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水町泰杜/黒澤孝太組のイタリア戦記 最終回:海外で浴びたスタンディングオベーション。「次は最終日に残ろう」と決意を胸に

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 現在開催中の「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」ビーチバレーボール競技に日本代表として参加している水町泰杜(ウルフドッグス名古屋/トヨタ自動車)/黒澤孝太(トヨタ自動車)組。今年は「ジャパンツアー」で出場3大会連続優勝そして「ビーチバレージャパン 第40回全日本選手権大会」で日本一に輝くなど、勢いとまらぬ2人はこの夏、海外遠征に出向いた。アジア競技大会を前に臨んだ最後の国際大会は「バレーボールワールド ビーチプロツアー フューチャーズ-モデナ(イタリア)」。2人はいかなる戦いをそこで繰り広げたのか、現地密着レポートをお届けする。全6回。

 

 

コート横の舞台に上がり、現地で喝采を浴びた水町/黒澤組

 

 

■「バレーボールワールド ビーチプロツアー フューチャーズ-モデナ(イタリア)」最終結果:9位タイ

 

 「実力差があったわけでもなく、自分たちがもっともっとできたはず。それで負けてしまいましたから」

 ラウンドオブ12でスウェーデンのペアに敗れた直後、水町は会場のバックヤードでベンチに腰掛けると悔しさにひしがれていた。ちょうどそのとき、場内で流れた楽曲はQUEENの『アナザー・ワン・バイツァ・ダスト』。「バイツァ・ダスト(Bites the Dust)」とは直訳すれば、「ほこり・砂をかむ」。おそらく意図したものではなく、偶然にすぎないだろう。「また一人、敗れし者が出た」という歌詞だが、その言葉どおり水町/黒澤組は敗北の味をかむことになった。実際のところ今シーズン、日本国内では無敗を誇り、公式戦での黒星は海外でしか喫していない。一つの負けにこれほど落胆する姿を見るのも久しかった。

 「海外に来て高いレベルでプレーするからこそおもしろい。勝つとうれしいし、負けると悔しい。日本では味わえないような、純粋な気持ちがあります」(水町)

 

 

 大会を終えて、水町は全身から悔しさがにじみ出ていた

 

 

 トヨタ自動車ビーチバレーボール部のチームによる大会最後のミーティングではそれぞれが反省の色を残しながら、言葉をつむいだ。

 「劣勢になると、ミスを出したくないせいか、どうしてもプレーが小さくなってしまいます。さっきの試合(ラウンドオブ12)も風が吹いていて、トスが難しくなった分、パスを短くしようと(黒澤)孝太に伝えたのですが、それが逆にツーアタックの選択肢を消してしまいました」(水町)

 「中国のとき(「ワールドプロツアー フューチャーズ平潭大会(中国)」)も風に苦労したからね。その発想自体は持っていていいと思う。そのうえで大胆にいけるところはいけたらいいかな」(青木晋平コーチ/トヨタ自動車)

 

 もっともっとできることはあった。それが出せなかった悔しさはある。「なおさら勝ちたかった思いはありますが、それもいい栄養にして2人でさらに強くなっていきたい」と水町が口にする。そうして高らかに声をあげた。

 「来年はヨーロッパの大会で最終日に残ろう!!

 その言葉に黒澤もきゅっと口元を締めて「そうだね」とうなずく。今年はワールドプロツアーの3大会に出場し、平潭大会は4位、タリン大会(エストニア)とモデナ大会は9位。アジア圏以上に数段レベルが上がるヨーロッパの大会で、次は最終日へ。新たな誓いを立てたのであった。

 

 

フューチャーズで結果を残し、着々とポイントを重ねたことで来年はワールドプロツアーのチャレンジのカテゴリー参戦も見えてきた

 

 

 モデナでの戦いは、ここに終わった。その2人の元へ、大会の運営スタッフが駆け寄ってくる。次の試合のセット間に、どうやらコート横の舞台に上がってほしいというのだ。そうしてまずはMCDJがいる音響ブースに通されると、第1セットが終わった折に2人の名前が呼ばれた。

 この日は週末とあって、昼から客席は満員。紹介された2人へ観客たちはスタンディングオベーションで健闘をたたえる。そうだ、ここはイタリア。日本のバレーボールへ多大なるリスペクトを抱いてやまない国。思えば前日晩のプール戦 第2試合では試合前にMCが「ニュー・ヒーロー・フロム・ジャパン!!」というフレーズを用いていた。

 

 日本の国内チャンピオンとはいえ、世界でいえばまだワールドプロツアーの、それもフューチャーズに参戦したばかりの若武者。それでもサイズの差をもろともせずに跳び上がり、腕を振り抜き、相方とともにジャンプトスを繰り出す、そんな姿はイタリアの観客の心を確実につかんでいたのである。MCが叫ぶ。

 「コウタ、クロサワ。アンド…。タイト、ミズマチ!!

 イタリアバレーボール界における数あるメッカの一つ、モデナの町で。その名前は確かに響いていた。〔完〕

 

 

 こうしてイタリアから帰国した2人は、トヨタ自動車の地元・愛知で開催される「第20回アジア競技大会」へ臨むのであった

 

(文・写真/坂口功将)

 

■水町泰杜/黒澤孝太組のイタリア戦記その5:「試合に入りきれず」悔しさ残る敗戦で大会に幕

■水町泰杜/黒澤孝太組のイタリア戦記その4:「タイト、ミズマキ」見参!? 夜のローマ広場を沸かせた

■水町泰杜/黒澤孝太組のイタリア戦記その3:いくぞ、ローマ広場へ。「いいビーチバレーボール」で上位シードに勝利

■水町泰杜/黒澤孝太組のイタリア戦記その2:満月に照らされて。3大会連続での本戦進出

■水町泰杜/黒澤孝太組のイタリア戦記その1:初戦はリタイア寸前!? 灼熱のモデナで飾った白星発進

 

【ギャラリー】イタリアで拍手喝采を浴びた水町泰杜と黒澤孝太。現地独占のカットも

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