準決勝で悔しい途中交代も「自分やったらできる」奈良 天理エンジェルスの日本一に貢献した冨嶋咲。エースの導きでチャンス再来
- 小学生
- 2026.09.17
バレーボールの「スミセイVitalityカップ 第46回全日本小学生大会」(以下、全小)が8月上旬に行われ、混合の部では天理エンジェルス(奈良)が優勝を飾った。6年生の天白竜翔(てんぱく・りゅうと)がエースを務め、身長172㎝と小学生ではひいでたサイズから得点を重ねる姿は強烈なインパクトを残した。
優勝に輝いた天理エンジェルス
大阪KAISERS JVC(大阪)との決勝でも天白は攻撃の軸として、とりわけセンターエリアからしっかりとコースを打ち分ける。第1セットは21-16で先取。だが第2セットは17-20と先にセットポイントに立たれ、フルセットに突入する一歩手前の状況に。そこから天白が得点してサイドアウトを奪ったわけだが、天理エンジェルスはここから4本のブレイクを重ねて一気に逆転に成功して日本一になっている。その見事な逆転劇において、ずっとサーブを打ち続けたのが5年生の冨嶋咲(とみしま・さき)だった。
冨嶋がエンドラインに立った状況は、もう1点も相手に許せず、ましてやサーブミスはもってのほか、というもの。当然、「プレッシャーはありました」と本人。けれども、冷静になおかつ自分のやるべきことに集中していた。
「絶対にジュースに持っていって、このセットで優勝するんだと。あとは『ボールをヒットしたら、そのまま腕を止めること』。監督がいつも言っていることを意識してサーブを打ちにいきました」
一度もミスすることなくサーブを打ち込み、19-20からは値千金のサービスエースで同点に導く。また相手レシーブも崩し、自分たちに優位な展開をつくるサーブも放った。これには天白も「あの場面でサーブを入れ続けてくれたのはうれしかったです」と語り、冨嶋本人も「自分やったらできる、と思っていました」と誇らしげに振り返った。
1つもミスができない場面でサーブを入れ続けた冨嶋
そんな活躍を披露した冨嶋だったが、実は並々ならぬ思いで決勝に臨んでいた。というのも、THINK京都(京都)との準決勝ではミスを重ねてしまい、試合中に涙を流してベンチに下げられていたのである。天理エンジェルスの松本章秀監督は明かす。
「レシーブをミスしたり、ボールを捕りに行かなかったんです。時折、彼女は躊躇(ちゅうちょ)してしまう場面があるもので、最終的に泣いてしまった。『泣くくらいやったら、最初から立ち向かっていきなさい』と」
冨嶋本人が告白するに、「(準決勝は)ライトから打ってくるアタッカーのボールにびびってしまって、全然捕れなかったんです。もう最悪でした」。そうしてベンチで涙する後輩を励ましたのが、エースでキャプテンの天白だった。
「『決勝まで連れていったるから、一旦休憩しとけ』と天白さんが言ってくれたんです」(冨嶋)
結果的に勝利したチームは決勝へ進出する。「『涙を流していたら決勝には出さないぞ』と伝えたら、涙をぬぐって一生懸命にプレーしようとしていましたね」という松本監督の期待に応え、冨嶋は最後にサーブを入れ続けることで日本一に貢献したのであった。
自らの悔しさを晴らすチャンスを導いてくれた天白へ、冨嶋の感謝は尽きない。
「もう言葉では表せない存在です。ほんとうにありがたいな、という気持ちで決勝は戦えました。来年は自分たちの代でもう一度ここに来て、2年連続の日本一を目指します」
エースの大きな背中を追いかけ、同じ光景を目にするために。今度は泣かずに活躍したい? という問いかけに冨嶋は力を込めて、「はい!!」と答えた。
エース①天白の大きな背中に導かれて、天理エンジェルスの面々は戦い抜いた
(文・写真/坂口功将)
全小の模様は発売中の「月刊バレーボール」2026年10月号に掲載!
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