々決勝では、国スポの決勝でフルセットの末に下した東山高(京都)にストレート負け。2年連続でベスト8に終わっているオレンジコートに向け、宮迫監督の言葉に力がこもる。
「私自身もそうですし、今いる生徒たちも負けたときの東京体育館の雰囲気、ざわつき、悔しさはおそらく一生忘れないと思います。春高で勝つために、1年間しっかりと準備していきたい。1年後、あの舞台で必ずやり返します」
21年ぶりの日本一に輝き、畑野監督が宙を舞った2017年度以来の頂点へ。恩師の思いを胸に、ブレずに突き進む。
文・写真/田中風太(編集部)
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